あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋

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第三十三章

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 全日本選手権大会も終わり6ケ月が経過した。史花と結衣親子に幸せを噛み締める日がやって来た。史花と結衣親子の合同結婚式である。結婚式と披露宴の開催場所は帝国ホテル大阪である。結婚式は帝国ホテル内のチャペルで挙げる。
チャペル結婚式はチャペルウエディングとも呼ばれ、キリスト教の儀式を取り入れた結婚式のことである。キリスト教における挙式は礼拝の1つでもあり、人生の節目を祝う「通過儀礼」として重要視されている儀式だ。
キリスト教は、主に「カトリック」と「プロテスタント」の2種類があり、「カトリック」の場合は、カップルのうちいずれか1人がカトリックの信徒であることが結婚式を挙げる条件となっている。一方「プロテスタント」では信徒でない者も挙式を挙げることは問題ないとされており、ホテルや結婚式場に併設されているチャペルで行われる結婚式もプロテスタント方式である。史花も結衣もキリスト教徒ではない。勿論文哉も武田もだ。
 今回の史花と結衣の結婚式は牧師を立てて神に対して永遠の愛を誓い合う。いずれにしても、チャペル結婚式には礼拝という意味があり、二人は人生における1つの大切な通過儀礼であることを意識していた。二人にはより印象深いセレモニーになるのだ。
チャペルは収容人数が比較的多い特徴がある。そのため、チャペル結婚式では、より多くのゲストに結婚式を見守ってもらうことが可能なのだ。もちろん、チャペルの神聖で厳粛な雰囲気は、少人数での結婚式にも向いている。祭壇の近くで、大切なゲストから祝福をしてもらえるシーンは至福の体験であり、ゲストの人数に関係なく対応できる点は、チャペル結婚式の大きな魅力といえるだろう。今回の参列人数は親族を合わせて300名。結衣のフィギュアスケーターとすれば人数はそんなに多くはない。
 さて、チャペル結婚式は伝統を重んじる神秘的な儀式である。自分たちらしい演出を取り入れることも可能なのだ。定番のバージンロードやベールダウン、フラワーシャワーの他にも、オリジナリティ溢れる演出の方法を取り入れる。今回は史花がすべてを取り仕切っている。
史花のバージンロードは史花の父親•小林一蔵が史花の手を取り歩く。続いて文哉の父親・高木治が結衣の手を取り歩く。
史花も結衣も文哉も武田もバージンロードを歩くことを楽しみにしている。
 バージンロードはチャペルの入口から祭壇までをつなぐ道であり、英語では「ウエディング・アイル」と呼ばれる。
結婚するふたりが一歩一歩着実に進みながら、祭壇で愛を誓い、退場する際はふたりの明るい未来へつながる扉を開けるという演出である。
一般的には赤や白、緑などの布が敷かれているが今回、史花と結衣たちのバージンロードは花びらで埋め尽くされていて華やかに彩られている。まさに二人の門出に相応しい。
 ベールダウンも、チャペル結婚式ならではといえる定番の演出である。挙式を行う前に、新婦にとって大切な方が新婦のベールを下ろす。その大切な人は史花の母小林桃子である。結衣の祖母でもある。これは、新婦の身支度の仕上げであり、大切な新婦の幸せを願う行為でもあるのだ。また、ヨーロッパのある地方では新婦が結婚式の会場へ向かう途中に、悪魔によってさらわれてしまうという言い伝えがあり、純白のベールは、悪魔から身を守るための大切なアイテムであり、新婦を災いから守るという意味があるのだ。

 次にチャペル挙式を終え、教会から出た際に花道を歩く二人に対して、ゲストが花びらを撒いて祝福する演出がフラワーシャワーである。
ゲストと一体になって楽しめる演出であり、華やかなシーンに憧れを抱くカップルも多いのだ。近年は花びらだけでなく、羽毛を使って天使の羽をイメージさせる「フェザーシャワー」やシャボン玉を活用した「バブルシャワー」、天井から風船を降らせる「バルーンシャワー」なども人気なのだ。今回は氷上の妖精結衣親子に相応しい演出で フラワーシャワーが行われる。ロマンチックな演出である。
 リングリレーもフラワーシャワーと同様に、ゲスト全員で参加出来る演出の1つである。新郎新婦それぞれにつながる長いリボンにリングを通し、リレー形式で運ぶ。年齢を問わず参加できる演出で、会場全体が幸せなムードに包まれる点が大きな魅力である。また、リボンに限らずバスケットにリングを入れて、ゲスト全員で回しながら運ぶケースもある。ゲストの人数が多い場合は、リングにバルーンをつけて浮かせることで、リングの所在が伝わり盛り上がるのだ。
 また、フラワーシャワーの代わりに「リボンワンズ」を演出として行うケースも増えている。リボンワンズとは、スティックの先にリボンをつけたアイテムをゲスト全員で振る演出である。フラワーシャワーは演出後の片付けが必要だが、リボンワンズは散らかる心配がない。そのため、会場を選ばずにできる演出として人気がある。また、リボンにメッセージを書けば、ゲストに対する“おもてなし゛にもなる。
いよいよ、史花と武田、結衣と文哉の結婚式が開催された。
「それでは、新郎新婦のご入場です。温かい拍手で祝福して上げて下さい。」司会者の挨拶と同時にチャペルの扉が開いた。史花は父親の小林一蔵に手を引かれて、先にバージンロードをそろりそろりと歩く。続いて結衣が文哉の父親高木治に手を引かれ、バージンロードをそろりそろりと歩く。場内は拍手の嵐である。
゛パチパチパチパチパチパチパチパチパチ゛史花は壇上で待つ武田の隣に、結衣は文哉の待つ隣に並んだ。それぞれのカップルは銘々の牧師の前に立った。牧師は二人、史花と武田の牧師は正面の左側、結衣と文哉は右側に立っている。
話しは前後するが。

(挙式前)
チャペル前で史花と結衣は入場直前にゲストの前でベールダウンを行った。

(新郎の入場)
先に新郎の武田と文哉が入場し、聖壇前で新婦の入場を待っていた。
(新婦の入場)
父親•小林一蔵に史花はにエスコートされながらバージンロードを歩き、新郎のもとへ進んだ。続いて結衣が文哉の父親•高木治にエスコートされながらバージンロードを歩き新郎のもとへ進んだり
牧師の案内で賛美歌斉唱が行われた。
新郎新婦、列席者とともに賛美歌を歌った。
それぞれの牧師による聖書朗読が始まった。
それぞれの牧師が結婚にまつわるキリスト教の教えを読み上げた。
(誓約)
それぞれの牧師がふたりに愛の誓いを確かめた。ふたりがそれに答えることで、誓いが成立した(史花と武田、結衣と文哉)。
(指輪の交換)
結婚の誓いの証として、お互いに指輪を交換した(史花と武田、結衣と文哉)。
史花と結衣は結婚指輪を運ぶリングガールを頼んでいた。そして務めてもらった。

(ベールアップ・ウエディングキス)
新郎が新婦の顔を覆っているベールを上げ、誓いのキスを交わした。ベールアップをすることで、ふたりは遮るもの(ベール)がなくなり、1つになるという意味を含んでいる(史花と武田、結衣と文哉)。
(結婚宣言)
新郎新婦が手を重ね、その上に牧師が手を置いて祈りを捧げた(史花と武田、結衣と文哉)。
(結婚証明書へのサイン)
新郎新婦が結婚証明書へサインした。続いて、牧師がサインをした(史花と武田、結衣と文哉)。
(結婚成立を報告)
牧師がふたりの結婚成立を参列者に報告した(史花と武田、結衣と文哉)。
(新郎新婦の退場)
史花と武田、結衣と文哉は参列者に祝福されながら退場したのである。
(参列者退場)
参列者は次の会場となる披露宴会場へ移動を始めた。
(祝福セレモニー)
親族や親しい友人たちは、フラワーシャワーで、ふたりへ祝福を届けた。式場外の階段などで行った。外は開放感もあり、写真映えする。親族や友人達はそれぞれのカップルの写真を撮影した。ここに史花と武田、結衣と文哉の結婚式が終了した。なんとも感慨深い癒しのひと時であった。式は30分程度で終わったのである。

しばらくして、鳳凰の間で盛大に披露宴が開催されたのである。3時間に及ぶ披露宴は、新郎新婦のキャンドルサービス、そして史花の両親への花束贈呈により、すべての行事が終了したのであった。史花も結衣も結婚式と披露宴を終えて自分達の部屋である帝国ホテル大阪の33階のスイートルームへ向かったのであった。



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