探偵主人公

アズ

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4章 犯人はゴースト

03 三人の証言 【訂正あり】

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 テレサの葬儀が終わり、その後でジークはアンドリューと会った。
「この度はお悔やみを申し上げます」
 ジークは頭を下げ、アンドリューも頭を下げた。その周囲では「まだ若いのに」と声が聞こえる。
「ジークさん、少し歩きながら話しは出来ませんか?」
「大丈夫です」
 二人はその場から離れるように歩き出した。
「テレサは殺害されました。僕には分かりません。何故、テレサは殺されなければならなかったのか」
「事件については新聞で知りました。自宅で銃に撃たれたと。同居ではなかったんですね?」
「はい」
「新聞にはこうも書かれてありました。彼女の部屋からは薬物も発見されたと。これで彼女が見たというゴーストについては説明が出来ると思います。彼女が薬物をやっていたことはご存知でしたか?」
「いいえ! 全くです。もし知っていたらやめさせてましたよ。でも、ジークさん。彼女が怯えていた理由はこの事件に関係すると思いませんか? 彼女は殺されるとまで言っていたんですよ。それが本当になった。あなたはどう思っていますか」
「テレサさんが怯えていたゴーストは実在した人物だったとなると、気になるのは彼女が見たという人物が既に死亡しているジュリエットであるということです。見間違えますか、犯人を親友と? もし、薬物で幻覚を見ていたのなら、彼女は幻覚と現実の見分けがついていなかったことになります。では事実は何か? まず、死亡したジュリエットのゴーストを見たという証言、これは幻覚でしょう。対して事実は誰かに監視されていたという点です。彼女は誰かに見られていると言っていました。それは気のせいではなく、犯人が彼女を殺害する為に視察をしていたということでしょう。テレサさんが病院に行けなかった理由これも判明しています。病院に行けば検査で自分が薬物を使用していることがバレると思ったからでしょう。そして、あなたにそれがバレたくはなかった。最後に犯人ですが、考えられるのは彼女にはトラブルがあり、それが犯人の動機である可能性が高いということです」
「トラブルはなかった」
「彼女が薬物を使用していたことをあなたが知らなかった時点で、トラブルの件もあなたに相談されなかったのではないですか? それも、あなたに相談出来ない内容だった」
「薬物絡みだと思いますか?」
「可能性はあります。そもそも彼女の裏の顔の知り合いとのトラブルという線で警察は捜査していると思います」
「犯人は捕まりますか?」
「薬物絡みなら、薬物の足取りから捜査を進めていくでしょう」
「テレサを殺した犯人は絶対に捕まって欲しいです」
「ええ。一つ気になることがあるんですが、ジュリエットはどんな人物でしたか?」
「いや、テレサの親友ってだけで僕はよく知らないんです。僕は知り合いじゃないので。ただ、テレサの友人からジュリエットについて聞き出せるかもしれません」
「ではお願いしてもいいですか?」
「それは犯人を追ってくれるってことですか? でしたらご協力します」
「分かりました、犯人を此方からも追ってみようと思います。ご期待にそえるかは分かりませんが」
「連続殺人事件を解決したあなたが?」
「私はつい最近敗北したばかりなんです。事件は迷宮入りしました」
「それでもお願いします」



