探偵主人公

アズ

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11章 探偵の勘

06 真相

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 一昨日の17時以降から行方不明。
 昨日マーニーが依頼を受け、マーニーはジークに話しを持ちかけ一緒に探すも見つからず。しかも、時間制限があり2日以内に見つける必要がある。
 そして、今日。
「余裕はないわよ。どうするの?」とマーニーはジークに訊いた。
 そんなジークはさっきからお婆さんが描いた描をじっと見ていた。
「そのノート、借りてたんだ」
「ええ。おかげで発見もありました」
「発見?」
「この絵はほとんど外の絵です」
「そうね」
「しかし、外で描かれた絵なのに人間が一人もいません」
「確かに。でも、建物とか目についたものしか描いていないんじゃない?」
「ええ、それは間違いないでしょう。ほとんどの絵は全体を写実的に描かれてあるといった感じではありません。しかし、マーニー。あなたの説明を少し言い方を変えても? 私ならこう表現します。印象と」
「印象」
「最初の一枚目を見て下さい。これが最大の謎です。どうですか、これが外で見た絵に見えますか?」
「いえ……分からないというのが精一杯ね」
「ええ、そうでしょう。しかし、マーニー。あなたはもう既に答えにたどり着いています」
「え?」
「分かりませんか?」
「うーん……分からない」
「あなたが言ったんですよ?」
「えー、分かんないのは分かんないよ。もったいぶらないでよ」
「目です」
「目?」
「目に見えると自分で言ったじゃありませんか。いいですか? もし、これが誘拐なら、お婆さんは誰かに見られていることに気づきそれを絵にしたんです。しかし、人ではなく目を描いた。時計はビッグ・ベンではありません。時間です。絵の針を見て下さい」
「え……あ!」
「5時に短い針があります。時間は17時。しかし、17時は息子がいる時間でその時間帯まで外に出掛けてはいません。かと言って朝の5時というわけでもないでしょう」
「でも、流石にトラファルガー広場は分からないでしょ?」
「いや、これは最大の謎でした。全く、難しかった。だが、この答えは実際に行ってみれば分かりますよ」
 そう言ってマーニーはジークに言われるがままに、リヴィエールのアパートに向かった。
 すると、アパートから見て向こう側の建物の前に犬が行儀よく座っている。
「あの犬は向こう側に住む住民が飼っている犬です。この時間はああしていつもいるそうなんです。そして、今月、つまりは最近ですね。あの家では水道漏れが起きて業者が修理に来ています。丁度、窓からその光景が見えた筈です。確認はしましたよ。つまりは、あの絵は連続で描かれた一連なんですよ。まず、一枚目、視線を感じ目を描く。それは外だ。それはあのアパートの窓から丁度見えるその位置。そこの奥は、水道の水漏れで噴水状態のお宅と犬。三枚目はその時刻を示していたんです。どうです?」
「す、凄い」
「言葉では伝えられなくても、何かしらのサインを残すんです。お婆さんは絵が好きなんでしょう。彼女が残したサインはその絵に隠されていたんです」
「でも、それだけでは犯人は分からないわ」
「いいえ、犯人は分かっています」
「え!?」
「動機は不明ですが、単純な消去法ですよ。さて、お話いただけるんですよね? コソコソしてないで出てきたらどうですか」
 ジークに言われ出てきたのはあの介護士のファースだった。
「私を見てあなたは驚いただけでない。真相にたどり着くんではないかとビクビクしたんではありませんか? そして、逃げるように立ち去った。流石に気づきますよ、あなたの態度を見てはね」
「あの有名な探偵が出てはもう時間の問題かと思っていました」
「では、教えていただきませんか? 何故あのようなことをしたのかを」
「ジーク、その前に確認しなきゃ」
「いえ、それは分かっています。お婆さんは無事です。恐らくはあなたの家にいるんじゃありませんか?」
「え!?」
 マーニーは驚いてファースを見た。
「ええ、その通りです。実は虐待の痕跡があったんです。誰の仕業かは直ぐに分かりました」
「息子さんですね」
「ええ。私は見張っていたんです。で、目撃してしまった。そしたら、いてもたってもいられなくなって、気づいたら私はとんでもないことをしていました」
「あなたがすべきことは誘拐ではなく、警察に通報することでしたよ」
「ええ……全くその通りです。申し訳ありません」



「なんだかなぁ……真相が分かっても犯人が悪いって感じがしないんだよなぁ」とマーニーは言った。
「そうでしょうか?」
「だってさ、自分の母親を虐待したんだよ」
「しかし、その母親は自分の息子の名前を忘れてしまったようですね。それに、彼は彼なりに悩んでいたと思いますよ。一番追い詰められていた。確かに、虐待は許されることではありません。しかし、マーニー。見てみなさい」
 ジークがそう言うので、マーニーは従った。
 警察に保護されたお婆さんは息子の家に戻って来ていた。
 お婆さんは息子を見るなり、笑顔になり「可愛い子だねぇ」と言った。
「確かに、名前は忘れたかもしれない。しかし、いくら病気でも完全に二人を引き離すことは出来ないんです。決してね。どちらか一方が覚えている限り」
 息子は泣きながら抱きつき「ごめんよ」と謝った。その息子の頭を優しく撫でた。



(第十一章・完)
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