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第四部
1章 新たな目的
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王国北端にあるノーザンライトにあるエイレーン村に居を構えてから、もうすぐで一年ほどが経つ。
魔族の襲撃でぼろぼろになった村も、かなりにぎやかになっていた。
ラピスの母親の故郷であるエルフの郷が引っ越してきたために人口はかなり増え、スパリゾートやテーマパーク目当てに、様々な観光客が押し寄せるため、かなりの活況を呈している。
一方で、この一年間、いろいろなことがあった。
遺跡に封印されていたエストを見つけたり、魔族に襲われるエイレーン村の復興を手伝ったり、スパリゾートやテーマパークを作ったり。
その中で、俺達はノーザンライトで渦巻く陰謀に度々巻き込まれていた。
魔導研究所の所長であったリチャードは、人々を脅かす魔人を滅ぼすという野望を抱いていた。
ペレアスという男と手を組み、自分の邪魔をする者たちを排除し、様々な人体実験を行ってきた。
一方で魔人が大陸に侵入するのを阻む障壁を破壊して、わざと魔人を招き入れるということも行っていた。
エイレーン村を生贄に捧げることで、魔人に対する危機感を煽り、人々を魔人との戦いに徴用しようとの考えからであった。
ノーザンライトの騎士たちは、彼の実験によって無理やり魔人化させられ、その多くが後遺症に苦しめられていた。
魔人に対抗するために、魔人の力を無理やり人に植え込むという、矛盾した研究だ。
結局、リチャードは国王であるエドの手で捕縛されたが、騎士団の疲弊と街の指導者の不在の二つの要因によって、ノーザンライトは混乱していた。
「というわけでね、ブライには、ノーザンライトを立て直す手伝いをしてほしいの」
リチャードの手によって両親を殺され、ノーザンライト魔導研究所から追われる身となったレオナだが、リチャードが逮捕されたことで、ようやく堂々と顔を出すことが出来るようになった。
今はこうして研究所に通いながら、新所長に教えを請い、ノーザンライトを立て直すために色々と奔走しているらしい。
「あ、もちろんね……エストの家族たちを探さなきゃいけないってのは分かってるし、私も手伝いたいんだけど、私にとっても故郷が大事だから……」
エストはエイレーン村の近くの遺跡に封印されていた。
リチャードと手を組みながら、独自の目的を果たすために暗躍していたペレアスという男は、先の戦いでエストたちの時代の文明はリセットされたと言っていた。
同時に、一部の人間は封印される形で逃れたと。
その言葉が信じられるかは疑問だが、それでも俺達は僅かな希望を持って、エストの家族や友人を探し出すことを決めた。
「いや、レオナの故郷だって大事だろ。エストの家族たちもあわせて、みんなで協力しよう」
「ありがと……本当に助かる」
レオナの切実な雰囲気が伝わってくる。
ほとんどをエイレーンで過ごしていることもあって、この街のことはあまり把握していないが、切羽詰まっている状況なのだろうか。
「でも、俺は何をすればいいんだ?」
「そうね。まず、この街の今の状態を説明するわ。まず、この街は今、魔族の襲撃を受けてるの。それもエイレーンの時の比じゃない数よ」
「なんだって!? 障壁はもう修理されただろう? どうして……」
リチャードの陰謀によって、北の障壁が破壊されていることを知ったエドは、速やかに予算と人員を送って、障壁の修復を行った。
偉大な賢者たちが開発した代物で、強力な魔人はそれに阻まれ、容易に侵入することができなくなる。
弱い魔族は通り抜けることが出来るので、完全に被害を抑えることは出来ないが、それでもエイレーンの時のような大規模な侵攻が起こるようなことはない。
「そこが不思議なの。あの障壁がある限り、魔族は大規模な侵攻ができない。だけど、魔族たちは次から次へと押し寄せてくる。それに、どうにも統率された動きみたいなの」
「それはつまり、何者かに指揮されているってことだよな?」
彼らを指揮できる存在は一つしかない。
姿こそ表していないが、ここには魔人がいる可能性があるということだ。
「ということは、俺は魔族を抑えるために戦えばいいんだな?」
前もエイレーンを守るために戦ったことがある。
魔人は恐るべき相手だが、魔族相手ならなんとかなるだろう。
幸い、腕のたつ仲間たちもたくさんいる、みんなに声をかけて……
「戦いもそうなんだけど……ブライに一番お願いしたいのはね、街の復興なの」
「復興?」
「うん。今、騎士団と冒険者たちが手を組んで、魔族の侵攻を抑えてるんだけど、休みなく敵が襲ってきて、みんな疲弊してる。一日の負傷者の数も馬鹿にならないし、鉄道や王都方面の輸送路も押さえられてて、物資も不足してる。このままだとジリ貧なの」
「なるほど、戦力以上に継続して戦い続けられる体制を整えられるようにしたいんだな」
それなら【ログインボーナス】のスキルの力は大いに役立つかもしれない。
エストの家族探し、ノーザンライトの復興と新たな目的が決まるのであった。
魔族の襲撃でぼろぼろになった村も、かなりにぎやかになっていた。
ラピスの母親の故郷であるエルフの郷が引っ越してきたために人口はかなり増え、スパリゾートやテーマパーク目当てに、様々な観光客が押し寄せるため、かなりの活況を呈している。
一方で、この一年間、いろいろなことがあった。
遺跡に封印されていたエストを見つけたり、魔族に襲われるエイレーン村の復興を手伝ったり、スパリゾートやテーマパークを作ったり。
その中で、俺達はノーザンライトで渦巻く陰謀に度々巻き込まれていた。
魔導研究所の所長であったリチャードは、人々を脅かす魔人を滅ぼすという野望を抱いていた。
ペレアスという男と手を組み、自分の邪魔をする者たちを排除し、様々な人体実験を行ってきた。
一方で魔人が大陸に侵入するのを阻む障壁を破壊して、わざと魔人を招き入れるということも行っていた。
エイレーン村を生贄に捧げることで、魔人に対する危機感を煽り、人々を魔人との戦いに徴用しようとの考えからであった。
ノーザンライトの騎士たちは、彼の実験によって無理やり魔人化させられ、その多くが後遺症に苦しめられていた。
魔人に対抗するために、魔人の力を無理やり人に植え込むという、矛盾した研究だ。
結局、リチャードは国王であるエドの手で捕縛されたが、騎士団の疲弊と街の指導者の不在の二つの要因によって、ノーザンライトは混乱していた。
「というわけでね、ブライには、ノーザンライトを立て直す手伝いをしてほしいの」
リチャードの手によって両親を殺され、ノーザンライト魔導研究所から追われる身となったレオナだが、リチャードが逮捕されたことで、ようやく堂々と顔を出すことが出来るようになった。
今はこうして研究所に通いながら、新所長に教えを請い、ノーザンライトを立て直すために色々と奔走しているらしい。
「あ、もちろんね……エストの家族たちを探さなきゃいけないってのは分かってるし、私も手伝いたいんだけど、私にとっても故郷が大事だから……」
エストはエイレーン村の近くの遺跡に封印されていた。
リチャードと手を組みながら、独自の目的を果たすために暗躍していたペレアスという男は、先の戦いでエストたちの時代の文明はリセットされたと言っていた。
同時に、一部の人間は封印される形で逃れたと。
その言葉が信じられるかは疑問だが、それでも俺達は僅かな希望を持って、エストの家族や友人を探し出すことを決めた。
「いや、レオナの故郷だって大事だろ。エストの家族たちもあわせて、みんなで協力しよう」
「ありがと……本当に助かる」
レオナの切実な雰囲気が伝わってくる。
ほとんどをエイレーンで過ごしていることもあって、この街のことはあまり把握していないが、切羽詰まっている状況なのだろうか。
「でも、俺は何をすればいいんだ?」
「そうね。まず、この街の今の状態を説明するわ。まず、この街は今、魔族の襲撃を受けてるの。それもエイレーンの時の比じゃない数よ」
「なんだって!? 障壁はもう修理されただろう? どうして……」
リチャードの陰謀によって、北の障壁が破壊されていることを知ったエドは、速やかに予算と人員を送って、障壁の修復を行った。
偉大な賢者たちが開発した代物で、強力な魔人はそれに阻まれ、容易に侵入することができなくなる。
弱い魔族は通り抜けることが出来るので、完全に被害を抑えることは出来ないが、それでもエイレーンの時のような大規模な侵攻が起こるようなことはない。
「そこが不思議なの。あの障壁がある限り、魔族は大規模な侵攻ができない。だけど、魔族たちは次から次へと押し寄せてくる。それに、どうにも統率された動きみたいなの」
「それはつまり、何者かに指揮されているってことだよな?」
彼らを指揮できる存在は一つしかない。
姿こそ表していないが、ここには魔人がいる可能性があるということだ。
「ということは、俺は魔族を抑えるために戦えばいいんだな?」
前もエイレーンを守るために戦ったことがある。
魔人は恐るべき相手だが、魔族相手ならなんとかなるだろう。
幸い、腕のたつ仲間たちもたくさんいる、みんなに声をかけて……
「戦いもそうなんだけど……ブライに一番お願いしたいのはね、街の復興なの」
「復興?」
「うん。今、騎士団と冒険者たちが手を組んで、魔族の侵攻を抑えてるんだけど、休みなく敵が襲ってきて、みんな疲弊してる。一日の負傷者の数も馬鹿にならないし、鉄道や王都方面の輸送路も押さえられてて、物資も不足してる。このままだとジリ貧なの」
「なるほど、戦力以上に継続して戦い続けられる体制を整えられるようにしたいんだな」
それなら【ログインボーナス】のスキルの力は大いに役立つかもしれない。
エストの家族探し、ノーザンライトの復興と新たな目的が決まるのであった。
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