追い出されてよかった

能登原あめ

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6 (終)※

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 すべてをさらしたニールスが私の膝の裏に手をかけて持ち上げると、陰茎をこすりつける。
 なんとなく思っていたけれど。
 とても大きい。

「ヨハンナ、愛している」

 腰を進めて押し入ってきたそれの長大さに慌てた身体が上にずり上がる。

「逃げないでくれ」

 ニールスの言葉と同時に私はバランスをとるように彼に腕を伸ばした。
 なにかにつかまっていなければ、身体がバラバラになってしまいそうな感覚。

 ほっとしたようにニールスは私が求めるまま、身体を倒して抱きしめた。
 それからぐっ、と奥深くまで突き入れられる。

「あ、は……ッ」

 ぞわりと肌が粟立つ。
 痛みはないけれど、想像以上に大きく拡げられる初めての感覚は恐怖に近かった。
 脚が震えている。

「ぜんぶ?」

 これ以上先があったらどうしよう。

「……あぁ」
「よかった」

 相変わらず鼓動は速いままだけど、私がほっとして息を吐くのと同時にニールスも深く息を吐いた。

「こうしているだけでも気持ちいい」
「……嘘」
「嘘じゃない、ヨハンナが誘うように締めつけてくるから」

 ニールスが笑うと彼の陰茎も揺れる。
 呼吸するたびに大きく膨らんだカリ首が内壁をこするから、こちらも反応してしているだけ。

「してないわ、そんなこと……」

 熱くて、形まで伝わってくる。
 粟立った肌も落ち着いて、身体だけじゃなくて心も順応してきたみたい。

「もう少しこのままでいたいか?」

 ニールスが軽く唇をついばみながら聞いてくる。こんなに穏やかで私を優先してくれる営みは初めてで驚いてしまった。

「ヨハンナ?」

 そんな私をニールスが愛おしそうに見つめて聞いてくるから、伝える。

「ゆっくりなら、動いても大丈夫と思う」
「わかった」
 
 試すようにゆっくり前後に揺らしただけなのに内壁のすべてをこすられる感覚が生々しく伝わってくる。

「ん、ニールス……」

 ぎゅっと彼の首を腕を巻きつけると、耳元でかすかに笑ったのがわかった。

「おいで」

 私を抱えたままゆっくりと身体を起こして、太ももの上に乗せる。
 深くならないように脚を支えてくれているからニールスが求めるままに安心してキスを愉しんだ。

「ヨハンナ……キスが好きなのか?」
「そうみたい」

 心地よくて、気持ちよくて幸せな気持ちになる。

「……それはよかった、俺もだ」

 大きな体に包まれて受ける愛しげなキスも、優しく回された腕も、まだまだ余裕がありそう。
 と思ったけれど、私の中のニールスの陰茎が時々ピクっと動く。

「ニールス、愛している」

 彼の後頭部に指を差し込んで髪の手触りを楽しんでいると、背中に触れる指が背骨に沿ってゆっくり動いた。
 ぞくぞくして逃れるように腰を浮かせると、ニールスに引き寄せられる。
 そうしてゆったりと密着して愉しんだ後、私は天井を見上げていた。

「動いてもいいか?」

 あまりに自然に倒されて無言で頷く。
 ニールスの陰茎が一旦引き抜かれた後、なめらかに奥へと進む。

「ああぁ……ッ」

 すごい質量。
 揺さぶられると、張り出したカリ首が内壁のひだを刺激して甘くうずいてどんどん熱がたまっていく。

「ニー、ルス……っ!」

 激しくないのに、最奥に押しつけるような穏やかな動きに身体がとろける。
 
「ここが好きそうだな」

 身体が熱くてまともに考えられない。
 誰にも触れられたことのない場所を一定のリズムで刺激するから、彼の思うままに身体をゆだねて長くて深い絶頂に達した。

「……もう少しつき合ってくれ」

 大きな手が、私の腰をがっちりつかんで荒々しく打ちつける。十分に時間をかけてもらったからか、ただ快楽に飲み込まれる。

「あ、待っ……ニール、ス! あ、ああっ」

 達したはずなのに再び押し上げられてニールスにしがみつく。おぼれそう。
 気持ちいい、ただそれしか考えられない。

「気持ちいいな、可愛いヨハンナ」

 かすれた声が耳に届く。
 きつく抱きしめられたまま、ぐっと奥に押しつけられて彼が熱を放ったのを感じた。









 目が覚めると、彼が起き上がるところだった。まだ薄暗い。

「ニールス……?」

 自分のかすれた声に驚いて口を閉じる。

「焼きたてのパンを買ってくる。……すぐ戻るから、ゆっくり休んでくれ」

 私の唇と目蓋に口づけを落とした。

「飲み物、ここに置いておくよ」

 彼が出て行ってから、私は大きく息を吐いた。
 昨夜は夢を見ているようだった。
 すべてがぴったりで、彼の腕の中にいるとお姫様にでもなった気がした。

 あんなに優しく触れられたのも、甘くとかされて何度も達したのも、初めてのことで。
 もっと甘えていいのだと、もっと肩の力を抜いていいのだと言われているような気分になった。

 営みは運動みたいなものと思っていたけど全然違う。、
 彼は身体だけじゃなくて、すべて大きいから余計に気を遣ってくれたのだと思うけど。
 二人の初めてだったからかもしれないし、元々の性質かもしれない。後者のような気もした。
 
 今までの自分じゃないみたい。
 もう以前と同じ失敗はしたくない。
 だからこれからは本来の自分らしく生きよう。
 ニールスとならどんなことも前向きに考えられそう。

 でも今は起きていられそうもない。

 きっと、この後も彼は私を甘くとろかすだろう。だってとても名残惜しそうだったから。
 今のうちに眠っておかないと……そう思って私は幸せな気持ちで目を閉じた。

 
 





                  終







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 お読みいただきありがとうございます。
 この後はアルヴィンとのエンディング全2話です。
 大丈夫な方だけおつき合いいただけると嬉しいです。
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