27 / 124
2章 箱の中身は
06 ボーダンの話
しおりを挟む
その後、ボーダンは警部によって食堂車に呼び出された。
「私に訊きたいことがあるそうだが、話すことはもうないと思うが? 犯人は捕まえたのだろ?」
「あの犯人はあくまでも盗みをしただけで、カリン・ペイン殺害に関与していません。第一、カイン・ペイン殺害にあの6名は不可能です。皆さんがそう証言をされたじゃありませんか」とジークは言った。
「何故、君がいるんだ」
「私が許可しました」と警部は言った。
「何? 警察はいつから探偵に捜査をさせるようになった?」
「ボーダン市議、今は私の話しに集中してはくれませんか?」
市議はフンと鼻息を荒くした。
「いいだろう。なら、殺害された時間は別の可能性もある。あの銃声がフェイクだったのだ」
「あり得ません。第一発見者の車掌が銃声を聞いて、既に遺体を発見している以上、発砲の後に殺害するのは不可能」
「その前かもしれん。私はあの記者が夕食以降姿を見ていない。その時間帯からなら、アリバイのないものは出てくるのではないのか? あなた達は発砲音がした時間帯に縛られているが、それこそがミスリードだったかもしれんぞ」
「そもそもボーダン市議、私達はあなたが犯人であるという確証を持っています」
「なんだと!?」
ボーダンは顔を青ざめた。
「いいですか、犯人はまず最後の忠告をカリン・ペインにしました。ドアの下の隙間から入れておいてね。それを見たカリン・ペインは残念ながら脅迫に屈することはありませんでした。普通に堂々と食堂車に現れ、何気ない雰囲気を見たあなたはあの記者の強さを知った。だから、最終手段に出たのです。あなたはトイレに行くふりをし、本当はトイレには行かずカリン・ペインの部屋へ向かった。ドアを開けた彼女は、脅迫したのがボーダン市議だったと知り、むしろ脅迫した内容まで記事にするつもりだったのでしょう。彼女は知らなかった。焦った市議があなたに直接交渉に来たのだと勘違いをしたんです。本当はこれから市議に殺されるとも知らずに。そして、犯行は行われた。動機はあなたのスキャンダルを記者に知られたことです。あなたが焦ったのは、市長選が近いからです」
「バカバカしい。全て妄想だ。第一、スキャンダルなんてものはないし、あるとしたらあの女のことだ、とっとと公表している筈だろ」
「随分と、あの記者のことを理解している言い方をしますね」
「っ! 揚げ足を取るとはいい性格ではないな!」
「残念なことに探偵は警察同様嫌われ役です」
「おい」と思わず警部がツッコミを入れた。
ジークは咳払いをした。
「そして、この場所をあなたが選んだ最大の理由は協力者がいることです。あなたは昔、この鉄道会社に対して大金の援助をしていますね。鉄道会社にとって銀行から金を借りるにも国によって制限がかけられます。借金に頼らず投資を受ける必要が出た会社にあなたは救いの手を差し伸べた。見返りにあなたを支持するよう会社に求めた」
「証拠はあるのか! 証拠は! いいか、お前達。好き勝手に私を犯人呼ばわりしているが、君達の話しには何一つ私がやったという証拠はないんだぞ。そもそも君、警察が探偵の言うことを信じてどうする? 君の責任は重大だぞ。分かっているんだろうな」
「証拠ならあります」と警部が言うと、ボーダンは唖然とした。
「は?」
「実はスタッフが自白をしました。会社の命令でアリバイの証言をしてしまったと」
「クソったれがぁ!! あの馬鹿!」
「あんたの方がクソったれだ市議。いや、もうあんたは市議でもないな」
そう言われた市議は力を失い、崩れるように椅子からずり落ちた。
「私に訊きたいことがあるそうだが、話すことはもうないと思うが? 犯人は捕まえたのだろ?」
「あの犯人はあくまでも盗みをしただけで、カリン・ペイン殺害に関与していません。第一、カイン・ペイン殺害にあの6名は不可能です。皆さんがそう証言をされたじゃありませんか」とジークは言った。
「何故、君がいるんだ」
「私が許可しました」と警部は言った。
「何? 警察はいつから探偵に捜査をさせるようになった?」
「ボーダン市議、今は私の話しに集中してはくれませんか?」
市議はフンと鼻息を荒くした。
「いいだろう。なら、殺害された時間は別の可能性もある。あの銃声がフェイクだったのだ」
「あり得ません。第一発見者の車掌が銃声を聞いて、既に遺体を発見している以上、発砲の後に殺害するのは不可能」
「その前かもしれん。私はあの記者が夕食以降姿を見ていない。その時間帯からなら、アリバイのないものは出てくるのではないのか? あなた達は発砲音がした時間帯に縛られているが、それこそがミスリードだったかもしれんぞ」
「そもそもボーダン市議、私達はあなたが犯人であるという確証を持っています」
「なんだと!?」
ボーダンは顔を青ざめた。
「いいですか、犯人はまず最後の忠告をカリン・ペインにしました。ドアの下の隙間から入れておいてね。それを見たカリン・ペインは残念ながら脅迫に屈することはありませんでした。普通に堂々と食堂車に現れ、何気ない雰囲気を見たあなたはあの記者の強さを知った。だから、最終手段に出たのです。あなたはトイレに行くふりをし、本当はトイレには行かずカリン・ペインの部屋へ向かった。ドアを開けた彼女は、脅迫したのがボーダン市議だったと知り、むしろ脅迫した内容まで記事にするつもりだったのでしょう。彼女は知らなかった。焦った市議があなたに直接交渉に来たのだと勘違いをしたんです。本当はこれから市議に殺されるとも知らずに。そして、犯行は行われた。動機はあなたのスキャンダルを記者に知られたことです。あなたが焦ったのは、市長選が近いからです」
「バカバカしい。全て妄想だ。第一、スキャンダルなんてものはないし、あるとしたらあの女のことだ、とっとと公表している筈だろ」
「随分と、あの記者のことを理解している言い方をしますね」
「っ! 揚げ足を取るとはいい性格ではないな!」
「残念なことに探偵は警察同様嫌われ役です」
「おい」と思わず警部がツッコミを入れた。
ジークは咳払いをした。
「そして、この場所をあなたが選んだ最大の理由は協力者がいることです。あなたは昔、この鉄道会社に対して大金の援助をしていますね。鉄道会社にとって銀行から金を借りるにも国によって制限がかけられます。借金に頼らず投資を受ける必要が出た会社にあなたは救いの手を差し伸べた。見返りにあなたを支持するよう会社に求めた」
「証拠はあるのか! 証拠は! いいか、お前達。好き勝手に私を犯人呼ばわりしているが、君達の話しには何一つ私がやったという証拠はないんだぞ。そもそも君、警察が探偵の言うことを信じてどうする? 君の責任は重大だぞ。分かっているんだろうな」
「証拠ならあります」と警部が言うと、ボーダンは唖然とした。
「は?」
「実はスタッフが自白をしました。会社の命令でアリバイの証言をしてしまったと」
「クソったれがぁ!! あの馬鹿!」
「あんたの方がクソったれだ市議。いや、もうあんたは市議でもないな」
そう言われた市議は力を失い、崩れるように椅子からずり落ちた。
0
あなたにおすすめの小説
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが
まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」
そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる