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第二章
side一縷 ㊳
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日付を跨いで、午前二時。
さすがに眠くなってきた。
蒼の忘年会の会場は老舗ホテルの大宴会場と聞いていた。
こんな時間まで忘年会をするだろうか。
不安になってきた。
蒼の携帯に電話をしてみるが、電源が入っていないと機械音のアナウンスが流れた。
携帯のGPSを追跡しようとしたが、電源が入っていないから追跡もできない。
もしもの時のために持たせておいた予備のGPSで追跡してみると、ホテルを示していた。
嫌な予感がした。
急いで着替えて、GPSが示したホテルへ向かう。
ホテルに着いて、フロントに問い合わせた。
「すみません、昨日大宴会場で開催された忘年会はもう終了していますか?」
『はい、全ての忘年会は終了しております』
「その中でこのホテルに泊まった人はいますか?」
『いらっしゃいます』
「教えてもらえませんか?」
『個人情報なので、お教えすることはできません』
「宿泊者の中に東条蒼という者はいますか?私の夫です」
『申し訳ございません。旦那様と言え、お教えすることはできません』
さすがにこれだけの情報でおいそれと個人情報を出すわけにはいかないだろう。
ちゃんと教育が徹底されているだけある。
しかし、今はその教育が仇となった。
確かに蒼はこのホテルの中にいる。
それは確実なのだが、どこにいるのか分からない。
フロントで悶々としていると、披露宴に出席していただいた研究部部長の柊木靖雄に出会った。
『君、東条君の旦那の…』
「ご無沙汰しております、柊木部長さん。いつも蒼がお世話になっております」
『こんな夜中にどうしたんだい?』
「日付を跨ぐ前には帰ると連絡があったんですが、こんな時間になっても蒼と連絡がつかなくて…。忘年会はいつ終わりましたか?」
『九時には終了して、ホテルに泊まる者と帰宅する者に分かれたよ』
「そうでしたか…」
『ちょっと待っててくれ給え。近くに忘年会参加者がいるから聞いてくるよ』
「お手数をおかけして申し訳ありません」
『なぁに、少し待っててくれ』
そう言うと柊木はホテルのバーに消えて行った。
さすがに眠くなってきた。
蒼の忘年会の会場は老舗ホテルの大宴会場と聞いていた。
こんな時間まで忘年会をするだろうか。
不安になってきた。
蒼の携帯に電話をしてみるが、電源が入っていないと機械音のアナウンスが流れた。
携帯のGPSを追跡しようとしたが、電源が入っていないから追跡もできない。
もしもの時のために持たせておいた予備のGPSで追跡してみると、ホテルを示していた。
嫌な予感がした。
急いで着替えて、GPSが示したホテルへ向かう。
ホテルに着いて、フロントに問い合わせた。
「すみません、昨日大宴会場で開催された忘年会はもう終了していますか?」
『はい、全ての忘年会は終了しております』
「その中でこのホテルに泊まった人はいますか?」
『いらっしゃいます』
「教えてもらえませんか?」
『個人情報なので、お教えすることはできません』
「宿泊者の中に東条蒼という者はいますか?私の夫です」
『申し訳ございません。旦那様と言え、お教えすることはできません』
さすがにこれだけの情報でおいそれと個人情報を出すわけにはいかないだろう。
ちゃんと教育が徹底されているだけある。
しかし、今はその教育が仇となった。
確かに蒼はこのホテルの中にいる。
それは確実なのだが、どこにいるのか分からない。
フロントで悶々としていると、披露宴に出席していただいた研究部部長の柊木靖雄に出会った。
『君、東条君の旦那の…』
「ご無沙汰しております、柊木部長さん。いつも蒼がお世話になっております」
『こんな夜中にどうしたんだい?』
「日付を跨ぐ前には帰ると連絡があったんですが、こんな時間になっても蒼と連絡がつかなくて…。忘年会はいつ終わりましたか?」
『九時には終了して、ホテルに泊まる者と帰宅する者に分かれたよ』
「そうでしたか…」
『ちょっと待っててくれ給え。近くに忘年会参加者がいるから聞いてくるよ』
「お手数をおかけして申し訳ありません」
『なぁに、少し待っててくれ』
そう言うと柊木はホテルのバーに消えて行った。
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