潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第一章 学校と洋講堂にて

期待

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「あれって、最初は、出るの嫌だって思ってたけど、負けると悔しいんだよね」
なんて僕が言ったら、潤は、
「じゃあ、今年リベンジしろよ、俺は、彼氏役で出てやるから。サービスでキスくらい披露して優勝を狙おうぜ」
などとそそのかしてきた。潤が彼氏役で、僕が女装……。想像して、嬉しい、と思ってしまった僕は、道を踏み外しかかっているのだろうか?
「そんなことしたら、それこそ、僕、上級生に狙われちゃうよ。潤の恋人だなんて生意気だって妬まれて吊るし上げられるって」
今日だって、三年の藤木さんに、潤のことで目をつけられて呼ばれたばかりだっていうのに。
「それはないな。瑤の可愛いさにみんなが気付くだけのことだよ」
潤が、僕の手をぎゅっと握った。僕は、嬉しくてどきっとした。あんな可愛い美少女になれる潤に可愛いと言われるなんて。僕は倒錯的な快感に浸った。
 僕は、潤から、もっと甘い汁を引き出すために、すねて見せた。
「嫌だよ。二年にもなって、なんでそんな罰ゲームみたいなことやらされなくちゃいけないの?」
「だって、悔しかったんだろ?」
「それはそうだけど、一年の子のが可愛いに決まってるよ」
「そうとも限らないよ」
「そんなこと言うなら、潤が出てよ」
「俺は、もう似合わないって」
潤は、過剰に自分が男っぽいと思い込んでいるらしい。それか、思いたいのかもしれなかったけれど。
「そんなことないよ、たぶん少し男っぽくなったのが逆に妖しいって」
今でも潤は、全然いけるけど、潤の意思を尊重してそう言った。
「そんなの誰だってそうだろ。今だに幼い瑤のが希少価値が高いんだから瑤が出ろよ」
「幼くないよ。背も伸びたし、声も変わっているし」
この一年で、僕はずいぶん変わったのだ。
「その他の変化は今夜チェックだな」
潤がエッチな顔になって言った。
「その他だって……ちゃんと成長済みだよ」
そういう話は、さんざん教室で、みんなにからかわれたので、何のことを言っているのか、わかった。瑶は、子どもだとか、剥けてないとか。生えてないとか。あげくの果てに、見せてみろと言われて服をひんむかれそうになったけど、かろうじて、それは阻止した。
「期待していいのかな?」
「どんな期待?」
「俺をちゃんと気持ち良くしてくれるのかなってこと」
僕は、それには何をすればいいのか、わからなかったので黙っていた。何か良からぬことを言っているらしきことは、わかったけれど。
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