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9章 銃弾と煙
04 VS大佐③
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物語の登場人物は魅力的でなければならない。鉄則中の鉄則。例えば、その物語がファンタジーであれば、強いスキルで敵を圧倒するシーン。しかし、それだけでは単調になってしまう。したがって、自分より格上の敵を登場させ、時に主人公に敗北を与え更なる成長のきっかけをつくる。そうして、いつしか一度は敗北した相手に再び挑み勝利することで達成感を与える。重要なことは、その相手がいつかは勝利できる相手であること。
そして、周りには盛り上げ役として、時にヒロインを登場させたり、相棒や仲間を登場させ、共に困難を乗り越える手助けを与える。
ミステリーであれば助手、恋愛であれば好きな人だ。
ジークにとっては警部の存在は大きい。警察という協力者は捜査の情報を流してくれるからだ。
マーニーはつい最近過ぎる。
では、敵はどうだろうか? 様々な動機を持った犯人、少佐、元大佐、大尉、謎の女、未だ会えぬ博士。
登場人物はある一つの目的に向かって行動する。探偵なら推理。勇者なら世界を救うこと。学生なら青春。
敵ならどうだろうか? 敵は世界を支配、または滅ぼすこと。犯人なら事件を起こしトリックで推理から逃れる。恋愛ならライバル。
さて、ジークの目の前にいる登場人物は、人物と言っていいのか? メラメラと燃える人をやめてしまった大尉だ。大尉の目的は復讐? それとも大佐の命令の為? しかし、どれも自分の為ではない。兄弟や慕っている大佐は他人でしかない。彼自身はどうなのか?
「大尉、あなたは何がしたいのですか?」
ジークの問に彼は直ぐには答えれなかった。
暫くの沈黙。それから彼は口を開く。
「どういう意味だ」
「あなたは例えば私達を殺し復讐を果たせたとしましょう。その後はどうするのですか?」
「……」
「また、大佐の命令通りに働くのですか? そして、今度は私達の命では飽き足らずここにいる全員を皆殺しにするのですか? どうなんですか? あなたは大量虐殺をしたいのですか?」
「お前には関係ない。死ね!」
鋭い爪がジークを襲った。
直前でジークは回避した。その後も尚ジークは話を続けた。
「私の質問に答えていただくまでは死ねませんね!」
「なら、教えよう。それに何の意味がある」
「自分で考えるのを放棄して全ての決定権を大佐にさせるのですか? あなたは思わないのですか? 過ちだとは? 大量虐殺があなたのすべきことですか?」
「何をしている大尉! 早く奴を仕留めるんだ!」
大尉はまた鋭い爪で攻撃した。
回避したつもりが、さっきよりスピードが増していて、横っ腹に深い傷が出来た。ジークは出血を手でおさえながらも尚続けた。
「どうやらあなたはいいように大佐に支配されているようだ。そうまでして、大佐に忠実でいいことはありましたか? いや、ない! 忠実でなければ、あなたの兄弟は失わずに済んだ。忠実でなければ、反抗さえすれば、兄弟揃って道を踏み外したりはしなかったでしょう。何故、抗うことをやめたのですか? どうして、そこまでして大佐に繋がれているのか。まるで、あなたは大佐の犬だ。だが、それには理由がある。あなたは大佐はどんな人ですか? 大佐? 違う。主人? 違う。あなたという人物から見てパロットはどんな人物ですか!」
その時、大尉の視界が真っ白になった。
次に視界が晴れると、そこは田舎村だった。
