探偵主人公

アズ

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13章 見える

11 銃撃戦

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 ジークがテレポートしたその部屋はリュー・メレディスの書斎だった。
 部屋は暗く、窓の外からは月が見える。
「ああ!! モラーヌ!」
 ジークは電話機の近くで倒れているモラーヌを見た。
 彼女の体からは出血が見られ、それは撃たれた後だった。ジークはその傷口を手でおさえた。
「モラーヌ、意識はありますか?」
「あ……ジーク……」
「今、直ぐに助けを呼びます」
 しかし、モラーヌは傷口をおさえているジークの手を重ねた。
「私はもうダメよ……」
 ジークは傷口をおさえているが出血が止まらない。
「モラーヌ……」
 ジークはなんて言ったらいいのか分からなかった。
「私……彼のところに行けるかしら……」
「ええ」
「良かった」
 彼女は笑顔でそう言ってから、ジークの腕の中で眠りについた。
 ジークはそっと彼女を横にした。
 すると、足音がした。部屋の外からだ。
 モラーヌを撃った犯人はまだこの家の中にいたのか。
 ジークは装備をしようとしたが、しかし、システムが起動し装備不可というメッセージが出た。
 何度か試したが結果は同じだった。ジークは受話器を取る。しかし、電話機は全く反応せず使えない状態になっていた。こうなると、テレポートで脱出も、助けを呼ぶことも出来ない。チャットも使用が不可になっている。どうやらこの異常事態は仕様のようだ。
 となると、この状況から自力で脱するしかないようだ。
 ジークは部屋を見渡した。装備が不可ということは、かわりとなる武器が隠されている筈だ。
 ジークは武器がどこに隠されているか探して回った。
 引き出しは空っぽ。特に武器となるようなものは見当たらない。まさか、本棚の本で戦うのか? まさか。
 もしやとジークは机の下を見た。机の下に拳銃が隠されてあると思ったが、裏は何もない。ジークはため息をついた。が、ふと気づいた。
 リュー・メレディスは彼女にこの部屋に入ることを許さなかった。彼が綺麗好きでなければ机の下は埃がある筈だが、床の板はそこだけ埃がなく綺麗だった。もしやと板の端を爪で引っ掛けると、固定されていないと分かった。ジークはその床の板を外した。
 その下には拳銃と弾とそして小さな箱を見つけた。それが何なのか直ぐに分かった。
 ジークは武器と箱を取ると、ジークは箱の蓋を開け、中身を取るとそれを持ってモラーヌのそばに寄り、彼女の手を取り、箱の中身、指輪をそっとはめた。恐らく、リュー・メレディスが彼女に渡す筈だった指輪だろう。
「モラーヌ、こんなかたちでとても残念です。せめて、あなたがあの世で好きな人と出会っていることを願っています」
 ジークはそう言って立ち上がると、彼女を殺害した犯人の対処にかかるとした。
 拳銃に弾を込め安全装置を解除すると、メッセージが表示される。



 ミッション・家にいる犯人を捕らえるか倒せ。ただし、スキル(狙撃スキル以外)無効。致命傷を受けると即死。



 なる程、この拳銃だけで家にいる犯人を相手にしなければならず、スキルも使えないわけか。
 ジークは書斎のドアの前に立った。そして、ゆっくりとドアを開け隙間を見ると、廊下に一人の黒服の男がうろついていた。
 どうやら、家を物色しようとしているようだ。何を探しているというのか。
 ジークは扉を閉めた。そして、拳銃を見てから考えた。
 ドアから出ることは出来ない。
 書斎の窓の方に向かうが、窓は開く。しかし、下に降りるのは不可能だ。
 再びドアの方へ向かう。そして、モラーヌの顔を見てから覚悟を決めると、再びドアの方を見てから、銃を構えた。そして、ドアの中心を狙う。ドアの薄さから弾はドアを貫通してその先へ飛ぶ。よし。
 ジークは数発銃を放った。
 ドアはジークの予想通り貫通し、弾は廊下にいた男に命中した。
 ジークはドアを開けた。廊下に立っていた男は倒れている。
 今ので、銃声は他の仲間に聞かれた筈だ。
 何人もの足音がした。まず、下から階段をかけ上がりながらまず一人が銃を撃ちまくる。次に寝室から男が出てきて銃を書斎に向かって撃ち始めた。ジークは急いで扉を閉める。ドアは幾つもの穴が出来た。ジークは書斎にある机を倒した。
 男一人が撃つのをやめ、書斎に近づきドアをゆっくりと開けた。目の前には倒れた机がある。まるでバリケードのように。そこから銃口が上から出て弾が撃たれ、書斎に入ってきた男は何発か撃たれ倒れた。それを見たもう一人は階段の途中で立ち止まり、もう一人下にいた部下に合図を送った。そいつの手にはマシンガンが握られ、階段から廊下に勢いよく出ると、書斎の奥にある机に向かって撃ちまくった。机は穴を開けバリケードの役目は果たされなかった。
 男はニヤリと笑い書斎に入った。机の奥を覗きこもうとした時、そこにジークの姿はなかった。窓は開いている。まさかと思い、窓の下を覗いた。下には何もない。頭を上げた時、男の後頭部銃口が突きつけられた。
 男は汗を垂らした。
 ジークは出入り口付近で息を殺して潜んでいたのだ。
「さ、流石だぜ」
 銃声が鳴り響き、男は窓から落ちた。
 最後の一人となった男は焦った。
「たかが相手一人だろ? どんな化け物だ」
 男はゆっくり階段を上がり廊下に顔をそっと出し書斎の方に顔を向けようとした時、こめかみに銃口が邪魔をした。
 男は眼球だけ動かし、そいつの正体を見た。
 それは探偵ジークだった。
「探偵だと!? たった一人でやったって言うのか」
「最後に言い残すことはそれだけか?」
「待て。降参する。だから撃つのだけはやめてくれ」
「条件がある。リュー・メレディスの殺害を認めろ。全て喋るんだ」
「ああ、分かった……」
 こうして、最後の一人を捕まえ拘束を終えると、ジークは使える電話機を探し、ジュールダン警部を呼んだ。
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