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3章 クリスマスの夜
05 案内の先は
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パーティー会場が開く時間。遂にこの時が訪れてしまった。
結局、得られるものはほとんどなく、三人はとりあえず会場入りした。
会場では美味しそうな料理が並んでおり、それを取って食べるというもの。既にエリックはシャンパンを飲み始めていた。彼は単にパリの案内人だから自分の助手ということではないし、責めるのは間違いだった。
しかし、ジークの中ではまだ諦めがついていなかった。
確かに、二人が言っていた通りこれだけの情報では諜報員を見つけるのはそもそも困難だ。
では、誰が怪しいか? やはり思いつくのはパロットだ。しかし、カルメンは違うと否定した。信じていいのだろうか? そもそも彼女が嘘をつく理由は? それは彼を恐れているからか? しかし、それだけの理由で機密文書が盗まれたことをよしと出来るのか? それとも弱みを握られているとか? だとしたらあり得る。カルメンは次の選挙でリードをとっている。しかし、そこにスキャンダルがあったらどうだろうか。選挙は当日になってみないと分からない。カルメンにとってはまだ油断出来ない状況だ。
他に怪しい人物はいないだろうか? 分からない。
ジークは周囲を見渡した。
皆楽しそうに会話をしている。と、そこに例の男があろうことか現れた。
「ジークだね?」
「はい、そうですが」
「君は私のことを知っているんだろ?」
「どうしてですか?」
「カルメンと一緒にいたところを見たからだ。それに、私の質問に否定はしなかった」
「はい、知っています。カーソン・パロット元大佐」
パロットは笑った。
「元大佐か。パロットでいい」
「他の皆はあなたをどう呼ぶんですか?」
「パロットでいいと言ったろ? それより切り裂きジャック事件を解決した探偵に会ってお礼をしたいと思っていたところだったんだ。なんという偶然」
「偶然? いや、それよりお礼ってどういう意味ですか?」
「切り裂きジャック事件の最初の被害者サラは私の娘だった」
「え!?」
「と言っても義理だが。それでも家族であることにはかわりがない。本当ならこの手で犯人をとっ捕まえて始末したかったさ。犯人が死んでいたとは残念だ。まぁ、なんであれ君には感謝するよ、探偵さん」
パロットはそう言うと、人ごみの中へと消えていった。
その後でエリックが現れた。
「さっきパロットと話してなかったか」
「あちらから話しかけられた」
「パロットの方から!? 君に何て話したのさ」
「それより一つ明らかになったことがある」
「なんだ急に」
「君は言っただろ? 私が指示を出せばその場所へと案内するって。だが、君が案内したのはあのパロットじゃなかったのか?」
「なっ」
「最初、君が私に案内させたのは占い師だ。占い師はこのパーティー会場に私の探している人物が現れると言った。かなり具体的な占いで、私の知る占いと違っていたが、最初はそんなものかと思っていた。でも、君もあの占い師も、そして私に依頼をした市長ですら私を騙していたと考えれば、そのちょっとした疑問も解ける。そもそも、諜報員なんていなかった。私にあの男を会わせるのが目的だったんだ」
「何を言っているんだ。そもそもそんな回りくどいやり方をする理由はなんだ」
「市長選へ立候補し勝つ見込みがあるカルメンが恐れ、現職の市長を動かすことができ、自分には協力者がいることをあの男はこの短い期間で分かりやすく説明したじゃないか。切り裂きジャック事件の最初の被害者が義理の娘かどうかの真意はともかくとして、あの男の狙い通りになったわけだ。ホランド警部が事件を解決した時に私に警告した理由も納得できる」
その時、会場に警官達が入り込んだ。
「殺人事件がこのホテルで発生しました。皆さんはこの場所から動かないようお願いします」
警察のアナウンスにエリックはジークに「殺人事件だって!?」と言った。
だが、ジークは冷静に答える。
「被害者は3階の宿泊客だろ。犯人は分かっている」
「え!?」
「酔っていて覚えていない? 私達は昨日カーソン・パロットとすれ違った。彼がやったんだ。だが、きっと恐らく証拠は出てこない筈だ。何故なら、このホテルも全て彼の言いなりだからだ。まさに、殺人を犯しても自分は捕まらないと私に教えてくれたんだよ。腹立たしいことにね」
(第三章・完)
結局、得られるものはほとんどなく、三人はとりあえず会場入りした。
会場では美味しそうな料理が並んでおり、それを取って食べるというもの。既にエリックはシャンパンを飲み始めていた。彼は単にパリの案内人だから自分の助手ということではないし、責めるのは間違いだった。
しかし、ジークの中ではまだ諦めがついていなかった。
確かに、二人が言っていた通りこれだけの情報では諜報員を見つけるのはそもそも困難だ。
では、誰が怪しいか? やはり思いつくのはパロットだ。しかし、カルメンは違うと否定した。信じていいのだろうか? そもそも彼女が嘘をつく理由は? それは彼を恐れているからか? しかし、それだけの理由で機密文書が盗まれたことをよしと出来るのか? それとも弱みを握られているとか? だとしたらあり得る。カルメンは次の選挙でリードをとっている。しかし、そこにスキャンダルがあったらどうだろうか。選挙は当日になってみないと分からない。カルメンにとってはまだ油断出来ない状況だ。
他に怪しい人物はいないだろうか? 分からない。
ジークは周囲を見渡した。
皆楽しそうに会話をしている。と、そこに例の男があろうことか現れた。
「ジークだね?」
「はい、そうですが」
「君は私のことを知っているんだろ?」
「どうしてですか?」
「カルメンと一緒にいたところを見たからだ。それに、私の質問に否定はしなかった」
「はい、知っています。カーソン・パロット元大佐」
パロットは笑った。
「元大佐か。パロットでいい」
「他の皆はあなたをどう呼ぶんですか?」
「パロットでいいと言ったろ? それより切り裂きジャック事件を解決した探偵に会ってお礼をしたいと思っていたところだったんだ。なんという偶然」
「偶然? いや、それよりお礼ってどういう意味ですか?」
「切り裂きジャック事件の最初の被害者サラは私の娘だった」
「え!?」
「と言っても義理だが。それでも家族であることにはかわりがない。本当ならこの手で犯人をとっ捕まえて始末したかったさ。犯人が死んでいたとは残念だ。まぁ、なんであれ君には感謝するよ、探偵さん」
パロットはそう言うと、人ごみの中へと消えていった。
その後でエリックが現れた。
「さっきパロットと話してなかったか」
「あちらから話しかけられた」
「パロットの方から!? 君に何て話したのさ」
「それより一つ明らかになったことがある」
「なんだ急に」
「君は言っただろ? 私が指示を出せばその場所へと案内するって。だが、君が案内したのはあのパロットじゃなかったのか?」
「なっ」
「最初、君が私に案内させたのは占い師だ。占い師はこのパーティー会場に私の探している人物が現れると言った。かなり具体的な占いで、私の知る占いと違っていたが、最初はそんなものかと思っていた。でも、君もあの占い師も、そして私に依頼をした市長ですら私を騙していたと考えれば、そのちょっとした疑問も解ける。そもそも、諜報員なんていなかった。私にあの男を会わせるのが目的だったんだ」
「何を言っているんだ。そもそもそんな回りくどいやり方をする理由はなんだ」
「市長選へ立候補し勝つ見込みがあるカルメンが恐れ、現職の市長を動かすことができ、自分には協力者がいることをあの男はこの短い期間で分かりやすく説明したじゃないか。切り裂きジャック事件の最初の被害者が義理の娘かどうかの真意はともかくとして、あの男の狙い通りになったわけだ。ホランド警部が事件を解決した時に私に警告した理由も納得できる」
その時、会場に警官達が入り込んだ。
「殺人事件がこのホテルで発生しました。皆さんはこの場所から動かないようお願いします」
警察のアナウンスにエリックはジークに「殺人事件だって!?」と言った。
だが、ジークは冷静に答える。
「被害者は3階の宿泊客だろ。犯人は分かっている」
「え!?」
「酔っていて覚えていない? 私達は昨日カーソン・パロットとすれ違った。彼がやったんだ。だが、きっと恐らく証拠は出てこない筈だ。何故なら、このホテルも全て彼の言いなりだからだ。まさに、殺人を犯しても自分は捕まらないと私に教えてくれたんだよ。腹立たしいことにね」
(第三章・完)
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