5 / 7
第5話 確かめた想い
しおりを挟む
隼人の腕に強く抱きしめられ、律は胸の奥がじんわりと温かく満ちていくのを感じていた。
雨音だけが響く静かな夜。
世界に二人だけ取り残されたような感覚が、かえって心地よかった。
「……葛城さん」
耳元に落ちた低い声に、律は小さく身を震わせた。
「……なに」
かすれた声で答えると、隼人は一拍置いて、正面から視線を合わせてくる。
「本当に……このまま離したくないんですが」
「!?」
思わず、律は桐生の腕の中から見上げると、真剣な眼差しとぶつかる。
恥ずかしいのに、もっとその眼差しを見ていたくて、桐生に手を伸ばす。
桐生はその手を優しく掴み、自分の頬に寄せた。
「……俺も…離れたくないよ」
隼人は驚いたように目を見開き、そしてゆっくりと顔を近づけてきた。
大きな掌が律の頬を包む。
温かくて、安心できて――心臓が壊れそうなほど高鳴る。
「……律さん」
初めて呼ばれたその名前に、胸が強く震えた。
隼人が律の唇にそっと指先で触れ、そのまま唇が重なった。
静かで、確かめるようなキス。
触れ合っただけで、胸の奥の不安も寂しさもすべて溶けていくようだった。
「……っ」
息を整える間もなく、二度目の口づけが落ちる。
今度は深く、強く。
お互いがどれほどこの瞬間を欲していたのか、すべてが伝わるようだった。
唇が離れたあと、律は頬を赤くしながら呟いた。
「……やっと、言えた」
隼人は短く頷き、律をさらに強く抱き寄せた。
「……はい、ずっとそばにいます」
その言葉に、律は目を閉じ、隼人の胸に安堵の微笑みを埋めた。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、部屋の中を淡く染めていた。
ふと、腕に重みを感じて、目を覚ますと、隣に律がいた。
昨夜はそのまま二人で律の部屋に帰った。
お互いに残業続きで、疲れもあり、すぐに寝てしまったようだ。
自分の腕の中で、律が穏やかな寝息を立てている。
――昨夜、伝えられてよかった。
まだ信じられない気持ちで、隼人は静かに息を吐いた。
初めは、ただ同じ会社で働くだけの存在だった。
同じプロジェクトチームに配属されて、気づけば、いつも目で追っていた。
――それが恋だと気が付いたのは最近だけど。
眠る律の横顔は、どこか子どものように無防備で、そんな顔を自分だけが見ていると思うと、胸が熱くなる。
心の奥からじんわりと込み上げる感情に、隼人は律の髪にそっと触れた。
柔らかな感触が指先に広がる。
律がわずかに身じろぎをし、ぼんやりと瞼を開いた。
「……ん、桐生?」
寝ぼけた声。
その響きがやけに甘くて、隼人の胸に刺さる。
「おはようございます」
低い声でそう告げると、律は照れたように小さく笑った。
「……おはよ」
そのままじっと眺めてくるので、あまりの可愛さに口づけを落とした。
「!?」
朝から突然キスをされ、律の顔が真っ赤になる。
「律さん、すいません。つい……可愛くて」
恥ずかしそうに伏せられた目が少し潤んでいるのを見て、隼人は思わず律を抱き締める力を強めた。
「……う、わ」
「……もう少しだけ、キスさせてください」
律の耳元で囁くと、くすぐったそうに身をよじる。
そのまま耳に、頬に、顎に、キスを這わしていく。
「……っん、き、……りゅ」
爽やかな朝に似つかわしくない深さのキスを仕掛けると、律は力が抜けたように身を任せてきた。
「律さん、好きです。」
はっきりと告げると、律は照れたように桐生の胸に顔を擦り付ける。
その仕草があまりに愛おしくて、隼人は思わずその背を撫でた。
朝の光が差し込む中、二人の新しい時間が静かに始まろうとしていた。
雨音だけが響く静かな夜。
世界に二人だけ取り残されたような感覚が、かえって心地よかった。
「……葛城さん」
耳元に落ちた低い声に、律は小さく身を震わせた。
「……なに」
かすれた声で答えると、隼人は一拍置いて、正面から視線を合わせてくる。
「本当に……このまま離したくないんですが」
「!?」
思わず、律は桐生の腕の中から見上げると、真剣な眼差しとぶつかる。
恥ずかしいのに、もっとその眼差しを見ていたくて、桐生に手を伸ばす。
桐生はその手を優しく掴み、自分の頬に寄せた。
「……俺も…離れたくないよ」
隼人は驚いたように目を見開き、そしてゆっくりと顔を近づけてきた。
大きな掌が律の頬を包む。
温かくて、安心できて――心臓が壊れそうなほど高鳴る。
「……律さん」
初めて呼ばれたその名前に、胸が強く震えた。
隼人が律の唇にそっと指先で触れ、そのまま唇が重なった。
静かで、確かめるようなキス。
触れ合っただけで、胸の奥の不安も寂しさもすべて溶けていくようだった。
「……っ」
息を整える間もなく、二度目の口づけが落ちる。
今度は深く、強く。
お互いがどれほどこの瞬間を欲していたのか、すべてが伝わるようだった。
唇が離れたあと、律は頬を赤くしながら呟いた。
「……やっと、言えた」
隼人は短く頷き、律をさらに強く抱き寄せた。
「……はい、ずっとそばにいます」
その言葉に、律は目を閉じ、隼人の胸に安堵の微笑みを埋めた。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、部屋の中を淡く染めていた。
ふと、腕に重みを感じて、目を覚ますと、隣に律がいた。
昨夜はそのまま二人で律の部屋に帰った。
お互いに残業続きで、疲れもあり、すぐに寝てしまったようだ。
自分の腕の中で、律が穏やかな寝息を立てている。
――昨夜、伝えられてよかった。
まだ信じられない気持ちで、隼人は静かに息を吐いた。
初めは、ただ同じ会社で働くだけの存在だった。
同じプロジェクトチームに配属されて、気づけば、いつも目で追っていた。
――それが恋だと気が付いたのは最近だけど。
眠る律の横顔は、どこか子どものように無防備で、そんな顔を自分だけが見ていると思うと、胸が熱くなる。
心の奥からじんわりと込み上げる感情に、隼人は律の髪にそっと触れた。
柔らかな感触が指先に広がる。
律がわずかに身じろぎをし、ぼんやりと瞼を開いた。
「……ん、桐生?」
寝ぼけた声。
その響きがやけに甘くて、隼人の胸に刺さる。
「おはようございます」
低い声でそう告げると、律は照れたように小さく笑った。
「……おはよ」
そのままじっと眺めてくるので、あまりの可愛さに口づけを落とした。
「!?」
朝から突然キスをされ、律の顔が真っ赤になる。
「律さん、すいません。つい……可愛くて」
恥ずかしそうに伏せられた目が少し潤んでいるのを見て、隼人は思わず律を抱き締める力を強めた。
「……う、わ」
「……もう少しだけ、キスさせてください」
律の耳元で囁くと、くすぐったそうに身をよじる。
そのまま耳に、頬に、顎に、キスを這わしていく。
「……っん、き、……りゅ」
爽やかな朝に似つかわしくない深さのキスを仕掛けると、律は力が抜けたように身を任せてきた。
「律さん、好きです。」
はっきりと告げると、律は照れたように桐生の胸に顔を擦り付ける。
その仕草があまりに愛おしくて、隼人は思わずその背を撫でた。
朝の光が差し込む中、二人の新しい時間が静かに始まろうとしていた。
11
あなたにおすすめの小説
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
声なき王子は素性不明の猟師に恋をする
石月煤子
BL
第一王子である腹違いの兄から命を狙われた、妾の子である庶子のロスティア。
毒薬によって声を失った彼は城から逃げ延び、雪原に倒れていたところを、猟師と狼によって助けられた。
「王冠はあんたに相応しい。王子」
貴方のそばで生きられたら。
それ以上の幸福なんて、きっと、ない。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
素直じゃない人
うりぼう
BL
平社員×会長の孫
社会人同士
年下攻め
ある日突然異動を命じられた昭仁。
異動先は社内でも特に厳しいと言われている会長の孫である千草の補佐。
厳しいだけならまだしも、千草には『男が好き』という噂があり、次の犠牲者の昭仁も好奇の目で見られるようになる。
しかし一緒に働いてみると噂とは違う千草に昭仁は戸惑うばかり。
そんなある日、うっかりあられもない姿を千草に見られてしまった事から二人の関係が始まり……
というMLものです。
えろは少なめ。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸Twitterもぜひ遊びに来てください🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
愛と猛毒(仮)
万里
BL
オフィスビルの非常階段。冷え切った踊り場で煙草をくゆらせる水原七瀬(みずはらななせ)は、部下たちのやり取りを静かに見守っていた。 そこでは村上和弥(むらかみかずや)が、長年想い続けてきた和泉に別れを告げられていた。和泉は「ありがとう」と優しく微笑みながらも、決意をもって彼を突き放す。和弥は矜持を守ろうと、営業スマイルを貼り付けて必死に言葉を紡ぐが、その姿は痛々しいほどに惨めだった。
和泉が去った後、七瀬は姿を現し、冷徹な言葉で和弥を追い詰める。 「お前はただの予備だった」「純愛なんて綺麗な言葉で誤魔化してるだけだ」――七瀬の毒舌は、和弥の心を抉り、憎悪を引き出す。和弥は「嫌いだ」と叫び、七瀬を突き放して階段を駆け下りていく。
「……本当、バカだよな。お前も、俺も」
七瀬は独り言を漏らすと、和弥が触れた手首を愛おしそうに、そして自嘲気味に強く握りしめた。
その指先に残る熱は、嫌悪という仮面の下で燃え盛る執着の証だった。 毒を吐き続けることでしか伝えられない――「好きだ」という言葉を、七瀬は永遠に飲み込んだまま、胸の奥で腐らせていた。
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる