探偵主人公

アズ

文字の大きさ
106 / 124
12章 ハロウィン

02 両腕と頭のない天使

しおりを挟む
 電話を使い瞬間移動した二人が行き着いた場所はヴェラ・ミラーの元借りていた部屋だった。ミラーが死に、空き部屋となったこの場所をパリの拠点としてジークは使っていた。
 ほとんどの物は証拠品として警察に回収されたが、家具類はそのまま置かれてある。たまに訪れては、部屋を隅々探すと面白い発見をしたりする。例えば、家具をどかしたその裏の壁には計算式が書かれてあったり。勿論、何の計算かは見ても分からなかった。未知の領域としてそれは封印した。
 そこから、ルーヴル美術館に向かうにはマーニーの運転スキルが必要だった。
 彼女の運転は荒いが、速く目的地に到着出来る。
 幾つか違反をしていたが、それは目を瞑るとしよう。
 ただ、問題が一点あった。
「やっぱりね」とマーニーが言ったのは、肝心の美術館が閉まっていたことだった。
「だって、もう時間過ぎてるもん。夜だもん。分かっていたけどさ、これどうするの?」
「本当なら、その彫刻辺りにヒントが隠されているのかと思ったんだけど」
 二人が困っていると、そこに一人の老人が近づいてきた。
「もしや、天使を求めに来たのか?」
「え? どうして知ってるの?」
「やはりそうか。いやぁ、良かった良かった。昨年も孫達が考えたゲームに付き合ったんだが、誰一人ここへは辿り着けなかった」
「それではずっとここで待っていたんですか?」
「まぁ、孫の頼みだからね。それに、孫にお願いされると嬉しいんだ。離れていても繋がっている気がしてね。さぁ、電話で孫から話しは聞いている。お前さんには新たなヒントをやろう」
 そう言って封印を渡してきた。それをジークは受け取った。
「あなたのお名前を訊いても宜しいですか?」
「イェールだよ。オリバー・イェール。孫の名はトム」
「トム・イェールですね。分かりました」
 ジークは手を差し出した。オリバーは少し驚いたが、直ぐに手を取り握手した。
「幸運を」
 それから、オリバーと別れた二人は早速封筒の中身を取り出した。
 入っていたのは一枚のカードのみ。
 カードにはこう書かれてあった。


 裏切り者の門へ向かえ


「どういう意味?」
「ロンドン塔のことだろうね。ロンドン塔は幽閉する場所としても使われ、実際にそう呼ばれる場所がそこにある」
「ロンドン……なんだか大変ね」
「とにかく電話機を探そう。近くにあるといいんだけれど」
 ジークは辺りを見渡した時、白い布を被り目のところに穴があいているまるでゴーストの被り物をしている子どもが此方に近づいてきてた。
 なんだろうか様子を見ていると、その小さなゴーストは二人に「トリック・オア・トリート」と言ってきた。
「マーニー、お菓子は?」
「いや、ないけど。ジークこそないの?」
「いや……」
 ジークは嫌な予感をしながら子供の方を見た。
「お菓子くれるの? くれないの?」
「ごめん、今はないんだ」とマーニーが言うと「お姉さん達いじわる」と言ってお化けがどんどんと大きくなっていった。
「え!? ちょ、ちょっと待って! 子どもが大きくなってくんだけど」
「いや、マーニー。これは子どもではない」
 ジークは水晶を持ちそう答えた。
「それは?」
「ミラーが使っていた水晶。これは手に入ったんだ。これを使うと、相手の真実が見えるんだ。でも、占いスキルを上げてないから、人間相手には全くだけどね」
「それってどういうこと!?」
「悪戯好き妖精だよ。私達が子供達のゲームに遊んでいるのを見て妖精がついてきたんだ」
「もう、厄介ね!」
「どうやら、単に進められるわけじゃないみたいだね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」 そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...