壁乳

リリーブルー

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朝食後のもう一戦と、昼のデート

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 朝食会場から部屋へ戻ったのは、まだ8時半。
 日曜の朝にしては早起きだけど、
 “昨夜”のことを思えば、心も身体も、まだ余韻のなかだった。



 「チェックアウト、何時だっけ?」

 俺がベッドに腰を下ろしながら聞くと、
 涼真が得意げに言った。

 「“週末の朝はゆっくり11時まで滞在プラン”を予約してあります」

 「……なんだそれ」

 「だって、すぐ出されちゃったら、もったいないでしょ? 朝食付きなのにバタバタ帰るのって、恋人っぽくないじゃないですか」

 「……まさか」

 「はい?」

 「お前……もう一戦、狙ってたのか?」



 涼真が、にやっと笑って、
 ベッドの上に俺を押し倒す。

 「そんなこと……ないですよ?♡」

 「おいコラ、こっちはまだ飯食ったばっかなんだぞ」

 「運動しないと、逆に眠くなりますよ?」

 「……知るか!」



 キスを落とされる。
 唇と唇が、熱を繋ぐ。

 朝食のコーヒーの味が、ほんのりと残っていて――
 それすらも、なんだか愛しく思えた。



 涼真の手が、シャツの裾から肌の中にすべり込んでくる。

 「……ね、もう“先輩の手”に慣れてきたかも」

 「……だったら、俺も“お前の身体”にもっと慣れたいな」



 狭いセミダブルの上で、
 シーツがくしゃくしゃに乱れる。

 照明はつけてない。
 朝の自然光だけで、彼の白い肌が浮かび上がる。

 「……朝も、いいですね。
 なんか、ちゃんと恋人っぽい」

 「昨日は恋人じゃなかったのか?」

 「“恋人未満”でした。今日から、ちゃんと……あっ……」

 そこからは、涼真の喘ぎ声が、朝の光に満たされた爽やかなベッドルームに響く。
 全て見えちゃってるのが、隠微。



 2度目の絶頂を迎えたあと、
 涼真が俺の胸に頬を押しあてて、小さく囁いた。

 「……ね、次の“出張”、いつですか?」

 「出張?」

 「またこうやって、泊まりたいから」

 涼真が小悪魔的な微笑を浮かべる。

 「会社の経費をあてにしてるのか」

 「先輩、もっと出世して稼いで」

 「そしたら時間がなくなるぞ」

 「それは嫌」



 11時ギリギリにチェックアウトを済ませ、
 二人でホテルを出た。

 涼真は私服。俺もラフな格好に着替えていたから、
 街中に出ても、どこにでもいる若いカップルに見える――
 たぶん、男同士でなければ。



 「ランチ、どこ行きます?」

 「……まだ、決めてない」

 「パンケーキとか食べたいです」

 「……女か」

 「じゃあ先輩、ハンバーグ定食です?」

 「お前、見た目より食うよな」

 「昨夜も、いっぱい食べさせられましたし?」

 「っ……!」

 「……ふふっ。ね、手……つないでいい?」



 まだ手をつなぐだけで、胸が高鳴る。
 でも、それが“恋をしてる”ってことだって――

 やっと、ちゃんと、わかった気がした。


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