探偵主人公

アズ

文字の大きさ
46 / 124
4章 犯人はゴースト

12 事件現場

しおりを挟む
 ギルドを出た二人はホランド警部の案内で殺害されたテレサの自宅まで来た。
 玄関の前には警官が立っていた。
 警官はホランド警部を見るなり敬礼し「お疲れ様です」と挨拶した。
 ホランド警部の許可でジークもその現場に立ち入ることが出来た。
「事件現場をまだ見ていないと言うから、一度は見たいと思ってな。どうだ、何か分かりそうか?」
 ワンルームのその部屋にはベッドと小さなテーブルと椅子があり、奥は窓が一つある。窓の外は直ぐ向かいの建物の壁が見えた。
「部屋の鍵はかかっていなかったんですか?」
「ああ、鍵はかかっていなかった」
「隣人からは何か証言は得られましたか?」
「左の部屋は外出中でいなかった。それは確かだ。右の部屋は銃声を聞いて事件だと思い警察に通報している」
「では、最初に通報したのはその隣人の通報なんですね」
「そうだ。その通報者は電話中で隣から会話は聞いてなかったそうだ。銃声が聞こえて警察には通報したが、部屋からは一歩も出れなかったそうだ。むしろ、物音をできるだけ避けて、いない振りをしなければ自分も殺されるかもしれないと思ったんだと」
「つまり、この部屋には駆けつけた警官以外は立ち入っていないということでしょうか?」
「さぁな。だが、鑑識は荒らされた痕跡は見当たらないと判断している。また、物取りによる犯行ではないことも明らかだ。現金の入った財布がそのままになっていた」
「リッター刑事はエアードを疑っていますが、エアードの持っている護身用の銃と弾は一致したんでしょうか?」
「一致している。これだけでも奴を疑うのは当然だろう。だが、肝心の動機がな。リッター刑事は衝動的な犯行だと思っているらしい。父親の肩代わりにテレサを商売道具に色んな男と相手させようとしたが、テレサは素直に従わず口論になり、ついエアードは奴を撃ってしまった。可能性としてはなくはないが、こういった商売をやってきたあいつが衝動的に殺人を犯すか? 自分の替え玉すら用意しなかったんだぞ? 普通、証拠隠滅ぐらい奴は少なくともやった筈だ」
「それは私も思いました。因みに第二の事件でも同じ凶器が使われたんですか?」
「そうだ。同一犯だろう。だが、何故護身用の銃で二人も殺るんだ?」
「それはエアードに罪を擦り付けたい人物がいたからではないですか?」
「なに?」
「その人物はエアードの護身用の銃を知っている人物です。でなければエアードと同じ弾な理由がつきません。偶然ではないでしょう。犯人の意図的なものではないでしょうか。もし、エアードが犯人なら、その護身用の銃を処分せず持っていた理由が不明です」
「それじゃ、エアードじゃない誰かか」
「エアードから話を訊いたら分かるかもしれませんよ。その人物はエアードも知っている可能性がありますから」
「どうだろうな。エアードのことだ、自分がハメられたことにもう気づいているんじゃないのか。もし、そうなら奴はそいつを生かそうとは思わない筈だ」
「それって」
「殺し屋をそいつに送る筈だ。逆に言えば」
「それが犯人」
「しかし、誰なんだ。やはりジュリエットの姉レベッカか?」
「アビーもジュリエットを妹のように可愛がっていました」
「くそっ」
 ジークはもう一度部屋を見渡した。
 小さな木製の机の引き出しを見た。鍵穴がある。
 あれ……そう言えば…… 。
 事件の発端って…… 。
 その時、一つの光がジークの頭脳に突き刺さり。
「警部! 犯人が分かりました!」
「なんだと! そいつは誰だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」 そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...