180 / 214
31.会津
31-6. 京儀を嫌い申す
しおりを挟む
京の町並みが遠くに見えたとき、忠三郎は馬上で目を細めた。
幾度となく夢に見た都の屋根。瓦のひかりが、春の陽に滲んでいた。
霞のなかに浮かぶ五重塔、桃色と白の花が咲き誇る山裾の社、賀茂川のほとりでは花売りが声を張り上げていた。どこかからか笛の音が聞こえ、それに混じって小舟の櫓が水を割る音がさやかに響く。
かつて織田家が栄えたこの地に、今ふたたび足を踏み入れる――
それは過去と向き合う旅でもあった。
父の影、織田家の家臣たちの声、そして、自らの選んできた道。
それらが空の霞のように、胸の奥で静かに揺れていた。
聚楽第へ着いたのは午後の初め、庭には山吹が咲きはじめていた。
名残の冷気に混じって、桃のかおりが漂う。高楼にかかる金箔の飾り、各所に配された唐渡りの品々――異国の香を帯びたそのきらびやかさは、現のものとは思えぬ浮世の栄華だった。
案内された大広間には、すでに重なるように諸将の姿があった。
豊臣秀吉――今や天下を握る男。
その側近、浅野長政と石田三成。
そして、木村吉清父子――あの雪の名生で共に耐えた者たち。
だが何よりも、対座する一人の男の姿が、場を支配していた。
――伊達政宗。
若く、獣のように鋭い眼差しが、忠三郎を射抜く。
だが忠三郎は、いつものように、飄々と口元をほころばせた。
「おお……これはこれは。お変わりなさそうで、何より」
政宗の眉がぴくりと動く。
火花のような緊張が、広間を包んだ。
その空気を断ち切るように、石田三成が進み出る。手にしていた密書を、静かに秀吉の前に差し出した。
「殿下、ご覧ください。これこそが、伊達左京大夫殿が国衆に出した密書にござります」
秀吉はそれを受け取り、何も言わず目を通す。
室内にただ、紙をめくる音が響く。
「……それは偽書にございます」
政宗が口を開いた。
声音は淡々としていたが、明らかな怒りが込められていた。
「我が花押――『セキレイ』の目には、針で穴をあけてある。それが証。だがこの文には、それがないのではありますまいか」
その場が静まり返る。
誰もが、その言葉の虚ろさを見抜いていた。
だが秀吉は、笑みを浮かべた。
「ほう。では、左京大夫……その偽書に煽られた一揆の残り、おぬしがきっちり鎮めてみせよ。――それができるな?」
政宗の顔が一瞬、凍りついた。
秀吉はさらに続ける。
「そして――これより、伊達領のうち、長井・信夫・伊達・安達・田村・刈田の六郡四十四万石を没収し、会津少将に与える」
広間の空気が一変した。
政宗の指が、膝の上でかすかに震える。
忠三郎はなおも静かに微笑んでいた。
だが、その笑みの奥にあるものを、政宗は見逃さなかった。
――勝者の余裕ではない。
――赦しを拒む冷ややかさが混ざり合う、苦い微笑みであった。
「……面白い」
政宗が立ち上がった。
その声には笑みがあった。
だが、忠三郎を射抜くその目は、炎のように憎しみに燃えていた。
「上手く立ち回るものよ。……会津殿」
政宗は踵を返し、長裃の裾を払って広間をあとにした。
その背は、笑っていながらも、怒りと屈辱に満ちていた。
残された忠三郎は、誰の顔も見なかった。
ただ、遠くに咲く山吹の揺れを眺めていた。
春が来るたびに、また誰かが血を流す。
そしてそのたびに、自分の手は、少しずつ冷えていく。
――赦しとは何か。
この騒ぎの中に、果たして神の御心はあるのか。忠三郎の胸には、また一つ、新たな祈りが沈む。
政宗の去った聚楽第の広間には、一瞬だけ深い静けさが訪れた。
だが次の瞬間、秀吉の顔に浮かんだのは、少年のように無邪気な笑みだった。
「いやあ、見事な裁きじゃったろう、忠三郎殿」
場の空気が和らぐ。
浅野長政が苦笑し、石田三成は黙して袖の内で扇をたたむ。
忠三郎は笑顔のまま、深く頭を下げた。
「はっ。さすがは殿下」
秀吉は満足げに頷くと、急に顔を寄せるようにして言った。
「――さての。そなたにちと、相談があるのじゃ」
声をひそめながらも、目は爛々と輝いていた。手に入れたい獲物を思い描く、狩人のような光。
「おぬしの元におる成田甲斐という女子――。上方にも噂が届いておる。わずか数十騎で城を奪い返した胆力。しかも器量もなかなかと聞く。……のう、忠三郎殿」
秀吉の声は、酒を含んだように柔らかく、それでいて逃れられぬ圧を含んでいた。
「その女子を、わしの側室に召し抱えたいと思うておるのじゃ。成田家ともゆかり深きそなたなら、話も通しやすかろう」
忠三郎は、一瞬だけ言葉を失った。
口元に笑みを保ちつつ、喉の奥がひりつく。
甲斐を、秀吉の――。
まさか、と思った。だがそれは、あまりに甘い考えだった。
戦乱の世において、女が武を立てれば、その名はすぐに男たちの間で広まり、時にはその命さえ、戦利品のように扱われる。
その瞬間、ふと、過ぎし日の情景が脳裏をよぎる。
――章姫。
織田信長の娘とされていた、美しく、艶やかな姫。自らの館に置き、穏やかな夜の灯りに、膝を寄せ合って盃を交わした日々。だがそれは、恋慕というにはどこか儚く、切なさが伴っていた。
後になって、ある章姫の母親から漏らされた言葉に、忠三郎は耳を疑った。
「……あの方は、左近様の娘にございます」
思い返せば、仕草のひとつひとつに、義兄・一益を彷彿とさせるものがあった。
高潔で、冷静で、それでいて誰よりも人の情に通じていた。
――自分が最も憧れ、最も遠ざけてしまった男。
自分は、章姫のうちに、一益の幻を追っていたのではないか――
そう気づいたときにはもう遅かった。
秀吉が「信長公の血筋を手中に」と口にしたその日、忠三郎は章姫を差しだした。
あの冷えた雨の夕刻、黙して輿に乗る章姫の横顔は、何も責めなかった。
だが、ただ一度、忠三郎を見つめたその瞳には――たしかに、滝川一益と同じ何物にも動じない色があった。
それが政道だと言い聞かせても、胸の奥に渦巻く無念は消えなかった。
(また、同じことを繰り返すのか)
今度は、あの甲斐を。
忠三郎は目を伏せ、深く一礼した。
「恐れながら……甲斐は未だ若く、城の再建や家中の取りまとめに心を砕いております。それがしよりも、まず父君・氏長殿よりご意向をうかがうべきと存じまする」
秀吉はくく、と笑った。
「まあ、あまりに急いては野暮というものじゃの。そなたに任せる。――うまく取り成してくれ」
忠三郎は再び頭を下げた。広間を後にしながら、己の歩む道が、再び誰かの尊厳を犠牲にして築かれていることを、噛みしめていた。
その胸中に、かつて章姫が微笑んだ姿が、ふっと浮かんでは、消えた。
夕暮れの京の風は、春だというのにひどく冷たかった。
金箔の鴟尾が沈む夕陽を浴び、雲は紫に染まりはじめていた。
街では花灯籠の火がともり、三条の橋のたもとからは鼓や三味線の音が流れ出す。
屋敷に戻った忠三郎は、ふだんのように笑みを浮かべることもなく、ただ硯の前に座った。
灯明の揺らぎが障子にゆれ、筆を持つ手に微かに震えが走る。
――あのとき、なぜ甲斐を傍に置いたのか。
戦の功を褒めたのか。哀れみだったのか。
いや、彼女の強さに惹かれたのか、それとも弱さに。
男と女の情ではなかった。それは確かだ。
だが、己の傍に置き、戦乱の余火に巻き込んだ責めは、避けようもなかった。
「――甲斐……すまぬ」
声にならぬ声が、胸のうちに落ちる。
やがて忠三郎は、筆をとり、成田氏長に宛てて手紙を書き始めた。
――娘御のこと、関白殿下が関心を持たれております。
文の行間に、言葉にできぬ思いがにじむ。
贖罪とは、何をもって果たされるのか。
信仰とは、ただ自らを赦すための盾であってはならない。
忠三郎は筆を置き、しばらくその文を見つめた。
夜が更け、遠くから鼓の音がかすかに聞こえた。
都の春は、皮肉なほどに、花の盛りを迎えていた。
聚楽第の屋敷に戻った忠三郎のもとを、夜も更けぬうちに黒田官兵衛が訪ねてきた。月が高く、京の空には薄い霞がかかっていた。軒下をくぐる夜風が、どこか遠くの田舎の土の匂いを運んでくる。火灯しの明かりが、二人の影を障子に映していた。
「忠三郎殿……一つ、耳に入れておきたいことがござる」
そう前置きした官兵衛の顔には、いつも以上の翳りがあった。
「奥州の騒乱、こたびの葛西・大崎の件じゃが…」
官兵衛は言葉を切り、少し杯に口をつけたあと、低く続けた。
「旧大崎・葛西領に木村吉清・清久親子が配されたとき、おぬしはどう思われたか」
忠三郎は答えず、静かに眼差しを落とした。木村父子は、突如として三十万石の地を与えられ、政宗を押さえるかのようにその北隣に封じられた。
「……はじめから、一揆が起きると、誰かは読んでおったということか」
官兵衛は頷いた。
「殿下は、伊達左京大夫の心を見抜いておられた。大人しゅう収まる男ではないと。ならば、一度あの地を攪乱せしめ、左京大夫を試し、挙げ句の果てに責める口実とすればよい……そう、考えられたようじゃ」
「……木村殿は、捨て駒だったのか」
「そう申しても、言い過ぎではあるまい。目立った功績もない木村殿を、兵も治政の基盤もろくに与えず、いきなりあの荒地に投じた。左京大夫を刺激するために、あえてあの木村を使うたのじゃ」
忠三郎は、掌にある杯を強く握りしめた。微かに器が鳴った。
そうではないかとは思っていた。あまりにも唐突すぎる封地、あまりにも拙速な命令、そして何より、あまりにも血のにおいが早すぎた。
だが――。
やはり、そうなのか。
木村親子は、豊臣の威信の礎として、あの地に投じられたにすぎなかったのか。あの地に暮らす民すらも、政略の駒にすぎなかったのか。
「……なんとも殿下らしい…」
官兵衛は杯を置き、言った。
「忠三郎殿。政とは、そういうものです」
「……して、官兵衛殿は、それを良しと?」
静かに問う忠三郎の目は、まっすぐだった。官兵衛はその視線を受け止め、ほんの一瞬、表情を陰らせた。
「良しとは申さぬ。だが、悪しきものを打つために、なお悪しき手を使うことも、乱世には必要とされる。……その上で、いかに善を残すかが、我らの勤めでござろう」
その言葉に、忠三郎は再び杯を見た。そこに映る灯明の揺らぎは、まるで己の心そのもののようだった。
奥州の地に放たれた数万の命。それは秀吉の掌で操られた駒にすぎず、木村親子の悲運も、民の嘆きも、その劇の一場面にすぎないのか。
怒りが胸に湧いた。しかし、それをぶつける先は、どこにもなかった。
豊臣に仕え、栄達を得た己もまた、その掌のうちにある駒にすぎぬのか――。
「奥州の騒乱、葛西・大崎のみとお思いか」
「いや…上杉領でも一揆が起きたと聞き及びましたが…」
「いかにも、奥州各地で一揆が起きておる。仙北、由利、庄内の藤島、和賀、稗貫――皆、口を揃えて言うことは『京儀は嫌い申す』」
「京儀は嫌い申す…」
忠三郎は静かに目を伏せた。
京儀――。
都で決められた掟、法、尺度。すなわち豊臣政権の施政そのものを指す言葉。
その「正しさ」が、遠く離れた奥州の民にとっては、重しであり、呪いであり、刃となっている。
官兵衛は、まなざしを灯明の陰に沈めたまま、なおも言葉を継ぐ。
「このたびの検地は、畿内の尺度をそのまま北へと押しつけた。されど奥州の地は、春遅く、冬は長い。山間の寒冷な土地にては、同じ反別で同じ量の米は取れぬ。……それを知らぬ者が筆を執り、槍で脅して田畑を測る。百姓どもが抗えば、即刻なで斬り。すでに死者も出ております」
「……それはいささか、わしが聞いた話とは違う。年貢は土地の等級分けが行われ、収穫量を策定していると聞き及んでいたが……」
言いながらも、忠三郎の声には迷いが混じっていた。
誰よりも現地を歩き、農の難しさを目の当たりにしてきた自分が、それを信じてよいのか――心が揺れていた。
すると傍らに控えていた町野長門守が小さく咳払いした。
「如何した長門」
問いかける声が自然と低くなる。
「殿…。実は黒田様の仰せの通りにて…。検地に使われる枡も竿も上方のもの。その尺度ではかられ、挙句、二公一民では五畿内であればまだしも、奥州では餓死者が出るほどの重い負担となりまする」
「何故、それをわしに言わなんだ?」
震えを帯びた声。怒りよりも、焦りと無力感が滲んでいた。
「実は検地を実施したのは我らではなく、関白殿下でござります。迂闊に命に背くようなことをいたせば、我らにまで危害が及ぶ恐れがあり…」
「関白…」
秀吉が関白職を甥の秀次へ譲り、大陸へと目を向けはじめた日から、確かに政の風向きは変わった。
小田原征伐の熱も冷めぬうちに、会津に入った大軍は、まるで鎖を引くように、冷たく無機質に検地を進めた。
忠三郎は困惑したまま、町野長門守の顔を見、そして官兵衛の顔を見た。
「……官兵衛殿。これは……」
灯明が揺れ、その黒い瞳に影を落とす。
「関白殿下は職務に忠実だったまでのこと。そして太閤殿下はこれより海の向こう、大明との戦さを控えておる。大戦を前にこの日の本の主が誰であるのか、下々の者にわからせるために行われたものかと」
官兵衛の言葉は、風のように静かだった。だがその一語一語が、忠三郎の胸に、鉄の塊のように重く沈んでゆく。
――「わからせるため」。
誰に、何を、「わからせる」というのだ。
犠牲となる百姓たちの命の重さは、政の名の下では、言葉ひとつにすり潰されてゆくのか。
忠三郎は目を伏せた。
その胸奥で、声なき悲鳴が響いていた。
かつて、一益は言った。
「民を愛する者は強く、民を愛さざる者は弱し」と。
その教えを心に刻みながら、己は何も為せぬまま、ただ命を受け、兵を動かし、地を奪い、女を差し出し、土地を測らせてきたのではないか――。
灯明の炎が揺れ、忠三郎の影を長く伸ばした。
今や九十二万石――徳川、前田に次ぐ地位を得た忠三郎。その背に、これまでとは比べものにならぬ重みがのしかかっている。
民の声を聞く者として、政を預かる者として、そして――キリシタンとして。
何が、最も正しいのか。
神の御心に叶う行いとは、果たしてこの血に染まった加増なのか。
忠三郎は、ふと視線を遠くにやった。障子の向こうには、まだ散らぬ桜の花が夜風に揺れている。
京の春は、あまりに華やかだった。
だが、その華やぎの裏には、寒さに震える民がいた。奥州の雪に埋もれた村々。泣く子を抱きしめながら、米一粒にも手を伸ばせぬ母たちの姿が、ありありと目に浮かぶ。
己は本当に、正しき道を歩んでいるのか。
己の選んだこの道の先に、何があるのか――。
忠三郎は、杯を静かに置いた。
火の気のない室内に、灯明の小さな炎が揺れている。蝋の香が、かすかに春の夜気に混ざった。
官兵衛は、言いにくそうに目を伏せ、なおも続けた。
「……六月には、再び奥州へ大軍が差し向けられます。太閤殿下の命により、徳川殿、前田殿も自ら兵を率い、仕置の名のもと、奥州に残る一揆を鎮圧する手筈となるかと」
「……再び、奥州へ…」
忠三郎の声は低く、灯明の火に吸われていくようだった。
再仕置――。すなわち、もう一度、武によって秩序を打ち立てるということ。かつて自らも加わった奥州仕置。あのとき命からがら逃れた者たち、雪のなかに埋もれた叫び、母の亡骸にすがりついて泣いていた子どもたち。その全てが、今ふたたび、剣の下に晒されようとしている。
「戦なき天下を掲げながら、戦をもって静謐を得る……皮肉なものにて」
官兵衛は静かに呟いたが、忠三郎はその言葉には答えなかった。
胸の奥が、静かに軋んでいた。
加増を受けたばかりだ。だがその米一粒一粒は、誰かが耕し、誰かが汗を流して得たものだ。それを積み上げることで自分が得たものは、ほんとうに「報い」なのか。
心は、かつてなきほどに、沈んでいた。
武をもって征する政。征しては改め、改めてはまた、征する。人の世とは、かくも果てなき戦いの繰り返しなのか。政の正義とは、果たして誰のためにあるのか。
忠三郎は、再び梅に目をやった。
その一輪が、風もないのに、ふいに揺れた気がした。遠い地の誰かの呻き声が、目には見えぬ風となってこの京の空に届いたかのように。
いっそ、己の手を汚さぬままであれば、もっと心は穏やかだったかもしれない。だが、自らの手で地を治め、自らの名のもとに人が死ぬことの意味を知った今となっては、もはやその頃の無垢には戻れない。
――主よ、我に問いを与え給うか。
忠三郎は、手を組んで心のなかで祈った。
殺すことが正義と呼ばれ、征服が秩序と化すこの世において、あなたはなお、われらに赦しを与えられるのですか、と。
官兵衛が、静かに席を立つ気配がした。
「夜も更け申した。これにて、失礼つかまつる」
「……官兵衛殿」
忠三郎が呼び止めると、官兵衛は振り向いた。そして、ふっと目元を和らげた。
「ただ……祈り、苦しみぬいた末に選んだ道であれば、それはきっと、みこころに叶う道でござりましょう」
その言葉を背に、官兵衛は静かに去っていった。
忠三郎は、障子に揺れる灯明の影をじっと見つめていた。
夜は、まだ明けない。
だが、その闇の深さを知った者だけが、やがて訪れる曙のかすかな光を見つけるのかもしれない。
梅がまたひとひら、舞い落ちた。遠い奥州の空に咲いた、名もなき祈りのようだった。
幾度となく夢に見た都の屋根。瓦のひかりが、春の陽に滲んでいた。
霞のなかに浮かぶ五重塔、桃色と白の花が咲き誇る山裾の社、賀茂川のほとりでは花売りが声を張り上げていた。どこかからか笛の音が聞こえ、それに混じって小舟の櫓が水を割る音がさやかに響く。
かつて織田家が栄えたこの地に、今ふたたび足を踏み入れる――
それは過去と向き合う旅でもあった。
父の影、織田家の家臣たちの声、そして、自らの選んできた道。
それらが空の霞のように、胸の奥で静かに揺れていた。
聚楽第へ着いたのは午後の初め、庭には山吹が咲きはじめていた。
名残の冷気に混じって、桃のかおりが漂う。高楼にかかる金箔の飾り、各所に配された唐渡りの品々――異国の香を帯びたそのきらびやかさは、現のものとは思えぬ浮世の栄華だった。
案内された大広間には、すでに重なるように諸将の姿があった。
豊臣秀吉――今や天下を握る男。
その側近、浅野長政と石田三成。
そして、木村吉清父子――あの雪の名生で共に耐えた者たち。
だが何よりも、対座する一人の男の姿が、場を支配していた。
――伊達政宗。
若く、獣のように鋭い眼差しが、忠三郎を射抜く。
だが忠三郎は、いつものように、飄々と口元をほころばせた。
「おお……これはこれは。お変わりなさそうで、何より」
政宗の眉がぴくりと動く。
火花のような緊張が、広間を包んだ。
その空気を断ち切るように、石田三成が進み出る。手にしていた密書を、静かに秀吉の前に差し出した。
「殿下、ご覧ください。これこそが、伊達左京大夫殿が国衆に出した密書にござります」
秀吉はそれを受け取り、何も言わず目を通す。
室内にただ、紙をめくる音が響く。
「……それは偽書にございます」
政宗が口を開いた。
声音は淡々としていたが、明らかな怒りが込められていた。
「我が花押――『セキレイ』の目には、針で穴をあけてある。それが証。だがこの文には、それがないのではありますまいか」
その場が静まり返る。
誰もが、その言葉の虚ろさを見抜いていた。
だが秀吉は、笑みを浮かべた。
「ほう。では、左京大夫……その偽書に煽られた一揆の残り、おぬしがきっちり鎮めてみせよ。――それができるな?」
政宗の顔が一瞬、凍りついた。
秀吉はさらに続ける。
「そして――これより、伊達領のうち、長井・信夫・伊達・安達・田村・刈田の六郡四十四万石を没収し、会津少将に与える」
広間の空気が一変した。
政宗の指が、膝の上でかすかに震える。
忠三郎はなおも静かに微笑んでいた。
だが、その笑みの奥にあるものを、政宗は見逃さなかった。
――勝者の余裕ではない。
――赦しを拒む冷ややかさが混ざり合う、苦い微笑みであった。
「……面白い」
政宗が立ち上がった。
その声には笑みがあった。
だが、忠三郎を射抜くその目は、炎のように憎しみに燃えていた。
「上手く立ち回るものよ。……会津殿」
政宗は踵を返し、長裃の裾を払って広間をあとにした。
その背は、笑っていながらも、怒りと屈辱に満ちていた。
残された忠三郎は、誰の顔も見なかった。
ただ、遠くに咲く山吹の揺れを眺めていた。
春が来るたびに、また誰かが血を流す。
そしてそのたびに、自分の手は、少しずつ冷えていく。
――赦しとは何か。
この騒ぎの中に、果たして神の御心はあるのか。忠三郎の胸には、また一つ、新たな祈りが沈む。
政宗の去った聚楽第の広間には、一瞬だけ深い静けさが訪れた。
だが次の瞬間、秀吉の顔に浮かんだのは、少年のように無邪気な笑みだった。
「いやあ、見事な裁きじゃったろう、忠三郎殿」
場の空気が和らぐ。
浅野長政が苦笑し、石田三成は黙して袖の内で扇をたたむ。
忠三郎は笑顔のまま、深く頭を下げた。
「はっ。さすがは殿下」
秀吉は満足げに頷くと、急に顔を寄せるようにして言った。
「――さての。そなたにちと、相談があるのじゃ」
声をひそめながらも、目は爛々と輝いていた。手に入れたい獲物を思い描く、狩人のような光。
「おぬしの元におる成田甲斐という女子――。上方にも噂が届いておる。わずか数十騎で城を奪い返した胆力。しかも器量もなかなかと聞く。……のう、忠三郎殿」
秀吉の声は、酒を含んだように柔らかく、それでいて逃れられぬ圧を含んでいた。
「その女子を、わしの側室に召し抱えたいと思うておるのじゃ。成田家ともゆかり深きそなたなら、話も通しやすかろう」
忠三郎は、一瞬だけ言葉を失った。
口元に笑みを保ちつつ、喉の奥がひりつく。
甲斐を、秀吉の――。
まさか、と思った。だがそれは、あまりに甘い考えだった。
戦乱の世において、女が武を立てれば、その名はすぐに男たちの間で広まり、時にはその命さえ、戦利品のように扱われる。
その瞬間、ふと、過ぎし日の情景が脳裏をよぎる。
――章姫。
織田信長の娘とされていた、美しく、艶やかな姫。自らの館に置き、穏やかな夜の灯りに、膝を寄せ合って盃を交わした日々。だがそれは、恋慕というにはどこか儚く、切なさが伴っていた。
後になって、ある章姫の母親から漏らされた言葉に、忠三郎は耳を疑った。
「……あの方は、左近様の娘にございます」
思い返せば、仕草のひとつひとつに、義兄・一益を彷彿とさせるものがあった。
高潔で、冷静で、それでいて誰よりも人の情に通じていた。
――自分が最も憧れ、最も遠ざけてしまった男。
自分は、章姫のうちに、一益の幻を追っていたのではないか――
そう気づいたときにはもう遅かった。
秀吉が「信長公の血筋を手中に」と口にしたその日、忠三郎は章姫を差しだした。
あの冷えた雨の夕刻、黙して輿に乗る章姫の横顔は、何も責めなかった。
だが、ただ一度、忠三郎を見つめたその瞳には――たしかに、滝川一益と同じ何物にも動じない色があった。
それが政道だと言い聞かせても、胸の奥に渦巻く無念は消えなかった。
(また、同じことを繰り返すのか)
今度は、あの甲斐を。
忠三郎は目を伏せ、深く一礼した。
「恐れながら……甲斐は未だ若く、城の再建や家中の取りまとめに心を砕いております。それがしよりも、まず父君・氏長殿よりご意向をうかがうべきと存じまする」
秀吉はくく、と笑った。
「まあ、あまりに急いては野暮というものじゃの。そなたに任せる。――うまく取り成してくれ」
忠三郎は再び頭を下げた。広間を後にしながら、己の歩む道が、再び誰かの尊厳を犠牲にして築かれていることを、噛みしめていた。
その胸中に、かつて章姫が微笑んだ姿が、ふっと浮かんでは、消えた。
夕暮れの京の風は、春だというのにひどく冷たかった。
金箔の鴟尾が沈む夕陽を浴び、雲は紫に染まりはじめていた。
街では花灯籠の火がともり、三条の橋のたもとからは鼓や三味線の音が流れ出す。
屋敷に戻った忠三郎は、ふだんのように笑みを浮かべることもなく、ただ硯の前に座った。
灯明の揺らぎが障子にゆれ、筆を持つ手に微かに震えが走る。
――あのとき、なぜ甲斐を傍に置いたのか。
戦の功を褒めたのか。哀れみだったのか。
いや、彼女の強さに惹かれたのか、それとも弱さに。
男と女の情ではなかった。それは確かだ。
だが、己の傍に置き、戦乱の余火に巻き込んだ責めは、避けようもなかった。
「――甲斐……すまぬ」
声にならぬ声が、胸のうちに落ちる。
やがて忠三郎は、筆をとり、成田氏長に宛てて手紙を書き始めた。
――娘御のこと、関白殿下が関心を持たれております。
文の行間に、言葉にできぬ思いがにじむ。
贖罪とは、何をもって果たされるのか。
信仰とは、ただ自らを赦すための盾であってはならない。
忠三郎は筆を置き、しばらくその文を見つめた。
夜が更け、遠くから鼓の音がかすかに聞こえた。
都の春は、皮肉なほどに、花の盛りを迎えていた。
聚楽第の屋敷に戻った忠三郎のもとを、夜も更けぬうちに黒田官兵衛が訪ねてきた。月が高く、京の空には薄い霞がかかっていた。軒下をくぐる夜風が、どこか遠くの田舎の土の匂いを運んでくる。火灯しの明かりが、二人の影を障子に映していた。
「忠三郎殿……一つ、耳に入れておきたいことがござる」
そう前置きした官兵衛の顔には、いつも以上の翳りがあった。
「奥州の騒乱、こたびの葛西・大崎の件じゃが…」
官兵衛は言葉を切り、少し杯に口をつけたあと、低く続けた。
「旧大崎・葛西領に木村吉清・清久親子が配されたとき、おぬしはどう思われたか」
忠三郎は答えず、静かに眼差しを落とした。木村父子は、突如として三十万石の地を与えられ、政宗を押さえるかのようにその北隣に封じられた。
「……はじめから、一揆が起きると、誰かは読んでおったということか」
官兵衛は頷いた。
「殿下は、伊達左京大夫の心を見抜いておられた。大人しゅう収まる男ではないと。ならば、一度あの地を攪乱せしめ、左京大夫を試し、挙げ句の果てに責める口実とすればよい……そう、考えられたようじゃ」
「……木村殿は、捨て駒だったのか」
「そう申しても、言い過ぎではあるまい。目立った功績もない木村殿を、兵も治政の基盤もろくに与えず、いきなりあの荒地に投じた。左京大夫を刺激するために、あえてあの木村を使うたのじゃ」
忠三郎は、掌にある杯を強く握りしめた。微かに器が鳴った。
そうではないかとは思っていた。あまりにも唐突すぎる封地、あまりにも拙速な命令、そして何より、あまりにも血のにおいが早すぎた。
だが――。
やはり、そうなのか。
木村親子は、豊臣の威信の礎として、あの地に投じられたにすぎなかったのか。あの地に暮らす民すらも、政略の駒にすぎなかったのか。
「……なんとも殿下らしい…」
官兵衛は杯を置き、言った。
「忠三郎殿。政とは、そういうものです」
「……して、官兵衛殿は、それを良しと?」
静かに問う忠三郎の目は、まっすぐだった。官兵衛はその視線を受け止め、ほんの一瞬、表情を陰らせた。
「良しとは申さぬ。だが、悪しきものを打つために、なお悪しき手を使うことも、乱世には必要とされる。……その上で、いかに善を残すかが、我らの勤めでござろう」
その言葉に、忠三郎は再び杯を見た。そこに映る灯明の揺らぎは、まるで己の心そのもののようだった。
奥州の地に放たれた数万の命。それは秀吉の掌で操られた駒にすぎず、木村親子の悲運も、民の嘆きも、その劇の一場面にすぎないのか。
怒りが胸に湧いた。しかし、それをぶつける先は、どこにもなかった。
豊臣に仕え、栄達を得た己もまた、その掌のうちにある駒にすぎぬのか――。
「奥州の騒乱、葛西・大崎のみとお思いか」
「いや…上杉領でも一揆が起きたと聞き及びましたが…」
「いかにも、奥州各地で一揆が起きておる。仙北、由利、庄内の藤島、和賀、稗貫――皆、口を揃えて言うことは『京儀は嫌い申す』」
「京儀は嫌い申す…」
忠三郎は静かに目を伏せた。
京儀――。
都で決められた掟、法、尺度。すなわち豊臣政権の施政そのものを指す言葉。
その「正しさ」が、遠く離れた奥州の民にとっては、重しであり、呪いであり、刃となっている。
官兵衛は、まなざしを灯明の陰に沈めたまま、なおも言葉を継ぐ。
「このたびの検地は、畿内の尺度をそのまま北へと押しつけた。されど奥州の地は、春遅く、冬は長い。山間の寒冷な土地にては、同じ反別で同じ量の米は取れぬ。……それを知らぬ者が筆を執り、槍で脅して田畑を測る。百姓どもが抗えば、即刻なで斬り。すでに死者も出ております」
「……それはいささか、わしが聞いた話とは違う。年貢は土地の等級分けが行われ、収穫量を策定していると聞き及んでいたが……」
言いながらも、忠三郎の声には迷いが混じっていた。
誰よりも現地を歩き、農の難しさを目の当たりにしてきた自分が、それを信じてよいのか――心が揺れていた。
すると傍らに控えていた町野長門守が小さく咳払いした。
「如何した長門」
問いかける声が自然と低くなる。
「殿…。実は黒田様の仰せの通りにて…。検地に使われる枡も竿も上方のもの。その尺度ではかられ、挙句、二公一民では五畿内であればまだしも、奥州では餓死者が出るほどの重い負担となりまする」
「何故、それをわしに言わなんだ?」
震えを帯びた声。怒りよりも、焦りと無力感が滲んでいた。
「実は検地を実施したのは我らではなく、関白殿下でござります。迂闊に命に背くようなことをいたせば、我らにまで危害が及ぶ恐れがあり…」
「関白…」
秀吉が関白職を甥の秀次へ譲り、大陸へと目を向けはじめた日から、確かに政の風向きは変わった。
小田原征伐の熱も冷めぬうちに、会津に入った大軍は、まるで鎖を引くように、冷たく無機質に検地を進めた。
忠三郎は困惑したまま、町野長門守の顔を見、そして官兵衛の顔を見た。
「……官兵衛殿。これは……」
灯明が揺れ、その黒い瞳に影を落とす。
「関白殿下は職務に忠実だったまでのこと。そして太閤殿下はこれより海の向こう、大明との戦さを控えておる。大戦を前にこの日の本の主が誰であるのか、下々の者にわからせるために行われたものかと」
官兵衛の言葉は、風のように静かだった。だがその一語一語が、忠三郎の胸に、鉄の塊のように重く沈んでゆく。
――「わからせるため」。
誰に、何を、「わからせる」というのだ。
犠牲となる百姓たちの命の重さは、政の名の下では、言葉ひとつにすり潰されてゆくのか。
忠三郎は目を伏せた。
その胸奥で、声なき悲鳴が響いていた。
かつて、一益は言った。
「民を愛する者は強く、民を愛さざる者は弱し」と。
その教えを心に刻みながら、己は何も為せぬまま、ただ命を受け、兵を動かし、地を奪い、女を差し出し、土地を測らせてきたのではないか――。
灯明の炎が揺れ、忠三郎の影を長く伸ばした。
今や九十二万石――徳川、前田に次ぐ地位を得た忠三郎。その背に、これまでとは比べものにならぬ重みがのしかかっている。
民の声を聞く者として、政を預かる者として、そして――キリシタンとして。
何が、最も正しいのか。
神の御心に叶う行いとは、果たしてこの血に染まった加増なのか。
忠三郎は、ふと視線を遠くにやった。障子の向こうには、まだ散らぬ桜の花が夜風に揺れている。
京の春は、あまりに華やかだった。
だが、その華やぎの裏には、寒さに震える民がいた。奥州の雪に埋もれた村々。泣く子を抱きしめながら、米一粒にも手を伸ばせぬ母たちの姿が、ありありと目に浮かぶ。
己は本当に、正しき道を歩んでいるのか。
己の選んだこの道の先に、何があるのか――。
忠三郎は、杯を静かに置いた。
火の気のない室内に、灯明の小さな炎が揺れている。蝋の香が、かすかに春の夜気に混ざった。
官兵衛は、言いにくそうに目を伏せ、なおも続けた。
「……六月には、再び奥州へ大軍が差し向けられます。太閤殿下の命により、徳川殿、前田殿も自ら兵を率い、仕置の名のもと、奥州に残る一揆を鎮圧する手筈となるかと」
「……再び、奥州へ…」
忠三郎の声は低く、灯明の火に吸われていくようだった。
再仕置――。すなわち、もう一度、武によって秩序を打ち立てるということ。かつて自らも加わった奥州仕置。あのとき命からがら逃れた者たち、雪のなかに埋もれた叫び、母の亡骸にすがりついて泣いていた子どもたち。その全てが、今ふたたび、剣の下に晒されようとしている。
「戦なき天下を掲げながら、戦をもって静謐を得る……皮肉なものにて」
官兵衛は静かに呟いたが、忠三郎はその言葉には答えなかった。
胸の奥が、静かに軋んでいた。
加増を受けたばかりだ。だがその米一粒一粒は、誰かが耕し、誰かが汗を流して得たものだ。それを積み上げることで自分が得たものは、ほんとうに「報い」なのか。
心は、かつてなきほどに、沈んでいた。
武をもって征する政。征しては改め、改めてはまた、征する。人の世とは、かくも果てなき戦いの繰り返しなのか。政の正義とは、果たして誰のためにあるのか。
忠三郎は、再び梅に目をやった。
その一輪が、風もないのに、ふいに揺れた気がした。遠い地の誰かの呻き声が、目には見えぬ風となってこの京の空に届いたかのように。
いっそ、己の手を汚さぬままであれば、もっと心は穏やかだったかもしれない。だが、自らの手で地を治め、自らの名のもとに人が死ぬことの意味を知った今となっては、もはやその頃の無垢には戻れない。
――主よ、我に問いを与え給うか。
忠三郎は、手を組んで心のなかで祈った。
殺すことが正義と呼ばれ、征服が秩序と化すこの世において、あなたはなお、われらに赦しを与えられるのですか、と。
官兵衛が、静かに席を立つ気配がした。
「夜も更け申した。これにて、失礼つかまつる」
「……官兵衛殿」
忠三郎が呼び止めると、官兵衛は振り向いた。そして、ふっと目元を和らげた。
「ただ……祈り、苦しみぬいた末に選んだ道であれば、それはきっと、みこころに叶う道でござりましょう」
その言葉を背に、官兵衛は静かに去っていった。
忠三郎は、障子に揺れる灯明の影をじっと見つめていた。
夜は、まだ明けない。
だが、その闇の深さを知った者だけが、やがて訪れる曙のかすかな光を見つけるのかもしれない。
梅がまたひとひら、舞い落ちた。遠い奥州の空に咲いた、名もなき祈りのようだった。
0
あなたにおすすめの小説
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
九州のイチモツ 立花宗茂
三井 寿
歴史・時代
豊臣秀吉が愛し、徳川家康が怖れた猛将“立花宗茂”。
義父“立花道雪”、父“高橋紹運”の凄まじい合戦と最期を目の当たりにし、男としての仁義を貫いた”立花宗茂“と“誾千代姫”との哀しい別れの物語です。
下剋上の戦国時代、九州では“大友・龍造寺・島津”三つ巴の戦いが続いている。
大友家を支えるのが、足が不自由にもかかわらず、輿に乗って戦い、37戦常勝無敗を誇った“九州一の勇将”立花道雪と高橋紹運である。立花道雪は1人娘の誾千代姫に家督を譲るが、勢力争いで凋落する大友宗麟を支える為に高橋紹運の跡継ぎ統虎(立花宗茂)を婿に迎えた。
女城主として育てられた誾千代姫と統虎は激しく反目しあうが、父立花道雪の死で2人は強く結ばれた。
だが、立花道雪の死を好機と捉えた島津家は、九州制覇を目指して出陣する。大友宗麟は豊臣秀吉に出陣を願ったが、島津軍は5万の大軍で筑前へ向かった。
その島津軍5万に挑んだのが、高橋紹運率いる岩屋城736名である。岩屋城に籠る高橋軍は14日間も島津軍を翻弄し、最期は全員が壮絶な討ち死にを遂げた。命を賭けた時間稼ぎにより、秀吉軍は筑前に到着し、立花宗茂と立花城を救った。
島津軍は撤退したが、立花宗茂は5万の島津軍を追撃し、筑前国領主としての意地を果たした。豊臣秀吉は立花宗茂の武勇を讃え、“九州之一物”と呼び、多くの大名の前で激賞した。その後、豊臣秀吉は九州征伐・天下統一へと突き進んでいく。
その後の朝鮮征伐、関ヶ原の合戦で“立花宗茂”は己の仁義と意地の為に戦うこととなる。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
対米戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。
そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。
3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。
小説家になろうで、先行配信中!
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる