44 / 124
4章 犯人はゴースト
10 戦闘
しおりを挟む
ホルトに案内された大規模な墓地は夜になるとより不気味さを感じた。
ここには富豪の墓もある。
すると、霧が突然現れ出した。
「来るぞ」
ホルトはそう言った。
周囲は墓石で死角は沢山ある。だが、ゴーストの上位種である悪魔は二人に奇襲を仕掛けることなく、二人の目の前に堂々と墓の背後から現れた。
黒いローブに約二メートルあるそれは頭蓋骨と、大きな鎌を持ったまさにそれは死神のようだった。
「本当に悪魔!?」
ジークはホルトに確認した。
「そうだ、大罪を犯した魂は悪魔へと進化する。あの鎌には気をつけろよ。あれは物体をすり抜け直接生きている魂を狩ろうとする」
ゴーストも上位種になると武器を使うようになるのか。
「来るぞ!」
悪魔は鎌を構えると、二人に向かって襲いかかってきた。
二人は別々にわかれ、墓石との間の細い道へ逃げ込んだ。
悪魔が追ったのはジークの方だった。
「なんでこっちに来るんだよ!」
正直、戦闘は得意というわけではない。ゲームは好きだがVRMMOだと自分自身の体力や運動神経が反映されてしまうから、ボタンを押せば速く走れるとかそんな楽な機能ではない。むしろ、ハードだ。
墓地がバトルフィールドというのも厄介。障害物がやたら多く、逃げ道も狭く、戦えるスペースは限られている。そのくせ、あの大きな鎌で振るってきたらリーチ差で此方が負ける。おまけに、ホルトの説明ではあの鎌は墓石をすり抜けて此方を攻撃出来るわけだ。障害物を盾に出来ない!
一対一だったから勝ち目なんて見えない相手だ。
「ホルト、なんとかしてくれ!」
今どこにいるか分からないホルトにとりあえずジークは助けを大声で求めた。
「分かった」
返事が直ぐに返ってきたのでとりあえず安心はしたが、その間にも敵からの攻撃が始まった。
鎌は自分の背中とギリギリの差でなんとか回避されたが、此方は全力で逃げているのにやはりあの大きな鎌のリーチは卑怯だった。
周囲には墓石はあるが、ホルトの説明通り鎌はすり抜け破壊することはなかった。
そもそもこの墓石は此方からも破壊は出来ない。
破壊しようものなら、縁起が悪いです、と表示され破壊行動が止められてしまう。つまり、全て破壊不能オブジェクトに囲まれた状態だ。それは敵にとっては有利なフィールドということになる。
だが、この環境を利用する方法が一つだけ存在する。
ホルトは悪魔の背中に向かって両手剣を振るった。
自分の持つ片手剣よりはるかに大きな剣を背中のローブを切り裂いた。
破けたローブからは沢山の虫と赤い血液が流れ出た。
甲高い悲鳴をあげた悪魔は今度はジークを追うのをやめホルトを追い始めた。
「ジーク、助けてくれ!」
「分かった。少しだけ時間を稼いでくれ」
「できるだけ早く頼む」
ジークはアイテムから爆弾を全て出すと、その爆弾のタイマーをセットし鞄に全て入れ込むと、それを持って走った。
「ホルト、墓石の後ろに隠れて!」
ジークはそう叫んだ直後に爆弾の入った鞄を投げた。
死神のような悪魔はジークに気づき振り向いたが、ジークも墓石の影に隠れた。あるのは、ジークが投げ宙を舞う鞄だ。
それに目をとられていると、タイマーはゼロになり大爆発を引き起こした。
爆音と炎と衝撃が周囲を巻き込むが、墓石は破壊不能オブジェクト。近くにあった墓石に
縁起が悪いです
と表示され、爆発の完璧な盾となった。
「やったか?」
ジークは爆発がおさまった後に墓石から身を出すが黒いローブはボロボロに破れながらも頭蓋骨の方は健全だった。
「今のでやられないのか!」
ポキポキと音を鳴らしながら頭蓋骨正面が此方に振り向いた。
ジークは悲鳴を上げながら走った。
スモークグレネードを後方に投げ、煙幕をつくるとジークは墓石の中へ姿を消した。
悪魔は一度足を止めたが暫くして鎌で思いっきり振ると、風が発生し煙幕を一瞬にして晴らした。
悪魔は周囲を見渡し二人を探しながら前へ進み出した。
息を整え、次の作戦をジークは考えていると、自分の左隣にあった墓石から突然鎌の先が出現した。
「しまった!」
上を見ると、頭蓋骨が上から此方を覗いている。
鎌は右へジークのいる場所まで襲ってきた。
死ぬ! と思った直後、頭蓋骨の脳天から一気に亀裂が走った。
「俺がいるのを忘れてたろ」
「ホルト!」
鎌は自分の左の二の腕近くで止まった。
頭蓋骨は粉々に砕けローブは煙になって消えた。
ホルトは大剣を持ち直した。
直後、レベルアップのアナウンスが入る。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。助かったよ」
「お互い様だ」
ジークは立ち上がると、ホルトと握手した。
「あいつはな、頭が弱点なんだ。ジークのおかげでチャンスが出来た」
「もう、あんなのは勘弁して欲しいよ」
「なに言ってやがる。俺達ならどんな相手でも問題無いさ」
「ギルドに報告しに行こう」
ここには富豪の墓もある。
すると、霧が突然現れ出した。
「来るぞ」
ホルトはそう言った。
