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1章 始まりの街ロンドン
15 オリビアの話
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「お忙しいところありがとうございます」
ジークは従業員のオリビアに言った。
「いえ、モルダーさんに協力するよう言われただけです」
「オリビアさんはここは長いんですか?」
「二年になります。その前は飲食店で働いていました」
「では、その二年の間に秘密の金庫を探す客は今までもいましたか?」
「はい。001号室のフィービー様とマーク様のような方はこれまでもいました。ですが、結局のところ誰一人秘密の金庫を見つけられてはいません」
「普段のお仕事を教えて下さい」
「はい。基本ロビーでの仕事になりますが、モルダーさんと私しかこの時期はいませんので、ベッドメイキングも私が行っています。普段はこれ程客室がうまることはなかったのですが」
「ええ、そのようですね。それでは、今日はどうしていましたか?」
「今日はずっとロビーか事務所にいました。モルダーさんは忙しそうでしたので」
「それを証明できますか?」
「えーと……アリバイですか?」
「まぁ、そんなところです」
「ありませんが」
「そうですか。因みに、調理場には今日行かれましたか?」
「いいえ。それはシェフに訊いていただければ分かると思います」
「それでは、今日宿泊されている宿泊客で過去にも宿泊された方はいましたか?」
「ハンターのお二人です」
「それ以外はどうです?」
「初めてです。モルダーさんに確認していただければ分かると思います。モルダーさんの方が私より詳しい筈ですから」
「実はモルダーさんにも同じようなことを訊いています。しかし、あなたからもそれを確認したかったんです」
「ああ、そうでしたか」
「宿泊客からあなたに何かお願いことをされたりとかはありませんでしたか?」
「いいえ」
「この事件についてどう思われますか?」
「怖いです。まだ、この中に犯人がいるかもしれないんですよね?」
「あの、私が訊きたいのは気になる点や怪しい点とかです」
「ああ、そうでしたか。失礼しました。いや……どうでしょう、直ぐには思いつきません」
「あなたから見て怪しい人物はいますか?」
「さぁ……」
「分かりました。では、質問は以上です。モルダーさんを呼んで来てもらえますか?」
「はい」
それから暫くして、モルダーがやって来た。
「ジーク様、お待たせ致しました」
「モルダーさん、実はまだ話しをちゃんと訊けていない方がいます。001号室の宿泊客です。どうですか、二人から話しを伺えませんか?」
「前にもお願いしてみたのですが、お二人はご協力出来ないと申してまして」
「どうしてですか?」
「お気を悪くなさらないでください、お二人は警察ではない方に喋るようなことはないと仰られています」
「なる程、そうですか」
「あの、急かすようで申し訳ないのですが、手掛かりは見つかりましたでしょうか?」
「もう一度、あの夫妻から話しを訊けないかお願い出来ませんか?」
「分かりました。少々お待ち下さい」
その時だった。
パリン。
何か割れるような音がした。
「何の音?」
ジークがそう言うが、モルダーも分からない顔をしていた。
二人で音のした方へ向かうと、ロビーにウルフが一匹入り込んでいた。
グルルル……
牙をむき出しにし此方をロックオンするウルフ。
モルダーは悲鳴をあげた。
「なんでウルフがいるんだ!」と言いながら武器を取ろうとして気づいた。武器は自分の部屋に置いといたままだった。
まさか、事件の最中にバトルが発生するなんて思ってもいなかったからだ。
丸腰二人が固まってウルフは二人が抵抗してこないと気づき、ウルフは飛びかかった。
まさか自分から!!
やられる!
思わず何も手にしていない両手を前にクロスさせガードのかたちをとった。
その直後、銃声がした。
目を開けると、ウルフは血を流しその場で倒れていた。
振り向くと、そこにはオッドとホワイトが銃を構えて立っていた。そこに、ホルトとソニエールもやって来る。
「大丈夫だったか?」とホルトは訊いた。
「だ、大丈夫です」
そこへ、銃声を耳にした宿泊客がぞろぞろと階段から此方へ降りてきた。
「さっき銃声がしたが何事だ……って、何だ! ウルフが中に入ってきているじゃないか!?」とマークは驚きながら言った。
「邪魔だ」とマークをどけて此方へ来たのはスミスだった。それに続いてエニス・パーカーも銃を持って現れた。
「ウルフが入ってきたのか」
「ウルフが建物の中まで入ってくることなんてなかったのに」
「エニス、建物の外にも群れがいるぞ」
スミスは窓の外を見ながら言った。外は相変わらず吹雪が強く視界が悪いが、その中に紛れてチラチラとウルフの姿が見えた。
するとフィービーが悲鳴をあげた。
「もうおしまいよ!」
優しくマークがフィービーを抱いた。
「大丈夫だ。運良くここにはハンターがいる」
「あなたが誘わなければこんな寒い日に来たりはしなかったわ!」
「そんなこと言うな」
そんな二人を見てソニエールは「やれやれ」と言った。
ホルトは自分に武器を取りに行くよう言い、ジークは頷くと部屋へ向かった。
武器を取り再びロビーに戻るとハンター二人の姿は既にいなくなっていた。
「ハンターならもう外でウルフと戦闘をしている。俺達も向かうぞ」とホルトは言った。
ジーク達も武器を構えながら視界の悪い白い景色に飛び込んだ。
ジークは従業員のオリビアに言った。
「いえ、モルダーさんに協力するよう言われただけです」
「オリビアさんはここは長いんですか?」
「二年になります。その前は飲食店で働いていました」
「では、その二年の間に秘密の金庫を探す客は今までもいましたか?」
「はい。001号室のフィービー様とマーク様のような方はこれまでもいました。ですが、結局のところ誰一人秘密の金庫を見つけられてはいません」
「普段のお仕事を教えて下さい」
「はい。基本ロビーでの仕事になりますが、モルダーさんと私しかこの時期はいませんので、ベッドメイキングも私が行っています。普段はこれ程客室がうまることはなかったのですが」
「ええ、そのようですね。それでは、今日はどうしていましたか?」
「今日はずっとロビーか事務所にいました。モルダーさんは忙しそうでしたので」
「それを証明できますか?」
「えーと……アリバイですか?」
「まぁ、そんなところです」
「ありませんが」
「そうですか。因みに、調理場には今日行かれましたか?」
「いいえ。それはシェフに訊いていただければ分かると思います」
「それでは、今日宿泊されている宿泊客で過去にも宿泊された方はいましたか?」
「ハンターのお二人です」
「それ以外はどうです?」
「初めてです。モルダーさんに確認していただければ分かると思います。モルダーさんの方が私より詳しい筈ですから」
「実はモルダーさんにも同じようなことを訊いています。しかし、あなたからもそれを確認したかったんです」
「ああ、そうでしたか」
「宿泊客からあなたに何かお願いことをされたりとかはありませんでしたか?」
「いいえ」
「この事件についてどう思われますか?」
「怖いです。まだ、この中に犯人がいるかもしれないんですよね?」
「あの、私が訊きたいのは気になる点や怪しい点とかです」
「ああ、そうでしたか。失礼しました。いや……どうでしょう、直ぐには思いつきません」
「あなたから見て怪しい人物はいますか?」
「さぁ……」
「分かりました。では、質問は以上です。モルダーさんを呼んで来てもらえますか?」
「はい」
それから暫くして、モルダーがやって来た。
「ジーク様、お待たせ致しました」
「モルダーさん、実はまだ話しをちゃんと訊けていない方がいます。001号室の宿泊客です。どうですか、二人から話しを伺えませんか?」
「前にもお願いしてみたのですが、お二人はご協力出来ないと申してまして」
「どうしてですか?」
「お気を悪くなさらないでください、お二人は警察ではない方に喋るようなことはないと仰られています」
「なる程、そうですか」
「あの、急かすようで申し訳ないのですが、手掛かりは見つかりましたでしょうか?」
「もう一度、あの夫妻から話しを訊けないかお願い出来ませんか?」
「分かりました。少々お待ち下さい」
その時だった。
パリン。
何か割れるような音がした。
「何の音?」
ジークがそう言うが、モルダーも分からない顔をしていた。
二人で音のした方へ向かうと、ロビーにウルフが一匹入り込んでいた。
グルルル……
牙をむき出しにし此方をロックオンするウルフ。
モルダーは悲鳴をあげた。
「なんでウルフがいるんだ!」と言いながら武器を取ろうとして気づいた。武器は自分の部屋に置いといたままだった。
まさか、事件の最中にバトルが発生するなんて思ってもいなかったからだ。
丸腰二人が固まってウルフは二人が抵抗してこないと気づき、ウルフは飛びかかった。
まさか自分から!!
やられる!
思わず何も手にしていない両手を前にクロスさせガードのかたちをとった。
その直後、銃声がした。
目を開けると、ウルフは血を流しその場で倒れていた。
振り向くと、そこにはオッドとホワイトが銃を構えて立っていた。そこに、ホルトとソニエールもやって来る。
「大丈夫だったか?」とホルトは訊いた。
「だ、大丈夫です」
そこへ、銃声を耳にした宿泊客がぞろぞろと階段から此方へ降りてきた。
「さっき銃声がしたが何事だ……って、何だ! ウルフが中に入ってきているじゃないか!?」とマークは驚きながら言った。
「邪魔だ」とマークをどけて此方へ来たのはスミスだった。それに続いてエニス・パーカーも銃を持って現れた。
「ウルフが入ってきたのか」
「ウルフが建物の中まで入ってくることなんてなかったのに」
「エニス、建物の外にも群れがいるぞ」
スミスは窓の外を見ながら言った。外は相変わらず吹雪が強く視界が悪いが、その中に紛れてチラチラとウルフの姿が見えた。
するとフィービーが悲鳴をあげた。
「もうおしまいよ!」
優しくマークがフィービーを抱いた。
「大丈夫だ。運良くここにはハンターがいる」
「あなたが誘わなければこんな寒い日に来たりはしなかったわ!」
「そんなこと言うな」
そんな二人を見てソニエールは「やれやれ」と言った。
ホルトは自分に武器を取りに行くよう言い、ジークは頷くと部屋へ向かった。
武器を取り再びロビーに戻るとハンター二人の姿は既にいなくなっていた。
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