探偵主人公

アズ

文字の大きさ
107 / 124
12章 ハロウィン

03 VS妖精

しおりを挟む
 ゴーストは空中に浮かび、その際に白い布が風で宙を舞った。
 白い布に隠れていたのはジークの言う通り子供ではなかった。現れたのは胴のない頭と両腕が宙に浮いたモンスターだった。
 表は鬼のように怒った顔、その裏は笑った顔と二つの顔を持った頭だ。
 右腕は女性のような細い指に細い腕で赤い付け爪がある。
 左腕は逆に男性のようにがっしりと筋肉のついた青白い太い腕をしている。
 ジークは水晶で相手の情報を分析する。
「マーニー、こいつの右手に触れたら魅了の状態異常を引き起こす。逆に左手は触れたら死を与える」
「つまり、あいつの手に触れずに頭を倒せってことね」
「あと、顔の表が笑った顔になると両腕の効果は発動しない」
「笑った顔……」
 今は怒った顔を向けている為、その裏側がまさに笑った顔になる。
「なら回りこめばいいんじゃない?」
 マーニーの提案で二人は回り込もうとしたが、頭も二人に合わせて向きを変えだした。
「やっぱりそうなるか……お菓子あげなかったから怒ってるの?」
「マーニー、それなら二手に分かれよう。自分が動く」
「分かった」
 マーニーはそう返事するとカウボーイのような格好に装備を変更し、両手に拳銃を装備した。
「二丁拳銃よ」
 ジークは早速回り込み頭はジークを追いかけたが、途中でマーニーが自分の背後にいることに気づき、動きが止まった。
 どうしたらいいのか分からず動けなくなったところで、マーニーは二丁拳銃を笑った顔に向かってぶっ放した。
 笑った顔は次々に弾丸が命中し、頭は仮面が割れるようにパラパラと崩れ、連動して両手と怒った面も崩壊していった。
「楽勝だったね」
「二人いなかったら逆に苦戦してたレベルだったけどね」
「確かに」
「それじゃロンドン塔に向かおう」
 そして、二人は近くにある受話器を見つけ、ロンドンへと飛んだ。



 ロンドンのこれまたジークの拠点(ベイカー街にある賃貸の一室)に到着すると、二人はロンドン塔を目指し部屋を出た。
「マーニー、ロンドン塔に向かう前にお菓子を買いに行こう」
「あの部屋にお菓子はないの?」
「ない。ゲームの中の食事はあまり意味がないと思って菓子類は全く買ったことがない」
「お菓子も味を再現してるから試しに買ってみたら?」
「今度そうするよ」
「ご飯も全く?」
「いや、初めてきた国は食事をするよ。数回で充分かな」
「その割には珈琲は飲むよね?」
「考え事をした後は喉が渇くからね。現実の方は喉は渇いていないんだけど」
 それから二人は夜遅くまでやっている店で飴を大量に購入した。
 それから、マーニーの運転でロンドン塔へ向かうと、ロンドンの至る場所に例のゴーストの被りものをした子供が沢山出現した。
「先にお菓子買っておいて正解だったね。流石にあれ全部相手してたらひとたまりもなかったよ」
「まさに、ハロウィンだね」
「それよりロンドン塔も閉まってるんじゃないの?」
「それは間違いないと思うよ」
「とりあえず、行ってみないと分からないか」
 マーニーはそう言ってアクセルを強く踏み込んだ。



 ロンドン塔正門前に到着すると、二人は車を降りた。正門はやはり閉まっていた。
「それでどうするわけ? まさか、侵入するってわけじゃないよね?」
「おかしいな……予想だとここに次のヒントをくれる人がいてもおかしくないんだが」
 ジークは顎を擦りながら考え事をした。
「侵入出来そうな場所はないし……」
 ふと、マーニーは気配を感じ背後を振り返った。
 すると、いつの間にか大量のゴーストが沢山ロンドン塔前に集まっていた。
「ねぇ……ジーク」
「ん?」
 ジークは呼ばれ振り返った。
「飴って幾つ買ったっけ?」
「いや……数が足りない」
 ざっと百ぐらいのゴーストが集まっていた。
「20個入りの飴で充分かと思っていたんだが……」
「ねぇねぇどうすんの!? この数は絶対無理だよ!!」
「いや、この状況を打開する方法が必ずある筈だ」
「どこにそんなのがあるの!?」
 それは此方が聞きたいぐらいだ! と思ったその時、


 カー、カー、カー。


 ジークは振り返った。正門の真上にカラスがとまっていたのだ。
「これだ!」
「え? カラス??」
 マーニーがそう言うと、カラスは飛び立った。
「マーニー、カラスを追いかけるんだ!」
「カラスを追いかけるって、その先はゴーストが」
「いいから追いかけるんだ! 絶対に見失うな」
 ジークはそう叫び走り出した。ゴーストを押し避けながら。マーニーも「もう!」と何がなんだか分からないままジークの後を追いかけた。
 すると、何故かゴーストとの間に隙間ができ、細い道を二人は走っていた。
「これ、どういうこと!?」
 ジークはただカラスを追いかけているだけだった。
 カラスはまだ飛び続けている。
「どこまで行くつもりだ?」
 少し息を荒くしながらもカラスを必死に追いかけた。だんだんマーニーもあのカラスが誘導していることに気づいた。何故なら自然界のカラスにはない飛び方だからだ。まるで、その先に何かがあるみたいに。
 すると、目の前に明かりのある建物が見えた。それ以外の建物の明かりは消えているのにだ。
「あそこだ!」
 ジークは指差して、マーニーもその建物に向かった。
 急いで中に入り扉を閉めた。
「ジーク……あのカラスは……なんだったの?」
 息を切らしながらマーニーは訊いた。
 ジークは息を整えてから「カラスはイギリスにとって守護神みたいなものなんだよ。日本とは違ってね」と答えた。
「それじゃ、私達はカラスに助けられたわけね」
「ああ。そして、ここに誘導されたってことは、ここに何かがあるってことだ」
「それじゃ、それを探そうか」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」 そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...