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Prologue
しおりを挟む細かい経緯はわからない。
ただ、私の人生は終わったらしい。
目の前に光り輝くオーラをまとった美しい女神さまがいて、にっこり笑った。
「総受けヒャッハーって言ってたから、この世界を気にいると思って♡」
あれはBLゲーの話だし、酒飲みながらプレイしてたし。
とりあえず、ここはゲームの世界ではないらしい。
目の前に立つ五人の男たちは、この先私以外と結ばれることがないという。
なぜなら女性が少なく同性婚がほとんどの世界で、私みたいなのが好みだと言う希少な男性たちだから。
「重っ……」
「ほら、流行りの逆ハーってやつね♫」
そりゃ、ゲーム内ではビッチに何股もかけたよ?
腐女子と言い切るにはなんでもこいの雑食系だし、年齢制限つき乙女ゲーだって、なんならギャルゲーだって楽しめる。
だけどリアルでは相手は一人で十分。
五人の相手だなんて経験値が足りなすぎる。
悲しいかな、二十七歳の私には七年間彼氏がいない。
どういうところが女神様に気に入られたんだろう?
「あら? 『ウェーイ!』って言わないの?」
イケメンさんたち過ぎて恐れ多い!
面構えもシリアスな感じだし……。
彼らを手のひらで転がせる気がしない。
いやだって、彼らが旦那さんになったら私いろんな意味で身がもたない。
この世界に回復薬とかあるのかな?
あれ?
なんか、もう受け入れる気満々だったわ。
「多重婚もオッケーだからね♫」
女神様の計らいで、五人と挨拶をかわす。
「鈴木、正子です。スズと呼んでください。……よろしくお願いします」
「あら……あなたも名前が好きじゃないクチ?次から名前も授けようかしら……いえ、コチラの話……さあ、自己紹介してちょうだい!」
「……カーソンだ。よろしく」
沼地に住む薬師だそう。
底無し沼とか虫とかちょっと無理だけど大丈夫かな。
落ち着いた低音ボイスとガッチリと鍛えた身体はかっこいいけど、職業と合わない気がする。
「キーラン」
黒髪の暗殺者。え……?
整った顔立ちは無表情。明らかに年下。
ゲーム内だったら最萌のはず、だけど……これまで周りに暗殺者なんていなかったし、どんな会話すればいいの?
「クラウスです。会えて嬉しいです」
BL総受けの雰囲気を持つ、教師。
線が細くて押しに弱そう、守ってあげたくなる感じ。
優しい先生なんだろうな~。
彼とは穏やかな生活が想像できる!
「ケイだ。よろしく!」
火に愛される、炎の魔法使い。
ファンタジー‼︎
少年漫画の主役みたい……。
一瞬頭の上に耳が見えた気がしたけど、気のせいかな……だって、そんなの色々盛りすぎでしょ。
「コリーだ。女神の昔馴染みでね」
まさか神様?
そんな大げさなものじゃないって笑うところは親しみやすいけど、キラキラしたオーラが眩しい。
五人目に人間以外をぶち込んでくるとか、女神様すごいな。
そんな女神様が悩ましげに身体をくねらせた。
「もっと親しくならないとダメよねえ、相性はいいのよ、あなたたち。じゃあ、一人一日ずつ、週二日はお休み……確かあなたの世界ではそうやって過ごすのよね?」
こ れ は、仕 事 な の か な ?
「いやぁ、ねぇ、愛を育んでほしいだけ。それでは楽しんでね♡」
女神様がサッと手を振った。
まだ、心の準備ができてない!!
「それから、昼の十二時に自動的に次の相手の元へ移動するようになってるから……とりあえずそれで様子見てよ。複数で楽しみたい時は……まあ、わかるわよね。じゃ、よろしくね」
そ ん な の、わ か り た く な い!
私は女神様の明るい笑い声を聞きながら、新しい世界に落とされた。
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