後ろを振り返ると、そこは孤児院だった。
そこにあの人がやって来た。軍服を着た男だ。
彼はパロットと言った。
パロットは軍人で、結婚はしていたが子供に恵まれず、僕たちを引き取りにきた。
だが、パロットは僕たちに今の姓をつかわせた。
「君たちは知らないだろうが、どんな理由があれ、孤児院に預けた両親は決して君たちを手放すことを望んでいたわけではない。いいか、生みの親を恨むんじゃないぞ。君たちの生みの親は私達ではなれないのだから」
それから、兄は大きくなり軍に入隊し、私はその後で入隊した。パロットは別に私達に軍に入るよう促したわけではなかった。気づいたら、あの人に嫌われないように、自然とそうすべきだと体が動いていた。それを自分達が選んだことだと思っていた。
だが、あの探偵の言うとおりかもしれない。私達は結局、自分達の幸せを掴もうとはしなかった。
ある日、パロットは血相を変えて戻ってきた。外国である占い師に会っていたという。少し心配した。占い師は嫌いだった。人を操りその気にさせる。兄も同じだった。
それから、パロットは別人になった。
人生という歯車があるのなら、いつからそれは狂い始めたのだろう。そうか、私達が、私が兄を、あの人を止めるべきだった。従うのではなく。その選択肢があったのだ。
殺すべきは目の前の探偵ではない。僕たちを狂わせたあの占い師だ。
鋭い爪を持った両手を見た大尉はそれをそのまま自分の腹に突き刺した。
「何をしてる!?」
全員が驚愕する中、大尉は「こんな自分を殺せるのは自分しかいない」と言って倒れた。
「クソッ!」
パロットは自分の拳銃でジークに向かって撃った。
だが、ジークの前に警部が飛び出し、警部の胸に弾が命中した。
「警部!」
「わ、忘れたのか……防弾チョッキは着てる」
パロットは他の兵士と警官によって発砲を受け、その場に倒れた。
「どうしてパロットは撃ったりなんかしたんだ」
パロットの体からは血が流れている。
「奴は進化薬を使わなかったのか」
「なんか、凄い結末になっちゃったね」とマーニーは言った。
「警部」
「なんだ? お礼なら構わんよ。たいしたことじゃない」
「全ての謎が解けました」
「なんだと!? それは本当か」
「ええ。彼が、大尉が教えてくれたんです」
「大尉が? いや、俺には分からんよ。教えてくれ、何が分かった?」
そう警部が訊いた時だった!
突然ゴオッ! という音と共に炎があがった。それは、大尉の火だった。
「だ、誰か……俺を殺してくれ……」
大尉は死んではいなかった。
そして、周りには盛り上げ役として、時にヒロインを登場させたり、相棒や仲間を登場させ、共に困難を乗り越える手助けを与える。
ミステリーであれば助手、恋愛であれば好きな人だ。
ジークにとっては警部の存在は大きい。警察という協力者は捜査の情報を流してくれるからだ。
マーニーはつい最近過ぎる。
では、敵はどうだろうか? 様々な動機を持った犯人、少佐、元大佐、大尉、謎の女、未だ会えぬ博士。
登場人物はある一つの目的に向かって行動する。探偵なら推理。勇者なら世界を救うこと。学生なら青春。
敵ならどうだろうか? 敵は世界を支配、または滅ぼすこと。犯人なら事件を起こしトリックで推理から逃れる。恋愛ならライバル。
さて、ジークの目の前にいる登場人物は、人物と言っていいのか? メラメラと燃える人をやめてしまった大尉だ。大尉の目的は復讐? それとも大佐の命令の為? しかし、どれも自分の為ではない。兄弟や慕っている大佐は他人でしかない。彼自身はどうなのか?
「大尉、あなたは何がしたいのですか?」
ジークの問に彼は直ぐには答えれなかった。
暫くの沈黙。それから彼は口を開く。
「どういう意味だ」
「あなたは例えば私達を殺し復讐を果たせたとしましょう。その後はどうするのですか?」
「……」
「また、大佐の命令通りに働くのですか? そして、今度は私達の命では飽き足らずここにいる全員を皆殺しにするのですか? どうなんですか? あなたは大量虐殺をしたいのですか?」
「お前には関係ない。死ね!」
鋭い爪がジークを襲った。
直前でジークは回避した。その後も尚ジークは話を続けた。
「私の質問に答えていただくまでは死ねませんね!」
「なら、教えよう。それに何の意味がある」
「自分で考えるのを放棄して全ての決定権を大佐にさせるのですか? あなたは思わないのですか? 過ちだとは? 大量虐殺があなたのすべきことですか?」
「何をしている大尉! 早く奴を仕留めるんだ!」
大尉はまた鋭い爪で攻撃した。
回避したつもりが、さっきよりスピードが増していて、横っ腹に深い傷が出来た。ジークは出血を手でおさえながらも尚続けた。
「どうやらあなたはいいように大佐に支配されているようだ。そうまでして、大佐に忠実でいいことはありましたか? いや、ない! 忠実でなければ、あなたの兄弟は失わずに済んだ。忠実でなければ、反抗さえすれば、兄弟揃って道を踏み外したりはしなかったでしょう。何故、抗うことをやめたのですか? どうして、そこまでして大佐に繋がれているのか。まるで、あなたは大佐の犬だ。だが、それには理由がある。あなたは大佐はどんな人ですか? 大佐? 違う。主人? 違う。あなたという人物から見てパロットはどんな人物ですか!」
その時、大尉の視界が真っ白になった。
次に視界が晴れると、そこは田舎村だった。
後ろを振り返ると、そこは孤児院だった。
そこにあの人がやって来た。軍服を着た男だ。
彼はパロットと言った。
パロットは軍人で、結婚はしていたが子供に恵まれず、僕たちを引き取りにきた。
だが、パロットは僕たちに今の姓をつかわせた。
「君たちは知らないだろうが、どんな理由があれ、孤児院に預けた両親は決して君たちを手放すことを望んでいたわけではない。いいか、生みの親を恨むんじゃないぞ。君たちの生みの親は私達ではなれないのだから」
それから、兄は大きくなり軍に入隊し、私はその後で入隊した。パロットは別に私達に軍に入るよう促したわけではなかった。気づいたら、あの人に嫌われないように、自然とそうすべきだと体が動いていた。それを自分達が選んだことだと思っていた。
だが、あの探偵の言うとおりかもしれない。私達は結局、自分達の幸せを掴もうとはしなかった。
ある日、パロットは血相を変えて戻ってきた。外国である占い師に会っていたという。少し心配した。占い師は嫌いだった。人を操りその気にさせる。兄も同じだった。
それから、パロットは別人になった。
人生という歯車があるのなら、いつからそれは狂い始めたのだろう。そうか、私達が、私が兄を、あの人を止めるべきだった。従うのではなく。その選択肢があったのだ。
殺すべきは目の前の探偵ではない。僕たちを狂わせたあの占い師だ。
鋭い爪を持った両手を見た大尉はそれをそのまま自分の腹に突き刺した。
「何をしてる!?」
全員が驚愕する中、大尉は「こんな自分を殺せるのは自分しかいない」と言って倒れた。
「クソッ!」
パロットは自分の拳銃でジークに向かって撃った。
だが、ジークの前に警部が飛び出し、警部の胸に弾が命中した。
「警部!」
「わ、忘れたのか……防弾チョッキは着てる」
パロットは他の兵士と警官によって発砲を受け、その場に倒れた。
「どうしてパロットは撃ったりなんかしたんだ」
パロットの体からは血が流れている。
「奴は進化薬を使わなかったのか」
「なんか、凄い結末になっちゃったね」とマーニーは言った。
「警部」
「なんだ? お礼なら構わんよ。たいしたことじゃない」
「全ての謎が解けました」
「なんだと!? それは本当か」
「ええ。彼が、大尉が教えてくれたんです」
「大尉が? いや、俺には分からんよ。教えてくれ、何が分かった?」
そう警部が訊いた時だった!
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