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6章 恐怖のラブレター
06 犯人の次なる行動
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市長と話しを終えたジークは部屋を出た。その外の通路にはリッター刑事が立って待っていた。
「ジークさん、何か聞き出せましたか?」
「市長が襲われた場所は分かりました。ベイカーストリートです」
「ここから離れた場所ですね。やはり、あなたの推理通り客室ではなかったわけだ! しかし、どうして市長は我々警察にまで嘘をついたのですか」
「それは今は答えられないのです」
「あなたもですか!」
「市長との約束でして」
「市長もあなたもこの状況が分かっていないようですね! いいですか、実際に狙われた以上我々に秘密は無しにしていただきたい」
「そうもいかないのです。市長が私に話したのは私を信用したからです。なら、それを裏切るわけにはいきません」
「頑固ですな。二人とも。それ程に重要なんですね」
「はい」
リッター刑事は深いため息をついた。
「分かりました。それで、市長は今後我々には内緒で単独行動はしないんでしょうね?」
「それはないと約束出来ます。リッター刑事、ともあれ単独行動になったところを犯人は狙った以上、市長の動きを犯人は監視していたことになります」
「つまり、犯人は近くにいるということだな」
「そうなります」
「分かった。周辺のパトロールを強化しよう」
「ありがとうございます。それと、訊きたいことが」
因みに、朝刊には既に市長が撃たれたことが書かれてあった。犯人はまだ捕まっておらず、逃亡中とある。
全く、この街は犯罪が多い。
リッター刑事に聞いて確認したが、脅迫文にある不正が選挙で行われたのか警察の方では一様調べたのか訊くと、調べはしたが不正はなかったというらしい。
だとすれば、脅迫は単に言いがかりなのか? それとも市長の黒い繋がりを指摘しているのか。市長は全くそれを周りには教えていない。恐らく秘書にもだ。市長には市長なりの目的があることが分かったが、それを誰かに話すのはリスクだ。最低限、信頼できる人物に限定しなければならない。何故なら、他の政治家とも恐らく元大佐とパイプがあると思われるからだ。
だが、予期せぬことは一度起きれば、それは二度、三度と訪れるものだ。
翌日の朝刊に新たな動きが見られた。
朝刊に例の市長に送った脅迫文が記事に掲載されたのだ! そして、新聞社宛に匿名で市長は不正を働いたと暴露したのだ。
勿論、そんな事実はない。が、脅迫文の内容を隠していたのを世間は疑いの目で見るのは間違いなかった。
「どうして脅迫文が新聞社に知られたの!」
激昂する市長。当然だ。自分の立場が危うくなるからだ。現に支持率は事件を受け低下している。
「市長、きっと犯人の仕業ですよ」
「なら、犯人が捕まえられるんじゃありません?」
「いえ、それは無理です。匿名で送られたものですから。今、市長の無実を我々が説明してますから」
しかし、世間は警察も市長とグルだという見方が強い。
この状況を打開する方法は犯人を捕まえる他ない。
と、話しをしていると警官が入ってきて、リッター刑事に耳打ちした。
「何だと!?」
急いでリッター刑事とジークが部屋を出て確認すると、階段がある方角からある人物が此方に近づいてきた。
緊張が走る。
二人はその方向へ振り向いた。
「バーソロミュー・ムーア少佐」
ジークはそう言った。
「何故少佐が?」
少佐は二人の前で止まると「そこをどけ」と言った。
「少佐、何の用件で市長に会うというんですか?」
リッター刑事に訊かれたのが気にくわなかったのか、少佐は睨んできた。
「何故、君にそれを説明しなければならない」
「市長は何者かに狙われているんです。説明ぐらい構わないでしょ?」
「これは内密な話しだ。よって君に説明することは出来ない。市長に私が来たことを伝えろ。そうすれば、市長は俺を通す」
「構いませんよ。ですが、ボディーチェックは受けてもらいます」
「やるなら早くしろ」
「それでは」
そう言ってリッター刑事は少佐のボディーをチェックしていく。
しかし、上半身を調べている途中でリッター刑事の手が止まった。
「まさか、銃をお持ちですか」
そうリッター刑事が言った直後、彼の腕を少佐が掴んだ。
少佐の握力がリッター刑事の腕を離さなかった。それどころか、力を徐々に加えているのが近くにいたジークからでも分かった。
「少佐……何の真似ですか? 冗談だとしたら警察にするには度が過ぎます……少佐!」
最後はリッター刑事も声をあげた。そこで少佐は彼の腕を離した。
「軍人なんだ、銃を持っていて当たり前だろ。いちいち言わなきゃ分からないのか今の刑事は」
リッター刑事も負けじと睨み返した。だが、どう見てもリッター刑事が不利だ。相手は殺しのプロだ。銃の扱いも戦闘訓練もリッター刑事を上回る。
その時だった。内側から扉が開いた。
「何事ですか」と言いながらカルメン市長が出てきた。
「市長、お話があります。いちいち言わなくても用件ぐらいは分かるでしょ? 早く人払いをしてくれますか」
「いいえ、分かりませんわ。何の事を仰っているか分かりませんが、今日あなたと話す約束はありませんが。そうでしょ? ローラ」
カルメンのそばにいた秘書は「はい、ありませんが」と言いかけたが、市長はその言葉を遮り「ほらね。分かったらお帰り下さい、少佐。あなたが何を考え此方に来たかは知りませんが、私はあなたと話すことなんてありません」と言いきった。
「何だと!」
「少佐、市長はそう言っているんです。それでも引き返さないと言うなら、あなたを連行します」
「……」
少佐は黙ったまま踵を返していった。
少佐の背中が見えなくなってからジークは市長に訊いた。
「良かったんですか?」
「ええ、これで良かったんです」
「ジークさん、何か聞き出せましたか?」
「市長が襲われた場所は分かりました。ベイカーストリートです」
「ここから離れた場所ですね。やはり、あなたの推理通り客室ではなかったわけだ! しかし、どうして市長は我々警察にまで嘘をついたのですか」
「それは今は答えられないのです」
「あなたもですか!」
「市長との約束でして」
「市長もあなたもこの状況が分かっていないようですね! いいですか、実際に狙われた以上我々に秘密は無しにしていただきたい」
「そうもいかないのです。市長が私に話したのは私を信用したからです。なら、それを裏切るわけにはいきません」
「頑固ですな。二人とも。それ程に重要なんですね」
「はい」
リッター刑事は深いため息をついた。
「分かりました。それで、市長は今後我々には内緒で単独行動はしないんでしょうね?」
「それはないと約束出来ます。リッター刑事、ともあれ単独行動になったところを犯人は狙った以上、市長の動きを犯人は監視していたことになります」
「つまり、犯人は近くにいるということだな」
「そうなります」
「分かった。周辺のパトロールを強化しよう」
「ありがとうございます。それと、訊きたいことが」
因みに、朝刊には既に市長が撃たれたことが書かれてあった。犯人はまだ捕まっておらず、逃亡中とある。
全く、この街は犯罪が多い。
リッター刑事に聞いて確認したが、脅迫文にある不正が選挙で行われたのか警察の方では一様調べたのか訊くと、調べはしたが不正はなかったというらしい。
だとすれば、脅迫は単に言いがかりなのか? それとも市長の黒い繋がりを指摘しているのか。市長は全くそれを周りには教えていない。恐らく秘書にもだ。市長には市長なりの目的があることが分かったが、それを誰かに話すのはリスクだ。最低限、信頼できる人物に限定しなければならない。何故なら、他の政治家とも恐らく元大佐とパイプがあると思われるからだ。
だが、予期せぬことは一度起きれば、それは二度、三度と訪れるものだ。
翌日の朝刊に新たな動きが見られた。
朝刊に例の市長に送った脅迫文が記事に掲載されたのだ! そして、新聞社宛に匿名で市長は不正を働いたと暴露したのだ。
勿論、そんな事実はない。が、脅迫文の内容を隠していたのを世間は疑いの目で見るのは間違いなかった。
「どうして脅迫文が新聞社に知られたの!」
激昂する市長。当然だ。自分の立場が危うくなるからだ。現に支持率は事件を受け低下している。
「市長、きっと犯人の仕業ですよ」
「なら、犯人が捕まえられるんじゃありません?」
「いえ、それは無理です。匿名で送られたものですから。今、市長の無実を我々が説明してますから」
しかし、世間は警察も市長とグルだという見方が強い。
この状況を打開する方法は犯人を捕まえる他ない。
と、話しをしていると警官が入ってきて、リッター刑事に耳打ちした。
「何だと!?」
急いでリッター刑事とジークが部屋を出て確認すると、階段がある方角からある人物が此方に近づいてきた。
緊張が走る。
二人はその方向へ振り向いた。
「バーソロミュー・ムーア少佐」
ジークはそう言った。
「何故少佐が?」
少佐は二人の前で止まると「そこをどけ」と言った。
「少佐、何の用件で市長に会うというんですか?」
リッター刑事に訊かれたのが気にくわなかったのか、少佐は睨んできた。
「何故、君にそれを説明しなければならない」
「市長は何者かに狙われているんです。説明ぐらい構わないでしょ?」
「これは内密な話しだ。よって君に説明することは出来ない。市長に私が来たことを伝えろ。そうすれば、市長は俺を通す」
「構いませんよ。ですが、ボディーチェックは受けてもらいます」
「やるなら早くしろ」
「それでは」
そう言ってリッター刑事は少佐のボディーをチェックしていく。
しかし、上半身を調べている途中でリッター刑事の手が止まった。
「まさか、銃をお持ちですか」
そうリッター刑事が言った直後、彼の腕を少佐が掴んだ。
少佐の握力がリッター刑事の腕を離さなかった。それどころか、力を徐々に加えているのが近くにいたジークからでも分かった。
「少佐……何の真似ですか? 冗談だとしたら警察にするには度が過ぎます……少佐!」
最後はリッター刑事も声をあげた。そこで少佐は彼の腕を離した。
「軍人なんだ、銃を持っていて当たり前だろ。いちいち言わなきゃ分からないのか今の刑事は」
リッター刑事も負けじと睨み返した。だが、どう見てもリッター刑事が不利だ。相手は殺しのプロだ。銃の扱いも戦闘訓練もリッター刑事を上回る。
その時だった。内側から扉が開いた。
「何事ですか」と言いながらカルメン市長が出てきた。
「市長、お話があります。いちいち言わなくても用件ぐらいは分かるでしょ? 早く人払いをしてくれますか」
「いいえ、分かりませんわ。何の事を仰っているか分かりませんが、今日あなたと話す約束はありませんが。そうでしょ? ローラ」
カルメンのそばにいた秘書は「はい、ありませんが」と言いかけたが、市長はその言葉を遮り「ほらね。分かったらお帰り下さい、少佐。あなたが何を考え此方に来たかは知りませんが、私はあなたと話すことなんてありません」と言いきった。
「何だと!」
「少佐、市長はそう言っているんです。それでも引き返さないと言うなら、あなたを連行します」
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