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4章 犯人はゴースト
01 VSゴースト
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元大佐から最悪なクリスマスプレゼント(メッセージ)を受け取ったジークにとって初めての敗北の日となった。
まさに、特別な日になったわけだ。
そんな鬱憤を晴らすかのようにロンドンに戻ったジークはそのままギルドへ直行した。
ギルドに入りクエストを探し、敵を討伐して、運動をしなければこのモヤモヤは解決出来ない。と、そこに懐かしい人物が掲示板の隣に立った。振り向くと、ホルトだった。
「久しぶりだな、ジーク。と言ってもそれ程日はたっていないが」
「おお! ホルト!!」
「なんだ、クエストを受けに来たのか?」
「うん」
「なら、一緒にやらないか? ソロも悪くないがパーティーを組んだ方が効率がいい」
「ああ!」
ふと、ホルトの武器に目をやった。
「あれ? 今は両手剣を使っているの?」
「ああ、これな。まぁ、お試しさ。色んな武器が使えた方が状況によっては有利に進められる。そう言うジークはまだ片手剣なのか?」
「ああ……まだそんなにクエストをやってなくて」
すると、ホルトは笑った。
「噂は聞いてるよ。俺と別れた後も事件を解決したみたいじゃないか」
「ぼちぼちね」
「謙遜するな、名探偵。しかし、片手剣は初心者には向いているが、他のも試した方がいいだろう」
「例えばどんな?」
「そうだな、武器もそうなんだがスキルとかは取得しないのか?」
「スキル?」
「例えば騎馬スキルや運転スキルがあるとかなり移動が便利になる。スキルレベルが上がれば、色んなものを運転、操縦できるようになる。あとは鍛冶スキルかな。店でやってもらえるが自分で出来るなら、コストは安く済む。長い目で見れば節約になる。特に武器は消耗品だからな、鍛冶スキルは重宝されている。ビジネスにもなるからな。鍛冶スキルのレベルが上がれば、店には売っていない自分に合ったオリジナルの武器を作り、より磨けるようになる」
「考えておくよ」
「ああ、そうした方がいい。スキルがあればパーティーに誘われるようにもなるだろう。それで、何を受ける?」
ジークは目線を掲示板に向け、一つを選んだ。
「これかな?」
「へぇ、ゴースト退治。たいした敵じゃないし、初心者向けのクエストだが、そんなんでいいのか?」
「まだレベルが高くなくて」
「なる程。なら、丁度いいな。よし、それじゃあこれにしよう。受付してくるから待っていてくれ」
「うん、ありがとう」
受付を済ませたジーク達はその後、ゴーストが出るとされる今は廃墟と化した団地へと向かった。
誰も住んでいないこともあって静けさと、錆びついた建物がそこにあっただけだった。
「ゴーストは昼間は現れない。夜にしか出現しないんだ。だが、昼の内に下見をして構造は頭の中に把握しておいた方がいい」
円をつくるように3階建ての建物が一棟から四棟まであり、中心には手入れされずに放置された中庭があった。
「この団地の住人は既に立ち退きを済ませてある。あとは解体だけだが、ゴーストが現れちゃ解体工事も出来ない。俺達はここにいるゴーストを全て倒す、それが今回の任務だ」
「ゴーストって普通に武器は通用するの?」
「ゴーストになるって言うのはな、何かしら罪を犯した魂がなるもので、普通なら成仏するものさ。特に殺人ってなると、かなり凶暴になる。そして、沢山殺したことのある魂はゴーストじゃなく悪魔へ変わるんだ」
「悪魔?」
「ゴーストの上位種だな。悪魔は上級者しか受けられない。悪魔で何人もやられてきたからな。それで、さっきのジークの質問だが、奴らが襲ってくる時、俺達はそのゴーストに触れられる。武器にお寺のお経を受けるか、教会の聖水をかければよりダメージを与えられる。もしくは教会の連中が持っている特別な武器とかな。とにかく、コツは分かっただろ?」
「ああ」
「それとこれを渡しておく」
そう言ってホルトはお守りを渡してきた。
「これは身代わりだ。ゴーストは生きている人間に憑依しようとしたりするが、これがあればその心配はない」
そして、夜になった。
再び団地に訪れると、中庭で二つの明かりが見えた。
「おいおい、なんで人がこんな場所にいるんだ?」
ホルトは怒り気味に二人のもとへ早足で向かった。
若い男女のカップルだった。
「お前達、何をしている」
ホルトの質問に男が答えた。
「すいません」
「何をしている?」
「その、肝試しのつもりで」
「ここは本当にゴーストが出るんだ。遊びで来ていい場所じゃない。そもそも、入口には立入禁止とあっただろ。お前達のしていることは不法侵入だ」
しかし、カップルの女性の方は反省している様子はなく、むしろ不機嫌そうにしだした。
「謝ってるんだから許してよそれぐらい。もう出るから」
「まだだ。君達は学生か?」
男は頷いたが、女は答えようともしなかった。
ホルトは女の態度を無視して続けた。
「それじゃ大学生か。名前は?」
「アンドリュー」
「君は」
「言いたくない」
女はホルトの顔を見ずに答えた。その女性の利き手は彼の手を掴んでいた。自分達なんかを無視して早くこの場から立ち去りたいのだろう。無論、ホルトは気づいていたからこそ、男の近くに立っていた。
ホルトから逃げるのは不可能だとジークは思った。それはアンドリューも同じだった。この状況で唯一諦めていないのは女の方だった。
少しだけ待ったが、女の態度が変わらないのを見てホルトはため息をついた。それは諦めのため息ではなかった。
「それじゃお前達を警察に突き出さなきゃならないな」
「何故? あなた達は警察でもないんでしょ? 私達は悪くてどうしてあんたらはいいのよ」
「俺達はギルドの任務だからだ。だから、お前達カップルと俺達に違いがあるとしたら、俺達は正式でお前達は単なる不法侵入ってことになる。あとは、通報は市民の義務だからってことかな」
「なら、本当のこと言うから見逃してよ」
「いいだろ。なら、学生証を見せるんだ」
「嫌よ。教えてもいいのは名前までよ。学校まで知られたらあんたら絶対にチクるでしょ」
「しない」
「嘘よ。だったら証明して」
「なんて女だ」
彼氏の方も困った顔をしていた。
その時だった。妙な寒気がこの場にいるジーク達を襲った。
団地から白い人影が幾つも現れだした。
「あれがゴースト?」
「その比較的弱い方だ。ゴーストの強いものは、死ぬ直前の姿をしている。まるで人間が生き返ったみたいだが、そのゴーストに影はない」
白いゴーストはあっという間にジーク達を囲った。
「どうしよう!」慌てる彼氏に彼女は「あなたが言い出したことでしょ」と怯える彼氏にうんざりしだした。
この状況でも恐れないなんて!
「お前達のことは後だ。ジーク、奴らはそんなに強くない。慌てず倒していくぞ。お前達、お守りは持っているんだよな? 憑依までされて面倒が増えるのだけはごめんだぞ」
「持ってるわよ!」と女に逆ギレされた。
ジークは剣を抜き、もう片方は盾を構えた。
先にホルトが走った。白いゴーストは手をあげたが、ホルトの方が早く、両手剣の最初の餌食となった。
横に真っ二つに裂かれたゴーストは霧となって消滅した。
「ゴーストは元になる魂の生前の強さに依存する。こいつらはそう強くはないぜ」
ホルトは安心させる為にジークにそう言ったのだ。
言ってしまえば、町で成仏出来なかった村人の魂と戦うようなものだ。
ジークは盾を構えた。
白いゴーストはジークの盾に攻撃が当たり、その直後に片手剣でゴーストを突き刺した。生身を相手にするのと違い、実感があんまりないが、突き刺さったゴーストは悲鳴をあげながら消滅した。
「いいぞジーク! その調子だ。ゴーストが攻撃をしかける時に反撃をするんだ。そうすれば連中に攻撃を与えられる」
つまり、それ以外は此方からゴーストには触れられないのだ。
コツは今ので分かった。戦闘にはコツがある。敵に攻撃パターンがあり、そのパターンを理解した上で戦う。
順調に次々と白いゴースト達を消滅させていった。
出現したゴーストをとりあえず全て消滅し終えると、ホルトは残念そうに「今日はここまでだな。二人を抱えたままこれ以上深入りは禁物だ」と言ったのでジークは頷いた。
団地から出ると、アンドリューは申し訳なさそうに「あなた達の仕事を邪魔するつもりはなかったんです。しかし、結果としてそうなってしまった。申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
「彼女の方も君のようになってくれるといいんだが」とホルトは愚痴をこぼしたが、女は聞こえなかった振りを決め込んだ。それを見てホルトはため息をついた。
一方、ジークは特に気にはしなかった。これはゲームなのだ。こういったイベントもあるだろう。緊急クエストみたいに、通常のクエストかと思ったらトラブルが発生し、今回を例にするなら二人を守りながら戦えといった感じだろう。
だから、まだこの時はこれが事件の始まりだとは思いもしなかった。
だって、単なる討伐の依頼だったのだから、このクエストは。
まさに、特別な日になったわけだ。
そんな鬱憤を晴らすかのようにロンドンに戻ったジークはそのままギルドへ直行した。
ギルドに入りクエストを探し、敵を討伐して、運動をしなければこのモヤモヤは解決出来ない。と、そこに懐かしい人物が掲示板の隣に立った。振り向くと、ホルトだった。
「久しぶりだな、ジーク。と言ってもそれ程日はたっていないが」
「おお! ホルト!!」
「なんだ、クエストを受けに来たのか?」
「うん」
「なら、一緒にやらないか? ソロも悪くないがパーティーを組んだ方が効率がいい」
「ああ!」
ふと、ホルトの武器に目をやった。
「あれ? 今は両手剣を使っているの?」
「ああ、これな。まぁ、お試しさ。色んな武器が使えた方が状況によっては有利に進められる。そう言うジークはまだ片手剣なのか?」
「ああ……まだそんなにクエストをやってなくて」
すると、ホルトは笑った。
「噂は聞いてるよ。俺と別れた後も事件を解決したみたいじゃないか」
「ぼちぼちね」
「謙遜するな、名探偵。しかし、片手剣は初心者には向いているが、他のも試した方がいいだろう」
「例えばどんな?」
「そうだな、武器もそうなんだがスキルとかは取得しないのか?」
「スキル?」
「例えば騎馬スキルや運転スキルがあるとかなり移動が便利になる。スキルレベルが上がれば、色んなものを運転、操縦できるようになる。あとは鍛冶スキルかな。店でやってもらえるが自分で出来るなら、コストは安く済む。長い目で見れば節約になる。特に武器は消耗品だからな、鍛冶スキルは重宝されている。ビジネスにもなるからな。鍛冶スキルのレベルが上がれば、店には売っていない自分に合ったオリジナルの武器を作り、より磨けるようになる」
「考えておくよ」
「ああ、そうした方がいい。スキルがあればパーティーに誘われるようにもなるだろう。それで、何を受ける?」
ジークは目線を掲示板に向け、一つを選んだ。
「これかな?」
「へぇ、ゴースト退治。たいした敵じゃないし、初心者向けのクエストだが、そんなんでいいのか?」
「まだレベルが高くなくて」
「なる程。なら、丁度いいな。よし、それじゃあこれにしよう。受付してくるから待っていてくれ」
「うん、ありがとう」
受付を済ませたジーク達はその後、ゴーストが出るとされる今は廃墟と化した団地へと向かった。
誰も住んでいないこともあって静けさと、錆びついた建物がそこにあっただけだった。
「ゴーストは昼間は現れない。夜にしか出現しないんだ。だが、昼の内に下見をして構造は頭の中に把握しておいた方がいい」
円をつくるように3階建ての建物が一棟から四棟まであり、中心には手入れされずに放置された中庭があった。
「この団地の住人は既に立ち退きを済ませてある。あとは解体だけだが、ゴーストが現れちゃ解体工事も出来ない。俺達はここにいるゴーストを全て倒す、それが今回の任務だ」
「ゴーストって普通に武器は通用するの?」
「ゴーストになるって言うのはな、何かしら罪を犯した魂がなるもので、普通なら成仏するものさ。特に殺人ってなると、かなり凶暴になる。そして、沢山殺したことのある魂はゴーストじゃなく悪魔へ変わるんだ」
「悪魔?」
「ゴーストの上位種だな。悪魔は上級者しか受けられない。悪魔で何人もやられてきたからな。それで、さっきのジークの質問だが、奴らが襲ってくる時、俺達はそのゴーストに触れられる。武器にお寺のお経を受けるか、教会の聖水をかければよりダメージを与えられる。もしくは教会の連中が持っている特別な武器とかな。とにかく、コツは分かっただろ?」
「ああ」
「それとこれを渡しておく」
そう言ってホルトはお守りを渡してきた。
「これは身代わりだ。ゴーストは生きている人間に憑依しようとしたりするが、これがあればその心配はない」
そして、夜になった。
再び団地に訪れると、中庭で二つの明かりが見えた。
「おいおい、なんで人がこんな場所にいるんだ?」
ホルトは怒り気味に二人のもとへ早足で向かった。
若い男女のカップルだった。
「お前達、何をしている」
ホルトの質問に男が答えた。
「すいません」
「何をしている?」
「その、肝試しのつもりで」
「ここは本当にゴーストが出るんだ。遊びで来ていい場所じゃない。そもそも、入口には立入禁止とあっただろ。お前達のしていることは不法侵入だ」
しかし、カップルの女性の方は反省している様子はなく、むしろ不機嫌そうにしだした。
「謝ってるんだから許してよそれぐらい。もう出るから」
「まだだ。君達は学生か?」
男は頷いたが、女は答えようともしなかった。
ホルトは女の態度を無視して続けた。
「それじゃ大学生か。名前は?」
「アンドリュー」
「君は」
「言いたくない」
女はホルトの顔を見ずに答えた。その女性の利き手は彼の手を掴んでいた。自分達なんかを無視して早くこの場から立ち去りたいのだろう。無論、ホルトは気づいていたからこそ、男の近くに立っていた。
ホルトから逃げるのは不可能だとジークは思った。それはアンドリューも同じだった。この状況で唯一諦めていないのは女の方だった。
少しだけ待ったが、女の態度が変わらないのを見てホルトはため息をついた。それは諦めのため息ではなかった。
「それじゃお前達を警察に突き出さなきゃならないな」
「何故? あなた達は警察でもないんでしょ? 私達は悪くてどうしてあんたらはいいのよ」
「俺達はギルドの任務だからだ。だから、お前達カップルと俺達に違いがあるとしたら、俺達は正式でお前達は単なる不法侵入ってことになる。あとは、通報は市民の義務だからってことかな」
「なら、本当のこと言うから見逃してよ」
「いいだろ。なら、学生証を見せるんだ」
「嫌よ。教えてもいいのは名前までよ。学校まで知られたらあんたら絶対にチクるでしょ」
「しない」
「嘘よ。だったら証明して」
「なんて女だ」
彼氏の方も困った顔をしていた。
その時だった。妙な寒気がこの場にいるジーク達を襲った。
団地から白い人影が幾つも現れだした。
「あれがゴースト?」
「その比較的弱い方だ。ゴーストの強いものは、死ぬ直前の姿をしている。まるで人間が生き返ったみたいだが、そのゴーストに影はない」
白いゴーストはあっという間にジーク達を囲った。
「どうしよう!」慌てる彼氏に彼女は「あなたが言い出したことでしょ」と怯える彼氏にうんざりしだした。
この状況でも恐れないなんて!
「お前達のことは後だ。ジーク、奴らはそんなに強くない。慌てず倒していくぞ。お前達、お守りは持っているんだよな? 憑依までされて面倒が増えるのだけはごめんだぞ」
「持ってるわよ!」と女に逆ギレされた。
ジークは剣を抜き、もう片方は盾を構えた。
先にホルトが走った。白いゴーストは手をあげたが、ホルトの方が早く、両手剣の最初の餌食となった。
横に真っ二つに裂かれたゴーストは霧となって消滅した。
「ゴーストは元になる魂の生前の強さに依存する。こいつらはそう強くはないぜ」
ホルトは安心させる為にジークにそう言ったのだ。
言ってしまえば、町で成仏出来なかった村人の魂と戦うようなものだ。
ジークは盾を構えた。
白いゴーストはジークの盾に攻撃が当たり、その直後に片手剣でゴーストを突き刺した。生身を相手にするのと違い、実感があんまりないが、突き刺さったゴーストは悲鳴をあげながら消滅した。
「いいぞジーク! その調子だ。ゴーストが攻撃をしかける時に反撃をするんだ。そうすれば連中に攻撃を与えられる」
つまり、それ以外は此方からゴーストには触れられないのだ。
コツは今ので分かった。戦闘にはコツがある。敵に攻撃パターンがあり、そのパターンを理解した上で戦う。
順調に次々と白いゴースト達を消滅させていった。
出現したゴーストをとりあえず全て消滅し終えると、ホルトは残念そうに「今日はここまでだな。二人を抱えたままこれ以上深入りは禁物だ」と言ったのでジークは頷いた。
団地から出ると、アンドリューは申し訳なさそうに「あなた達の仕事を邪魔するつもりはなかったんです。しかし、結果としてそうなってしまった。申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
「彼女の方も君のようになってくれるといいんだが」とホルトは愚痴をこぼしたが、女は聞こえなかった振りを決め込んだ。それを見てホルトはため息をついた。
一方、ジークは特に気にはしなかった。これはゲームなのだ。こういったイベントもあるだろう。緊急クエストみたいに、通常のクエストかと思ったらトラブルが発生し、今回を例にするなら二人を守りながら戦えといった感じだろう。
だから、まだこの時はこれが事件の始まりだとは思いもしなかった。
だって、単なる討伐の依頼だったのだから、このクエストは。
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