26 / 124
2章 箱の中身は
05 ケインの妻の話
しおりを挟む
食堂車はケインの妻と警部、ジークのみになった。
「さて、もう話しを伺っても大丈夫でしょうか?」
警部はケインの妻に訊いた。
「ええ」
女は複雑そうな顔をしていた。
「恐らく警部さんはお気づきなのでしょうね」
「話してくれますか?」
「はい。実は私の夫は不倫をしています。気づいたのは数カ月前ですが。それで相手が誰か私立探偵にお願いをしました。すると、あの女、スカーレットだと分かりました」
「その女性とは」
「知りません。しかし、探偵が見せた顔写真の女がこの列車にいたのには驚きました。勿論、こんな偶然はないでしょう。恐らく、私の知らないところで夫とあの女は私がいるというのに大胆に一緒になろうと企んだに違いないでしょう。ですが警部さん、私が恨みを持つならその女で殺害された記者ではありません」
「ええ、分かりました」
女が去った後で警部はどう思うかジークに訊いた。
「あの女性がやったわけではないでしょう。記者を殺害する動機はありません」
「スカーレットも同様だろうな。だとしたら、犯人は誰になる? そもそも、乗客にはどう考えても不可能だ」
確かに、どんなに動機を探ったところで、可能な犯人が見当たらない。
「そう言えば、警部はあの市議のことはご存知ですか?」
「ボーダン市議のことか?」
「あの女優が言っていたことが気になりまして」
「汚職の件か。確かにあの市議には悪い噂がある。だが、証拠はない」
「ということは警察は捜査していたんですね」
「密かにな。だが、ボーダン市議にはくれぐれも黙っておいてくれよ」
「市議は次の市長選に立候補するそうですね?」
「政治にでも興味を持ったのか?」
「因みに、あの市議を支持する大元はどこですか?」
「色々だな。あの市議に恩義を持っている者、恩義を期待する者だ。特にこの列車の会社だって今回の市長選ではボーダン市議を支持している。まさかだとは思うが、会社がボーダン市議を今回の犯行を守っていると言うんじゃないだろうな?」
「唯一、市議はスタッフの証言のみが頼りです。その証言をする人物と市議の関係があるのであれば証言は怪しくなります」
「家族や友人の証言がまさにそうだが、従業員がわざわざ市議を守るか?」
「今回、凶器を用意したところを見れば、計画殺人であることに間違いありません。あらかじめ、打ち合わせがなされていたのかもしれません」
警部は天井を見て考え事をしてから「少し時間をくれ」と言った。
「さて、もう話しを伺っても大丈夫でしょうか?」
警部はケインの妻に訊いた。
「ええ」
女は複雑そうな顔をしていた。
「恐らく警部さんはお気づきなのでしょうね」
「話してくれますか?」
「はい。実は私の夫は不倫をしています。気づいたのは数カ月前ですが。それで相手が誰か私立探偵にお願いをしました。すると、あの女、スカーレットだと分かりました」
「その女性とは」
「知りません。しかし、探偵が見せた顔写真の女がこの列車にいたのには驚きました。勿論、こんな偶然はないでしょう。恐らく、私の知らないところで夫とあの女は私がいるというのに大胆に一緒になろうと企んだに違いないでしょう。ですが警部さん、私が恨みを持つならその女で殺害された記者ではありません」
「ええ、分かりました」
女が去った後で警部はどう思うかジークに訊いた。
「あの女性がやったわけではないでしょう。記者を殺害する動機はありません」
「スカーレットも同様だろうな。だとしたら、犯人は誰になる? そもそも、乗客にはどう考えても不可能だ」
確かに、どんなに動機を探ったところで、可能な犯人が見当たらない。
「そう言えば、警部はあの市議のことはご存知ですか?」
「ボーダン市議のことか?」
「あの女優が言っていたことが気になりまして」
「汚職の件か。確かにあの市議には悪い噂がある。だが、証拠はない」
「ということは警察は捜査していたんですね」
「密かにな。だが、ボーダン市議にはくれぐれも黙っておいてくれよ」
「市議は次の市長選に立候補するそうですね?」
「政治にでも興味を持ったのか?」
「因みに、あの市議を支持する大元はどこですか?」
「色々だな。あの市議に恩義を持っている者、恩義を期待する者だ。特にこの列車の会社だって今回の市長選ではボーダン市議を支持している。まさかだとは思うが、会社がボーダン市議を今回の犯行を守っていると言うんじゃないだろうな?」
「唯一、市議はスタッフの証言のみが頼りです。その証言をする人物と市議の関係があるのであれば証言は怪しくなります」
「家族や友人の証言がまさにそうだが、従業員がわざわざ市議を守るか?」
「今回、凶器を用意したところを見れば、計画殺人であることに間違いありません。あらかじめ、打ち合わせがなされていたのかもしれません」
警部は天井を見て考え事をしてから「少し時間をくれ」と言った。
0
あなたにおすすめの小説
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが
まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」
そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる