探偵主人公

アズ

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7章 宝石箱

02 執事の話

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 時間通り駅前に車が現れると、執事が挨拶した。
「おはようございます。今日はどうか宜しくお願いします」
「ええ。警部は遅れて来るそうです」
「分かりました。では、どうぞ車へ」
 正直、自分は宝石には全く興味がなかった。ゲームの世界だからとかではなく、リアルでもあまり宝石の良さが分からなかった。女性は宝石を身に着けたいものなのだろうか? 男性でもダイヤがついたゴテゴテの腕時計を買う人も世の中にはいるのだろうが、例え金があってもやはり欲しいとまでは思わないのだろう。むしろ、高い技術や複雑機構には話しを聞いてて凄そうだとは思うが、やはりあまり詳しくは知らない。
 車にも興味がなく、ほとんどは楽しければそれでいいという人生を送っていた。映画や読者が趣味なのはそれが理由だと思う。
 だから、最初この宝石の警備のお願いをされた時は正直乗り気ではなかった。
 だが、宝石はどうであれ警部が言っていた怪盗には興味がわいた。むしろ、今の好奇心はそこに向けられていた。
 執事の運転は上手く、安心感がある。
 車の中では少しは会話もあった。
「そう言えば、ご依頼された名簿をお渡ししておきます。今が宜しいですか」
「はい」
 執事は腕を伸ばし助席に置かれたファイルを取り後ろへと回した。ジークはそれを受け取った。
「名簿の名前の下には簡単な説明も書かせていただきました」
「ありがとうございます」
「しかし、何故名簿なのですか? まさか、怪盗は変装でもするのでしょうか?」
「さぁ? どうでしょうか……ただ、ひと目の多いタイミングでその宝石を盗めるでしょうか? むしろ、今回の主役が消えたりでもすれば当然誰かが気づく筈です。更に、大勢の中から誰にも気づかれずに持ち出さなければなりません。正直、気づかれないというのは不可能です。となれば、強行手段か?」
「まさか!?」
「ですが、それも本来ならあり得ません。リスクが大き過ぎます。単なる宝石泥棒なら、他の宝石を狙っていてもおかしくはありません。よほど、特別でない限りは。そう言えば訊いてませんでしたね。お披露目が終わった後はその宝石はどうなされるのですか?」
「一旦厳重な金庫に預けられます。申し訳ありませんが、私は執事でそれ以上のことは承知していないのです」
「では、それは今回の依頼主から訊くとしましょう」
「ジークさんはよく海外にも行かれますか?」
「いえ、よくではありません。まだ」
「夏に妻と京都に行こうと思っているのですが」
「京都?」
「妻がそう言い出しまして。しかし、私は反対なのですよ。それよりもエジプトに行ってみたいんですよ。エジプトのミステリー! ピラミッドやスフィンクスを一度は見てみたいものです。正直、私は恵まれています。金持ちでなければ、中々海外へ旅行だなんて考えられなかったでしょう。ですから、行くとしたらエジプトに行ってみいのですよ。あのピラミッドは人間がつくったものなんですから、相当凄いんでしょう」
「エジプトなら行きましたよ」
「本当ですか! なら、是非伺いたい。どうやったら妻を説得出来ますか? 妻は暑いのは嫌だと言っているんです。私は喧嘩せずになんとか誤魔化せないかと思っているんですが中々妻に嘘はつけなくて。下手なんです、どうも妻にそれがバレてしまう。そこでどうか探偵の力をお借りしたい。分かっています。こんなことで探偵の力をお借りするなんて! と思っているのでしょ? しかし、私には一大事でして」
「でしたら、京都は盆地だから暑いと答えたらどうです?」
「おお! そうさせていただきます」
 まぁ、そんなやりとりをしながら自分は執事から渡された名簿を一通り読んで確認していた。
 そうこうしているうちに、目的地のネイスミスの邸宅へ到着した。
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