理由を与えなかった聖女は、名を呼ぶことを選んだ

その国では、
人の価値が「評価」で決められていた。

役に立つ者は守られ、
役に立たない者は、理由も告げられず切り捨てられる――
それが“合理的”で“正しい”社会だと、誰もが信じていた。

聖女ミレイア・ルミナスもまた、
その制度の中で沈黙を強いられた一人だった。

説明はない。
抗議もできない。
ただ静かに、人が消えていく。

暴力は偶然として処理され、
死にはもっともらしい理由が与えられ、
やがて人々は「仕方ない」と口にするようになる。

――だが、ある日。
誰かがその“理由”を拒否した。

理由を与えない。
正当化しない。
ただ、失われた人の名を呼ぶ。

それは小さく、静かな行為だった。
けれどその瞬間、
「評価」で成り立っていた国は、確実に揺らぎ始める。

これは、
剣も魔法も振るわない聖女が、
世界を“壊さずに止めた”物語。

過激なざまぁは、怒鳴り声ではなく――
沈黙と選択によって、静かに下される。

> 人が人であることを、
もう一度思い出すための物語。



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