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11回目。もう、壁では止まらない。交わる熱、通じ合う指先。
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11回目。
俺は涼真の乳首を吸いながら、涼真の熱を布越しに擦る。
そのときだった。
穴の下の小さなカバーが、カチャ、と音を立てて開いた。
そこから、伸びてきたのは――涼真の手。
その手が、そっと俺の太ももに触れてきた。
(……え?)
指先が遠慮がちに、俺のパンツの上から膨らみに沿ってなぞる。
(……嘘だろ)
「……触れて、いいですか?」
壁越しに、涼真の声が小さく漏れる。
俺は答えなかった。
けど、身体はすでに前のめりになっていた。
布越しに、そっと指先で包まれる。
そのまま、手のひらがゆっくりと上下に動く。
涼真の乳首を吸っていた俺の口が緩み、喉から声がもれた。
「っ……ふ、っ、ん……ぁ……」
涼真が触れている。俺を。
これまでずっと、一方的に俺から触れていたのに――今、壁越しに、触れ合っている。
触れ合って、愛し合ってる。
パンツ越しの摩擦が、どんどん強くなる。
涼真の手がしっかりと握ってきて、先端を親指でこする。
乳首を舐めながら、涼真の腹を撫でながら、そして俺も――
「っ、ん、ぁ、やば……っ、も……っ、イク、っ」
次の瞬間、
お互いの声がほぼ重なった。
「せんぱ……い……イ……っちゃ……っ……!」
「……っ、く……っ……!」
俺は――涼真の手の中で、達していた。
じゅん……と、ぬくもりが広がって、
お互いの指先がまだ離れないまま、呼吸だけが静かに響いた。
もう、何も言わなくても伝わっていた。
◆待合室にて
ドアを開けた瞬間、涼真と目が合った。
俺は、その目を、そらすことができなかった。
もう、隠しきれない。今日は、むしろ、胸を張るようにして言った。
「……今日は、俺も、抜いたよ。お前の手で」
その一言に、涼真は目をぱちぱちと瞬かせたあと、信じられない、というように頬を赤らめて、口元を手で隠した。
「……え……えへへっ、ほんと……? 嬉しい……!」
そして――
「僕も……めちゃくちゃおっきい声で喘いじゃいました……っ」
そう言って両手で頬を覆って、照れながらうつむいた。
でも、瞳は潤んで、きらきらしてた。
「……恥ずかしいっ。でも……すごく、幸せ」
俺の胸が、キュッと痛くなる。
俺は、手だけじゃなく――ちゃんと、この腕で、この身体で、お前を抱きたい、と思った。
俺は、もう、お前を、こんなに求めてしまっている。
壁越しじゃなく、涼真、お前を、ちゃんと抱きしめたい。
俺は涼真の乳首を吸いながら、涼真の熱を布越しに擦る。
そのときだった。
穴の下の小さなカバーが、カチャ、と音を立てて開いた。
そこから、伸びてきたのは――涼真の手。
その手が、そっと俺の太ももに触れてきた。
(……え?)
指先が遠慮がちに、俺のパンツの上から膨らみに沿ってなぞる。
(……嘘だろ)
「……触れて、いいですか?」
壁越しに、涼真の声が小さく漏れる。
俺は答えなかった。
けど、身体はすでに前のめりになっていた。
布越しに、そっと指先で包まれる。
そのまま、手のひらがゆっくりと上下に動く。
涼真の乳首を吸っていた俺の口が緩み、喉から声がもれた。
「っ……ふ、っ、ん……ぁ……」
涼真が触れている。俺を。
これまでずっと、一方的に俺から触れていたのに――今、壁越しに、触れ合っている。
触れ合って、愛し合ってる。
パンツ越しの摩擦が、どんどん強くなる。
涼真の手がしっかりと握ってきて、先端を親指でこする。
乳首を舐めながら、涼真の腹を撫でながら、そして俺も――
「っ、ん、ぁ、やば……っ、も……っ、イク、っ」
次の瞬間、
お互いの声がほぼ重なった。
「せんぱ……い……イ……っちゃ……っ……!」
「……っ、く……っ……!」
俺は――涼真の手の中で、達していた。
じゅん……と、ぬくもりが広がって、
お互いの指先がまだ離れないまま、呼吸だけが静かに響いた。
もう、何も言わなくても伝わっていた。
◆待合室にて
ドアを開けた瞬間、涼真と目が合った。
俺は、その目を、そらすことができなかった。
もう、隠しきれない。今日は、むしろ、胸を張るようにして言った。
「……今日は、俺も、抜いたよ。お前の手で」
その一言に、涼真は目をぱちぱちと瞬かせたあと、信じられない、というように頬を赤らめて、口元を手で隠した。
「……え……えへへっ、ほんと……? 嬉しい……!」
そして――
「僕も……めちゃくちゃおっきい声で喘いじゃいました……っ」
そう言って両手で頬を覆って、照れながらうつむいた。
でも、瞳は潤んで、きらきらしてた。
「……恥ずかしいっ。でも……すごく、幸せ」
俺の胸が、キュッと痛くなる。
俺は、手だけじゃなく――ちゃんと、この腕で、この身体で、お前を抱きたい、と思った。
俺は、もう、お前を、こんなに求めてしまっている。
壁越しじゃなく、涼真、お前を、ちゃんと抱きしめたい。
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