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9章 銃弾と煙
07 推理と真相
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ニューヨークでの出来事は世界中に広がった。
ジークはというと、警部と一緒にパリに来ていた。
そのパリにあるとある建物の中に入ると、若い女性がジークの顔を見るなり「どうぞ二階へ。ヴェラ・ミラーさんがお待ちです」と言った。ジークは「どうも」とお礼を言って階段へと向かった。
「どういうことだ?」と警部が自分に訊いてきたので「まぁ、直ぐに分かりますよ」と答えた。警部はその言葉を信用した。今更、私がつまらない嘘をつかないだろうと思っているのだ。これは信頼関係と言っていいだろう。ここまで来ると、警部の初対面の時の反応が嘘みたいに感じる。是非とも、この関係を前の警部に見せてやりたいぐらいだ。しかし、あの頃の警部は全く信じないだろう。そう思うと今の警部と比べ内心クスッと笑えてしまう。
部屋に入ると、最初に来た時とは全く変わらない部屋で、そこにヴェラ・ミラーがいた。
「そろそろ来るだろうとは思っていたよ」
「では、全てを話してくださるということですね?」
「その前に一つだけ確認させてくれ。何故、私だと分かった?」
「確かに、ロバート・エルフマンという名前は男の名前です。そして、博士ということも。実はこの人物について度々耳にするくせほとんど変わらない情報ばかりで新たな個人を特定するような情報はありませんでした。僅かな情報でロバート・エルフマンがどのような人物かを考えなければならない時、陥りやすいのはうっかり根拠もなく信じ込んでしまうということです。例え、ようやく得た情報もそれが本当のことか疑う必要がありました」
「探偵も警察も疑うことが仕事だからな。それで?」
「問題は、ロバート・エルフマンが本名かどうかでした。実は替え玉だったかもしれない。本当に探していた謎の人物は本当は名前も分かってはいなかったのではないか? もし、そうなると全ては振り出し……いや、何も分かっていなかったということになる。そうなると今まで得た手掛かりは失ってしまう。こうなった時、私は過去をもう一度振り返りました。実はかなり振り返る必要があったんです。最初の事件、ホテルで起きた殺人事件でした。私にとって初めてだった事件はなんとか解決することが出来ました。そして、切り裂きジャック事件の犯人も同時に判明したのです。切り裂きジャックはロンドンを恐怖に陥れました。ずっと警察が解決出来なかった事件の犯人です。そこに目をつけたのがその当時の市長でした。これがきっかけだったのです。次に市長から豪華列車のチケットを貰いました。報酬として。その列車で事件が起きました。そこにはなんと! 偶然にも時期市長を目指すボーダン議員が乗っていました。そして、そのボーダンは殺人を犯すのです。私は不幸だと思いながらもなんとか事件を解決出来ました。結果、ボーダンは逮捕され、二番手だったカルメンが一気にリードし市長に選ばれました。さて、問題は私にチケットを渡したあの市長はどちらを応援していたのか? もし、ボーダンでなくカルメンであった場合、これは偶然ではなかったのではないのか? まさに、新たな疑問が生まれたのです。さて、そんなカルメンは元大佐の言いなりでした。カーソン・パロットです。彼は自分の目的の為に政治や中には警察にまで影響力を及ぼしました。しかし、彼のやり方に疑問を持った方もいたことも事実です。実際、彼に関わる人物は狙われたりもしました。それが例の記者です。あの船に爆弾を仕掛けた意味は少佐を狙った殺害というより、パロットの息がかかった人物の抹殺、だからこそ船ごと沈没させてしまえばいいということになるわけです。さて、どこまで話しましたか?」
「まだ、私の話しをしてくれていないな」
「ああ、そうでした。パロットにとって重要なことは、生物兵器の完成と複製、そして占いでした。パロットは占いを信じ込んでいました。しかし、私からしてみればあのような男が熱心に占いを信じ込んでいることにかなりの違和感がありました。そして、私はそんな疑問をずっと抱えたまま、ずっと考えていました」
「それは疑問ではなく単に君の偏見ではないのか?」
「かもしれません。しかし、答えは違いました。そもそも、パロットが誰かに従う時は何か? いや、誰か? と質問した方がこの場合は早いのです。そして、その答えはロバート・エルフマンにいきつくのです。さて、そろそろ答えといきましょうか。あなたですよね? ロバート・エルフマンの本当の正体は」
「……」
「男性の名前を語れば相手は勝手に男だと思い込む。それがあなたの隠れみのだったんです。見事にやられました! 恐らく、これに気づけた人はそういなかったでしょう。問題は、パロットがあなたを重要視し、周りもあなたの占いを褒めた。いやいや、違う。そうではない。誰もが知っていた。パロットもパロットの部下も。だが、本当のことは公には出来ない。だから占いを褒めたんです。占いに一番遠そうなパロットまでもがです。それが一番おかしかった。私にはヒントでもありました」
「証拠はない」
「ええ。証拠はありません」
「話にならんな」
「しかし、決め手になるような発言を大尉はしたのです。殺すべきは僕たちを狂わせた占い師、大尉には兄弟がいました。僕たちというのは少佐のことでしょう。そして、占い師、それはあなたのことしかいない」
「……最初は若さを永遠に手に入れる為だった。進化薬は老いや病気にも働く。だが、私に接触したパロットは単に兵器を欲しがっていた。私は躊躇さえしたが、どうしても資金源が必要だった。しかし、どうやら私の発明した進化薬は人間には早過ぎたようだ」
「いえ、そうではありません」
「ん?」
「人間が手を出してはならないものでした」
ジークはというと、警部と一緒にパリに来ていた。
そのパリにあるとある建物の中に入ると、若い女性がジークの顔を見るなり「どうぞ二階へ。ヴェラ・ミラーさんがお待ちです」と言った。ジークは「どうも」とお礼を言って階段へと向かった。
「どういうことだ?」と警部が自分に訊いてきたので「まぁ、直ぐに分かりますよ」と答えた。警部はその言葉を信用した。今更、私がつまらない嘘をつかないだろうと思っているのだ。これは信頼関係と言っていいだろう。ここまで来ると、警部の初対面の時の反応が嘘みたいに感じる。是非とも、この関係を前の警部に見せてやりたいぐらいだ。しかし、あの頃の警部は全く信じないだろう。そう思うと今の警部と比べ内心クスッと笑えてしまう。
部屋に入ると、最初に来た時とは全く変わらない部屋で、そこにヴェラ・ミラーがいた。
「そろそろ来るだろうとは思っていたよ」
「では、全てを話してくださるということですね?」
「その前に一つだけ確認させてくれ。何故、私だと分かった?」
「確かに、ロバート・エルフマンという名前は男の名前です。そして、博士ということも。実はこの人物について度々耳にするくせほとんど変わらない情報ばかりで新たな個人を特定するような情報はありませんでした。僅かな情報でロバート・エルフマンがどのような人物かを考えなければならない時、陥りやすいのはうっかり根拠もなく信じ込んでしまうということです。例え、ようやく得た情報もそれが本当のことか疑う必要がありました」
「探偵も警察も疑うことが仕事だからな。それで?」
「問題は、ロバート・エルフマンが本名かどうかでした。実は替え玉だったかもしれない。本当に探していた謎の人物は本当は名前も分かってはいなかったのではないか? もし、そうなると全ては振り出し……いや、何も分かっていなかったということになる。そうなると今まで得た手掛かりは失ってしまう。こうなった時、私は過去をもう一度振り返りました。実はかなり振り返る必要があったんです。最初の事件、ホテルで起きた殺人事件でした。私にとって初めてだった事件はなんとか解決することが出来ました。そして、切り裂きジャック事件の犯人も同時に判明したのです。切り裂きジャックはロンドンを恐怖に陥れました。ずっと警察が解決出来なかった事件の犯人です。そこに目をつけたのがその当時の市長でした。これがきっかけだったのです。次に市長から豪華列車のチケットを貰いました。報酬として。その列車で事件が起きました。そこにはなんと! 偶然にも時期市長を目指すボーダン議員が乗っていました。そして、そのボーダンは殺人を犯すのです。私は不幸だと思いながらもなんとか事件を解決出来ました。結果、ボーダンは逮捕され、二番手だったカルメンが一気にリードし市長に選ばれました。さて、問題は私にチケットを渡したあの市長はどちらを応援していたのか? もし、ボーダンでなくカルメンであった場合、これは偶然ではなかったのではないのか? まさに、新たな疑問が生まれたのです。さて、そんなカルメンは元大佐の言いなりでした。カーソン・パロットです。彼は自分の目的の為に政治や中には警察にまで影響力を及ぼしました。しかし、彼のやり方に疑問を持った方もいたことも事実です。実際、彼に関わる人物は狙われたりもしました。それが例の記者です。あの船に爆弾を仕掛けた意味は少佐を狙った殺害というより、パロットの息がかかった人物の抹殺、だからこそ船ごと沈没させてしまえばいいということになるわけです。さて、どこまで話しましたか?」
「まだ、私の話しをしてくれていないな」
「ああ、そうでした。パロットにとって重要なことは、生物兵器の完成と複製、そして占いでした。パロットは占いを信じ込んでいました。しかし、私からしてみればあのような男が熱心に占いを信じ込んでいることにかなりの違和感がありました。そして、私はそんな疑問をずっと抱えたまま、ずっと考えていました」
「それは疑問ではなく単に君の偏見ではないのか?」
「かもしれません。しかし、答えは違いました。そもそも、パロットが誰かに従う時は何か? いや、誰か? と質問した方がこの場合は早いのです。そして、その答えはロバート・エルフマンにいきつくのです。さて、そろそろ答えといきましょうか。あなたですよね? ロバート・エルフマンの本当の正体は」
「……」
「男性の名前を語れば相手は勝手に男だと思い込む。それがあなたの隠れみのだったんです。見事にやられました! 恐らく、これに気づけた人はそういなかったでしょう。問題は、パロットがあなたを重要視し、周りもあなたの占いを褒めた。いやいや、違う。そうではない。誰もが知っていた。パロットもパロットの部下も。だが、本当のことは公には出来ない。だから占いを褒めたんです。占いに一番遠そうなパロットまでもがです。それが一番おかしかった。私にはヒントでもありました」
「証拠はない」
「ええ。証拠はありません」
「話にならんな」
「しかし、決め手になるような発言を大尉はしたのです。殺すべきは僕たちを狂わせた占い師、大尉には兄弟がいました。僕たちというのは少佐のことでしょう。そして、占い師、それはあなたのことしかいない」
「……最初は若さを永遠に手に入れる為だった。進化薬は老いや病気にも働く。だが、私に接触したパロットは単に兵器を欲しがっていた。私は躊躇さえしたが、どうしても資金源が必要だった。しかし、どうやら私の発明した進化薬は人間には早過ぎたようだ」
「いえ、そうではありません」
「ん?」
「人間が手を出してはならないものでした」
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