壁乳

リリーブルー

文字の大きさ
21 / 32

10回目。壁の奥、奥まで。下半身コース解放。

しおりを挟む
 受付で渡された案内に、目が止まった。

 《ご指名回数が規定を超えましたため、追加オプション:下半身部への接触が解放されます》

 双方の合意による信頼度クリアらしい。

 (……申請、した覚えねぇんだけどな)

 だけど――たしかに、心のどこかで「ここまで来たら……」と思っていた。
 むしろ、どこかでこの日を――望んでいた。

 ここまで触れてきた。
 肌を、乳首を、お腹を、手の温もりを、そして――
 欲情に震える涼真の声を。

 触れたい。
 あいつの、もっと奥を。

 自分の中にある本音を、心の中で言葉にしてしまうと、それだけで頬が火照る。

 拡張サービス不要の場合は×もつけられたが、俺はそのまま受け入れてしまっていた。



 あのプレイルームに入る。個室。
 カバーが開く音がした。今日は、乳首やお腹だけじゃない。
 もっと、下が見えた。両脚の付け根――太ももと、下腹部。

 うっすらと起伏を帯び、布越しにぴんと盛り上がっている中心。

 息を飲む。 

 指先が自然にそこへ向かう。
 手を触れさせただけで、びくん、と小さく跳ねる。

 「……っ……ふ……んっ」

 くぐもった吐息が、通気口から漏れる。



 鼠径部のラインに沿って、ゆっくりと指を滑らせる。
 骨のきわをなぞり、布に覆われた弾力ある部分をやさしく押す。

 温かく、柔らかいけど、明らかに硬さを含んでいて――勃ちかけた男の熱がそこにあった。
 布の上から、やんわりと指でなぞる。
 先端を撫でるように、円を描いて動かすと、太ももが小さく震えるのが伝わってくる。
 
 「っ……ぅ、んっ……せんぱ、い……」

 押さえた声が、震えている。

 

 俺はもう、限界だった。

 自分の股間も、もう限界まで熱を持って膨張していた。
 だけど、今は自分のじゃない。

 触れたいのは、お前だ。

 俺はもう、理性の枠の外にいた。

 この人が涼真だって、知ってる。
 でも、壁の向こうにいるからこそ、ここまで触れられる。

 布越しに、ゆっくりと擦る。
 中でびくびくと脈打っているのが伝わる。
 軽く握る。布越しに、ゆっくりと上下に擦る。
 上下に動かすたび、向こうの呼吸が荒くなる。
 布越しに、ぐっと中心を握る

 「ふっ、ん、んっ……だ、め……そんな、の、ぁ……っ」

 感じきって、声が震える。
 乳首はもう濡れていて、赤く尖っている。
 俺は舌を伸ばし、乳首に吸いついた。

 そのまま、手の中で熱を包み、擦りながら――
 口では乳首を吸い、舌先で転がす。

 「せ、んぱ……いっ……んんっ、ふぁ……っ、ぁ……あぁっ……!」

 舌先で転がし、唾液でぬるつかせて、
 手は下で熱を包んで、少し強めに擦り上げる。

 壁越しなのに、腰が、脚が、明らかに小さく震えるのが見える。
 刺激を与えるたびに腰が跳ねるのがわかった。
 壁越しなのに、向こうの体の動きが伝わってくる。
 俺の動きに合わせて、涼真の身体が反応している。



 ふと、向こうの手が穴から伸びてきた。
 俺の手にそっと重ねられる。
 指が絡み、弱々しくも、必死に握り返してくる。
 (……可愛い)
 その一言が、頭を支配した。
 (可愛いよ、涼真……)

 

 どれだけ続けただろうか。

 乳首は赤く尖り、布の中の熱も硬く反応しきって、震えている。

 俺は、そっと先端に円を描くように指先を動かす。
 
 「っ……あ、ん、っ……せんぱ、い……イ、ちゃ……っ……!」

 最後の瞬間――
 びくっ、と突起が跳ねて、声が高く震えた。

 俺は息を飲む。

 それと同時に、俺の掌に熱がにじむ。

 ――明確な、達した証。



 手をそっと離し、唇もゆっくり乳首から外す。
 涼真の肌に残る俺の唾液と、俺の手と唇に残る涼真のぬくもり。

 壁の向こう側で、ただ涼真は息を乱していた。
 それだけで、お互い何も言わない。

 向こうの手が、名残惜しそうに俺の指をなぞり、穴の奥へと戻っていく。
 壁のカバーが閉まり、すべてが静かに視界から消えていく。



 プレイが終わったあと、
 しばらく動けなかった。

 顔が熱くて、胸が詰まって――

 何かが、完全に壊れてしまった気がした。




   ◆

 帰り道、俺は指先を見つめた。

 自分の中で、何かが変わってしまった気がした。

 (……これは、もう……ただの遊びじゃない)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...