婚約破棄して「無能」と捨てた元婚約者様へ。私が隣国の魔導予算を握っていますが、今さら戻ってこいなんて冗談ですよね?』

王太子アラルガンから「無能」「可愛げがない」と切り捨てられ、
夜会の場で一方的に婚約破棄された公爵令嬢エルフレイド。

だが彼女は、誰にも知られていなかっただけで――
王国の魔導具開発、結界維持、そして莫大な魔導予算を
一人で回していた超実務型の才女だった。

追放同然で国を去ったエルフレイドを迎え入れたのは、
隣国の「氷の魔導皇帝」ゼノス。
彼は彼女の数字感覚と設計思想を即座に見抜き、
国家予算そのものを託す。

一方、エルフレイドを失った元王国は、
魔導障壁の不具合、予算破綻、偽聖女の無能露呈により
静かに、しかし確実に崩壊していく。

――そして物語の後半、
焦点は「ざまぁ」から、さらに先へ。

裁かれない元王太子。
英雄を作らない制度。
責任を個人に押し付けない現場。
引き金を引かないという選択。

これは、
「誰かが偉かった」物語ではない。
「誰かを断罪する」物語でもない。

有能な人間が消えたあとも、世界が回り続けるようにする物語。

名前が消え、功績が語られず、
それでも街が守られ続ける――
そんな“完成した世界”に至るまでを描いた、
静かで痛快な大人向け婚約破棄ファンタジー。
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