 後日、アンドリューからテレサの友人を見つけたというので早速喫茶店で待ち合わせをした。
 喫茶店に到着した頃にはその友人二人が既に席に座っていた。
 テレサが手を振って合図を送ってくれたので、ジークはその向かいの席に座った。
「ジークさん。此方がジュリエットさんを知るご友人です」
 ジークは二人を見た。二人とも金髪でモデルみたいな女性だった。
「私はジークです。お二人にはご協力感謝します」
「いえ、テレサを殺した犯人を追っていると聞いたので、私達も協力したいと思ったんです」と自分から見て左側の女性がそう言った。
「ありがとうございます。それでは早速宜しいですか?」
「はい」
「まず、普段のテレサさんについて教えていただけますか?」
「テレサとは同じ学部で、私達以外にも仲のいい友達は沢山いた方でした」
「つまり、周りからは好かれていた」
「はい。だから、なんで殺されたのか本当に分からなくて。学校でもトラブルを起こすような感じはなかったんですよ」
「私がテレサさんと初めて会ったのはアンドリューと一緒に肝試しをしているところでした。ご友人から見て二人の関係はどうでしたか?」
「羨ましいカップルだと思いました」
「では、学校以外の彼女についてお伺いします」
「学校の外でもトラブルは聞いたことはなかったわ。ねぇ?」
 左の子は右の子に訊いて、その子は「うん」と返事をした。
「一度も? ご友人なのですから、相談くらいは受けるでしょう。家庭のことでも、彼氏のことでも。彼氏には言い出せない悩みくらいはあったのでは?」
「女性の悩みや愚痴ぐらいはありますけど、それは事件と関係ないと思いますが?」
「つまり、それ以外に真剣な相談とかは全くなかったと」
「ええ。彼女が悩みを抱えていたとしたら、幽霊を見て怯えていたとことくらいでしたよ」
「では、幽霊の話しを訊いてあなた達は本気にしましたか?」
 二人はそう訊かれると互い顔を見合わせ確認してから右の子が答えだした。
「本当のことを言えば最初は信じていなかったわ。でも、訊いているうちにドッキリとかそんなんではないことには気づいたわ。でも、特にどうすることも出来なくて……教会へ案内したりしたぐらいしか。まさか、あんなに早くにあんなかたちで亡くなるなんて思ってもみなかったから」
 二人は涙を流しハンカチでそれを拭いた。アンドリューは彼女の背中を擦った。そして、今度はアンドリューがジークに質問をした。
「まさか、犯人は本当にゴーストってことはないですよね?」
「それは考えていませんでした。実際にそれを否定出来る条件はあります。それよりもお二人にもう一つお伺いしたいことが。特に重要なことです。テレサさんの部屋から薬物が出てきたことについてはどう思いますか?」
「あの子がそんな物に手を出す筈はないです! きっと何かの間違いよ。多分、犯人が落としていったのよ」
「いいえ。新聞には引き出しの奥に隠されていたとあります。しかも、鍵のかかっていた引き出しです。その鍵はテレサが持っていました。犯人が落としていったものではありません。恐らくは彼女のものでしょう。そして、彼女はそれを使用したことがある。普段から彼女がそれを使用したことがあるなら、ご友人であるあなたは気づけたと思いますが? それは彼氏であるアンドリューさんにも同じく言えることです」
「まさか、僕達を疑っているのか!?」
「あなた達は薬物に手を出したことはありますか?」
「いや、ない! 決してな」
 他二人の反応も同じようなものだった。
「失礼しました。しかし、今の質問はきっと警察からも似たことを訊かれるでしょう。犯人を探すということは誰かを疑うというところからスタートするものです。傷つけたのなら謝ります」
「いや……君は仕事をしてくれただけだ。少しカッとなってしまった。だが、君の言うことにも一理ある。僕達は彼女の変化に気づけなかった。しかし、それはあくまでも彼女が本当に薬に手を出していた場合だ。僕達はそれを信じていないし、あなたは彼女のことをよくは知らない。だから教えます。テレサは強い女性でした。ですから、薬には手を出さないと思います」
「そうですか。分かりました。それではジュリエットさんについてお伺いします。ジュリエットさんとテレサはどんな関係でしたか?」
「ジュリエットはテレサとはかなり前からの知り合いでした」
「ジュリエットは亡くなられたと訊きましたが原因は?」
「事故死と聞いています。確か歩いているところを車に……」
「なる程、分かりました」



 三人の証言をジークは頭の中で整理した。
 三人はテレサが薬に手を出したことを知らなかった。そして、三人は薬に手を出していない。テレサが肝試しにあの団地に行く前までは特に分かった様子もなかった。
 重要なことは真実だ。
 既に明らかになった事実はテレサの部屋の引き出しから薬が出てきたこと。テレサは何者かに殺害されたこと。この事実はゴーストがやったというのを否定している。第一、銃殺でありゴーストが銃で被害者を殺害するだろうか。第二に、ジュリエットの死亡は肝試しに向かったあの団地とは関係がない。そしてもう一つは、そもそも教会に行っても憑依は確認されていないし、憑依から防ぐお守りをあの時は所持していた。このことからも犯人は人である事実は確定している。
 三人の証言が一致したのは偶然かそれとも口裏合わせか。しかし、これは意味がない。他の人からも証言を貰えば、口裏合わせだったのかどうかは直ぐに判明するだろう。
 謎は犯人の動機だ。衝動的か? 計画的か? しかし、前者の場合犯人は普段から銃を持ち歩いていたことになる。後者の場合はどうか? 凶器を用意し殺害を実行しているあたり可能性はある。
 そして、最大の謎は誰なら動機があってテレサを殺すことができたのか?
 テレサは自宅で殺害されている。犯人はテレサの自宅を知っていたことになる。それはテレサを監視していたからか? そう言えば彼女はそのようなことを言っていた。それに、自分が殺されそうだということを知っていた。やはり、計画殺人だろう。だとすれば、強い動機を犯人は持っていたことになる。
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