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 昼の日差しは心地よく、昼食をすませ、街で買い物をするころには、リアはすっかり上機嫌になっていた。なにしろモーガンのエスコートは完璧で、欲しいところで欲しい言葉をくれる。

「大丈夫? 少し疲れたんじゃない?」

「どうしてわかるの?」

「わかるさ。君のことならね。あそこで少し休憩しようか」

 街中にあるベンチまで手を引かれたリアが腰かける。手に持った複数の荷物をベンチに置いたあと、モーガンもリアの隣に座った。

「そんなにたくさん買ってもらわなくてもよかったのに」

 モーガンはいつも、リアが素敵、かわいいと言ったハンカチや小物などを、片っ端から購入しようする。毎回止めるのだが、いくつかは購入したあとだったりするのだ。

「こんなことしかできなのが情けないけれど、いくら妹のためとはいえ、君を待たせてしまったことへのつぐないがしたいんだ。それに私は、何より君の笑った顔が大好きなんだよ」

 真顔で、真っ直ぐな言葉をささやくモーガン。見惚れるような、まぶしい笑顔。結局はこれで、いつも許してしまうのだ。それがモーガンの甘えにつながっていることは承知しているのだが。

(……本当にアビーの具合が悪いのなら、こんなことで怒っては駄目よね)

 そんな考えも手伝い、リアは「もう怒ってないわ」と、笑った。
 

 夕刻。
 ニールが待つ広場へと二人で向かっていると、モーガンが「妹がね。また君に会いたいって言っていたのだけど」とひかえめに口火をきってきた。

 リアはぎくりとした。

「……ごめんなさい。このあとは、お父様とのお約束が」

「少しも駄目、かな?」

 哀しそうに、モーガンが重ねてくる。この言い訳をつかうのは三度目だったりするので、リアはさすがに観念することにした。なにより、モーガンに嫌われたくなかったから。

「す、少しだけなら」

 モーガンは、ぱっと笑顔になった。

「そうか、よかった。アビーもよろこぶよ」

 リアは重く「……そうだといいのだけれど」とこっそりと呟いた。

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