周囲は墓石で死角は沢山ある。だが、ゴーストの上位種である悪魔は二人に奇襲を仕掛けることなく、二人の目の前に堂々と墓の背後から現れた。
黒いローブに約二メートルあるそれは頭蓋骨と、大きな鎌を持ったまさにそれは死神のようだった。
「本当に悪魔!?」
ジークはホルトに確認した。
「そうだ、大罪を犯した魂は悪魔へと進化する。あの鎌には気をつけろよ。あれは物体をすり抜け直接生きている魂を狩ろうとする」
ゴーストも上位種になると武器を使うようになるのか。
「来るぞ!」
悪魔は鎌を構えると、二人に向かって襲いかかってきた。
二人は別々にわかれ、墓石との間の細い道へ逃げ込んだ。
悪魔が追ったのはジークの方だった。
「なんでこっちに来るんだよ!」
正直、戦闘は得意というわけではない。ゲームは好きだがVRMMOだと自分自身の体力や運動神経が反映されてしまうから、ボタンを押せば速く走れるとかそんな楽な機能ではない。むしろ、ハードだ。
墓地がバトルフィールドというのも厄介。障害物がやたら多く、逃げ道も狭く、戦えるスペースは限られている。そのくせ、あの大きな鎌で振るってきたらリーチ差で此方が負ける。おまけに、ホルトの説明ではあの鎌は墓石をすり抜けて此方を攻撃出来るわけだ。障害物を盾に出来ない!
一対一だったから勝ち目なんて見えない相手だ。
「ホルト、なんとかしてくれ!」
今どこにいるか分からないホルトにとりあえずジークは助けを大声で求めた。
「分かった」
返事が直ぐに返ってきたのでとりあえず安心はしたが、その間にも敵からの攻撃が始まった。
鎌は自分の背中とギリギリの差でなんとか回避されたが、此方は全力で逃げているのにやはりあの大きな鎌のリーチは卑怯だった。
周囲には墓石はあるが、ホルトの説明通り鎌はすり抜け破壊することはなかった。
そもそもこの墓石は此方からも破壊は出来ない。
破壊しようものなら、縁起が悪いです、と表示され破壊行動が止められてしまう。つまり、全て破壊不能オブジェクトに囲まれた状態だ。それは敵にとっては有利なフィールドということになる。
だが、この環境を利用する方法が一つだけ存在する。
ホルトは悪魔の背中に向かって両手剣を振るった。
自分の持つ片手剣よりはるかに大きな剣を背中のローブを切り裂いた。
破けたローブからは沢山の虫と赤い血液が流れ出た。
甲高い悲鳴をあげた悪魔は今度はジークを追うのをやめホルトを追い始めた。
「ジーク、助けてくれ!」
「分かった。少しだけ時間を稼いでくれ」
「できるだけ早く頼む」
ジークはアイテムから爆弾を全て出すと、その爆弾のタイマーをセットし鞄に全て入れ込むと、それを持って走った。
「ホルト、墓石の後ろに隠れて!」
ジークはそう叫んだ直後に爆弾の入った鞄を投げた。
死神のような悪魔はジークに気づき振り向いたが、ジークも墓石の影に隠れた。あるのは、ジークが投げ宙を舞う鞄だ。
それに目をとられていると、タイマーはゼロになり大爆発を引き起こした。
爆音と炎と衝撃が周囲を巻き込むが、墓石は破壊不能オブジェクト。近くにあった墓石に
縁起が悪いです
と表示され、爆発の完璧な盾となった。
「やったか?」
ジークは爆発がおさまった後に墓石から身を出すが黒いローブはボロボロに破れながらも頭蓋骨の方は健全だった。
「今のでやられないのか!」
ポキポキと音を鳴らしながら頭蓋骨正面が此方に振り向いた。
ジークは悲鳴を上げながら走った。
スモークグレネードを後方に投げ、煙幕をつくるとジークは墓石の中へ姿を消した。
悪魔は一度足を止めたが暫くして鎌で思いっきり振ると、風が発生し煙幕を一瞬にして晴らした。
悪魔は周囲を見渡し二人を探しながら前へ進み出した。
息を整え、次の作戦をジークは考えていると、自分の左隣にあった墓石から突然鎌の先が出現した。
「しまった!」
上を見ると、頭蓋骨が上から此方を覗いている。
鎌は右へジークのいる場所まで襲ってきた。
死ぬ! と思った直後、頭蓋骨の脳天から一気に亀裂が走った。
「俺がいるのを忘れてたろ」
「ホルト!」
鎌は自分の左の二の腕近くで止まった。
頭蓋骨は粉々に砕けローブは煙になって消えた。
ホルトは大剣を持ち直した。
直後、レベルアップのアナウンスが入る。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。助かったよ」
「お互い様だ」
ジークは立ち上がると、ホルトと握手した。
「あいつはな、頭が弱点なんだ。ジークのおかげでチャンスが出来た」
「もう、あんなのは勘弁して欲しいよ」
「なに言ってやがる。俺達ならどんな相手でも問題無いさ」
「ギルドに報告しに行こう」
0
あなたにおすすめの小説
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが
まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」
そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる