【完結】私は落ちこぼれで構いません! ~未来の大魔術師様が今日も私を困らせて来ます~

Rohdea

文字の大きさ
18 / 25

18. ピンクの魅了を解く為の計画

しおりを挟む


  私達は、リシェリエ様の持っている“浄化”のスキルで、魅了にかかってしまった人達を元に戻す事が出来るのでは無いかという話をした。

「……私のスキルで?」
「リシェリエ様は、今まで浄化の力を使用した事はありますか?」
「無いわ。そもそも浄化を必要とする事態なんて起こった事が無かったもの」

  リシェリエ様の言う事は最もだ。
  単なる治癒ならば、闇の力で事足りてしまう。
  浄化は呪いや……今回のような精神干渉系のスキルによってもたらされたものを治すもの。そんなに出番があってはむしろ困る。

「学院の皆を元に戻す為には、リシェリエ様の力が必要なんです」
「……私に出来るのかしら?」

  リシェリエ様の声はとても不安そうだった。
  今まで使った事が無いのなら、リシェリエ様にとっても“浄化”は未知の力。
  どういった方向に左右されるかは全く不明。
  ……不安になるのも当然だ。

  (それと、気になるのは……浄化の力の範囲)

  一人一人にかけないといけなかったりすると時間と手間もかかるし、リシェリエ様の魔力だってきっと持たない。
  何よりエリィ様に気付かれてしまう可能性が高い。

  (一度で広範囲にかけれるものでないといけない)

  そう思った私はリシェリエ様に訊ねる。

「浄化の力は一人一人にかけないといけないものですか?」
「……」

  リシェリエ様は少し考えてから答えた。
 
「一人一人にかける場合もあるし、空間全体にもかけられると聞いているわ」
「空間!  それなら……!」
「ですけど、私の力で浄化出来たとしても、肝心のエリィ様を捕まえない事には意味が無いのではありませんの?  再び彼女が皆に魅了をかけてしまったら意味がありませんわ」

  リシェリエ様の懸念は最もだ。
  せっかく解いても再び力を使われてしまったらただの追いかけっこでしかない。
  だからこそ、1度でも皆を正気に戻すことが出来たならば、その後は……私の出番だ。

「それですが、1度浄化してもらえば、再び皆が魅了にかからないようにすることは可能かと」
「何ですって!?」

  リシェリエ様の驚きの声が響く。

「私のスキルを使います」
「フィーリーさんのスキル?」
「私のスキルは“無効化”です」
「無効化?」

  リシェリエ様は聞いたことがない、という顔をして首を傾げている。
  やはり、私のスキルは珍しいみたい。

「私の力は、魔術を無効にする事が出来ます。もちろん特殊能力もです。すでにかけられているものを打ち消す事は無理ですが、術をかけようとする際に弾く事が可能です」
「まぁ!」
「ですから、浄化され一旦皆の魅了が解けた後、私が皆に無効化の力をかけます。その間にエリィ様を捕まえてしまいましょう」
「皆ですって!?」

  無効化は浄化と違って空間全体にかけるものでは無いけれど、学院全体にかける事は私の魔力なら可能。学院全体にかける事でその場にいる皆にも無効化の力がかかる。
  その事にリシェリエ様は驚きを隠せない様子だけど、なんて事は無い。術の範囲を広げるだけなのでさほど問題は無い。

「あー……フィーリーは……その、なんだ。色々と規格外なんだよ」

  ルシアンがあっさりとしたフォローを入れてくれた。
  便利な言葉よね、“規格外”

「え?  これって規格外で済む問題なんですの!?」
「いや。だが、他に表現の仕様がない」
「えぇ~……?」

  リシェリエ様はとにかく驚いていた。



  こうして私達は、魅了の魔法を解くためにすべき事の算段をつけていく事になったのだけど、残念ながら早々に行き詰まる事となった。


「問題は……いつ、どのタイミングで浄化や無効化をかけるのかだよな」
「空間全体でないと私は無理ですわよ……一人一人になんて魔力が持たないもの」

  うーん、と3人で唸る。

「学院の皆が一同に集まる機会があれば良いのだけど」

  私がそう小さく呟いた時、リシェリエ様が大きく反応した。

「それですわ!!  もうすぐ、学期が終わるので長期休暇に入りますわよね?  いつも休みに入る前には締め括りのパーティーがあるはずですわ!  そのパーティーなら学院の皆が集まるのではなくて?」
「……来賓も来るから、ついでにあの女のした事を知らしめる事も出来るんじゃないか?」

  なるほど。
  いつもは平民の私にとっては、いつも妙にルシアンが絡んで来るのでルシアンと喧嘩するだけのよく分からないパーティーだと常々思っていたけれど、これは絶好の機会と言える。

「そうなるとー……」

  幸い、パーティーまではまだ日にちがあった為、私達は計画を練りに練っていった。
  また、リシェリエ様が目覚めている事をエリィ様が知ったら何を仕掛けてくるのか分からないので、引き続きリシェリエ様には学院には登校せずに療養してもらう事になった。

「ごめんなさい。せっかく目が覚めたのに」
「構わないわ。元々、お父様にもしばらく休むように言われていたもの」

  リシェリエ様は笑顔でそう言ってくれた。

「ありがとうございます」
「その代わりですけど、絶対皆を正気に戻しましょうね!  正直、私も不安ですけどやり遂げてみせますわ!」
「はい、必ず!」

  リシェリエ様の言葉に私は力強く頷いた。

  学院を休み続ける事になるリシェリエ様には申し訳ないけれど、1日も早く皆を元の状態に戻したい。
  だから、どうか計画がうまくいきますように。
  そう願わずにはいられなかった。




*****




  実行日のパーティーの日まで私達は、策を練りつつも至っていつも通り過ごすようにした。
  ただ、エリィ様はルシアンを取り込みたい気持ちを諦めていないのか、しきりにルシアンに話しかける事が多くなっていた。


「……はぁ。本当にしつこいぞ、あの女」
「お疲れ様、ルシアン」

  私の目の前で呼び出しから戻って来たルシアンが疲れ切った表情をしていた。
  エリィ様は、事ある事にルシアンを呼び出し近寄って来ては“魅了”の力を使おうとするらしい。

「何度もかけようとしてくるから、さすがに力を使おうとする時が分かるようになって来たぞ」
「そんなに?」

  それでも諦めずにルシアンを魅了しようとするエリィ様って……

  (そんなにルシアンの事が好きなのかしら?)

「……」

  困ったわ。胸がモヤモヤする。

「ルシアン、石は?」
「ん、コレだ。頼む」

  ルシアンがペンダントにしている魔石を私に渡す。それを受け取った私はその魔石に新たに“無効化”の力を込めた。

  (確かに無効化の力が発動しているわね)

  エリィ様も必死だわ。

「ったく、何が『未来の大魔術師様は私と添い遂げるべきだと思うんです』だ!  自分が添い遂げる人間は自分で選ぶに決まってるだろ」
「え?」
「どうした?」

  ルシアンのその言葉に私は思わず疑問を返してしまった。
  だって以前、婚約者の話をした時に結婚相手は自分で選べないような事を言っていたから。

「あ、ううん、ルシアン自分で選べるの?  と思って」
「あ?  ……あぁー……前に言った話の事か?」

  私は無言で頷く。

「まぁ、確かにこのままだと協会が選んだ女性を押し付けられるだろうなぁ」
「!」
「でも、俺は従う気は無い」
「え!?」

  ルシアンのその言葉に驚いてしまう。
  逆らうの!?  逆らっちゃうの!?  大丈夫なの!?

「前に言っただろ?  “決めた”って」
「え?  うん」

  その時は何の事かまではよく分かってなかったけれど。
  それって、未来の結婚相手の事だった?

「フィーリー。例え困難でも、俺は自分の意思で相手を選ぶ。そう決めたんだよ」
「!」

  ドキンッ

  そう言って私を見つめるルシアンの顔がいつもと違ったので、また私の胸が大きく跳ねた。

しおりを挟む
感想 131

あなたにおすすめの小説

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~

夏芽空
恋愛
子爵令嬢のエレナは、常に優秀な妹と比較され家族からひどい扱いを受けてきた。 しかし彼女は7歳の双子の娘を持つ公爵――ジオルトと契約結婚したことで、最低な家族の元を離れることができた。 しかも、条件は最高。公の場で妻を演じる以外は自由に過ごしていい上に、さらには給料までも出してくてれるという。 夢のような生活を手に入れた――と、思ったのもつかの間。 いきなり事件が発生してしまう。 結婚したその翌日に、双子の姉が令嬢教育の教育係をやめさせてしまった。 しかもジオルトは仕事で出かけていて、帰ってくるのはなんと一週間後だ。 (こうなったら、私がなんとかするしかないわ!) 腹をくくったエレナは、おもいきった行動を起こす。 それがきっかけとなり、ちょっと癖のある美少女双子義娘と、彼女たちよりもさらに癖の強いジオルトとの距離が縮まっていくのだった――。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。 ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。 別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら? ー全50話ー

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。

真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。 親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。 そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。 (しかも私にだけ!!) 社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。 最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。 (((こんな仕打ち、あんまりよーー!!))) 旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。

処理中です...