溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ

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 何か用? 
 と。フィオナが表情をなくした顔で問いかける前に、ミックが「調子にのるなよ貴様ぁぁ!!」と叫びながら、フィオナに飛びかかってきた。

「……ぐっ……っっ」

 壁に押し付けられたフィオナの首を、目を血走らせたミックが両手で掴んだ。ギリギリと力を強めていき、フィオナの首を締め付けていく。

「優しくしてやっていればつけあがりやがって……何が吐き気だ! それはこっちの科白だ!!」

 校内にまだ生徒はほとんどいないとはいえ、教師は何人かいる。そんなことはもはや頭にないのか。ミックが叫び続ける。あたりにミックの声がわんと響いた。

「ああ、そうだ! ぼくが間違っていたよ! お前なんかが、フローラの代わりになんてなれるはずなかったんだ! 期待したぼくが馬鹿だったよ!!」

「……がっ……」

 喉が圧迫され、呼吸ができないフィオナの意識が遠のいていく。苦しい。苦しい。もがき、あがく。死ぬ覚悟はできていたはずなのに。どうして。

 フィオナの頬に、一筋の涙がこぼれた。薄れゆく意識の中でまぶたの裏に浮かんだのは、笑顔のジェマと──そして。

「死ね! 死ね! 死ね!」

 声を荒げるミックの声が、遠くなっていく。抵抗する力もなくなり、フィオナの両腕が重力に逆らうことなくだらんと宙に揺れた。それでもミックが力をゆるめる様子はない。


 ──ああ、ここで終わるのだと。


 フィオナは苦しみの中、一人、悟った。



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