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第5部 新魔王と結婚なんて、お断り!
第13章 アリーシャ、体育館の怪に戦慄する
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白兵衛のライトで照らしながら、アッシュの消えた辺りへ近づくと……
《床に大きな穴が開いているワン!猫モドキ君は、きっとココに落下したのだワン!》
さっき通って来た校舎と同じく、体育館の床も、よく見ればボロボロだった。
「アッシュたーん!大丈夫ー!?」
穴を覗き込み、声をかける。
「ああ。とっさに猫に戻って着地したのでな。傷一つ無いわ」
穴の中から声が返って来る。
穴は相当な深さがあるようで、ライトで照らしても、底がよく見えない。
「梯子か何かでも用意しなきゃ、上がれないよね。体育館の中に何かあるかな……」
穴から上がる道具を探すため、その場を離れようとした、その時だった。
「ぅおっ!? な、何だっ!貴様らっ!?」
穴の底から悲鳴じみた声が聞こえて来る。
「え!? アッシュたん!?」
「寄るでない!触るでない!……ああ、くそッ。言葉が通じぬのか!」
「アッシュたん、何!? 何が起きてるの!?」
《アリーシャちゃん、この体育館、壁の一部も剥がれて、木材が散らばってるワン!長めの木の板を穴に差し込めば、猫モドキ君の爪で登って来られるはずだワン!》
どうしたら良いか分からない私の代わりに、白兵衛がアイディアを出してくれる。
「それだ!さすが白兵衛!エラい!高性能!」
適当な長さの木材を拾い、すぐに穴に差し入れる。
「アッシュたん!この板を伝って登って来て!」
「かたじけない!」
カカカカカッと爪の音が響き、アッシュが穴から飛び出して来た。が……
「へっ!? アッシュたん、いつの間に白猫に……!?」
灰色のアメショー柄だったはずのアッシュの躯が、パッと見、真っ白になっていた。
「違う!虫だ!…… "白い悪魔" とは、此奴らのことだったのだ!」
ライトで照らして目を凝らし……私は戦慄した。
ソレは、アッシュの躯の上で無数に蠢く、小さな白いアリだったのだ。
「ふぎャッ!? 白アリ!? ここら辺の建物がボロボロなのって、コレの仕業!?」
集合体恐怖症というわけではないが、ここまで数が多くてウゴウゴしていると、見ていて気持ち悪くなってくる。
《コレは白アリとは似て非なるモンスター "エビル・ターマイト" だワン!》
「板を伝って、穴の底からもどんどん出て来よるわ」
アッシュが木の板を前肢で払い、穴の底へ落とす。
だが、既に相当な数のエビル・ターマイトが穴の外へ出て来てしまった。
彼らはすぐに床板に喰らいつき、穴をどんどん広げていく。
「ひェッ……!ど、どうしたら……。体育館、穴だらけで探索できなくなっちゃうよ!」
《ボクに任せるワン!》
白兵衛が私の腕から飛び下り、アッシュの元に駆け寄る。
そして、その口をガッと大きく開いた。
キュイイーン……と独特な音が響き、白アリ……もといエビル・ターマイトが、次々と口の中に吸い込まれていく。
「えっ?白兵衛って、掃除機にもなれるの?」
呆気に取られていると、急に白兵衛からズゴゴッと嫌な音がした。
掃除機で大きな紙や布や "吸っちゃいけない物" を吸ってしまった時に、よくある音だ。
《……ペッ、ペッ……。ヘンな紙を吸い込んでしまったワン》
そう言いながら白兵衛が吐き出したのは……
「パスの破片だ!6つ目ゲットだよ!」
「……ところで、犬コロ。お主、仮にもモンスターを、生きたまま大量に吸い込んで、平気なのか?」
《すぐに排出すれば大丈夫ワン!穴の中に排出すれば、しばらくは出て来られないはずだワン》
言って、白兵衛は穴にお尻を向けた。
私はエチケットとして、排出シーンからは目を逸らす。
……まぁ、どの道、暗くてよく見えないんだけど。
「これでパスの破片も残り1枚だな」
「……と、言うことは……例の "動く骨格標本" だよね」
《そうだワン!七不思議の定番、理科室の怪談だワン!》
「あのスケルトンさんの話じゃ、誰彼構わず襲って来るってことだったよね……」
「ああ。おそらく、バトルになるだろうな」
白兵衛はロボットペットとしては高性能だけど、"兵器" としては無力化されているから、戦力にはならないだろう。
……となると、私とアッシュの二人で戦うことになるが……
「……うん。まぁ、戦ってみないことには、どうなるか分からない、か」
不安を抱えながらも、とりあえず理科室の近辺を捜索してみる。
だが、近くの廊下にも、理科室の中にも、骨格標本はいなかった。
「遠くの方まで出歩いちゃってるのかな……?」
キョロキョロ辺りを見回していると、窓の外……校庭に、白い人影があるのに気づいた。
月の光に照らされて、全身が白く光って見えるソレは……
「スケルトンさん?骨格標本?どっち?」
《目印のリボンが無いワン!骨格標本の方だワン!》
「開けた場所に出てくれるとは、好都合。戦いやすくなったではないか」
アッシュはそう言い、好戦的に笑うが……
序盤の魔王の力って、この終盤で、どのくらい通用するんだろう……?
《床に大きな穴が開いているワン!猫モドキ君は、きっとココに落下したのだワン!》
さっき通って来た校舎と同じく、体育館の床も、よく見ればボロボロだった。
「アッシュたーん!大丈夫ー!?」
穴を覗き込み、声をかける。
「ああ。とっさに猫に戻って着地したのでな。傷一つ無いわ」
穴の中から声が返って来る。
穴は相当な深さがあるようで、ライトで照らしても、底がよく見えない。
「梯子か何かでも用意しなきゃ、上がれないよね。体育館の中に何かあるかな……」
穴から上がる道具を探すため、その場を離れようとした、その時だった。
「ぅおっ!? な、何だっ!貴様らっ!?」
穴の底から悲鳴じみた声が聞こえて来る。
「え!? アッシュたん!?」
「寄るでない!触るでない!……ああ、くそッ。言葉が通じぬのか!」
「アッシュたん、何!? 何が起きてるの!?」
《アリーシャちゃん、この体育館、壁の一部も剥がれて、木材が散らばってるワン!長めの木の板を穴に差し込めば、猫モドキ君の爪で登って来られるはずだワン!》
どうしたら良いか分からない私の代わりに、白兵衛がアイディアを出してくれる。
「それだ!さすが白兵衛!エラい!高性能!」
適当な長さの木材を拾い、すぐに穴に差し入れる。
「アッシュたん!この板を伝って登って来て!」
「かたじけない!」
カカカカカッと爪の音が響き、アッシュが穴から飛び出して来た。が……
「へっ!? アッシュたん、いつの間に白猫に……!?」
灰色のアメショー柄だったはずのアッシュの躯が、パッと見、真っ白になっていた。
「違う!虫だ!…… "白い悪魔" とは、此奴らのことだったのだ!」
ライトで照らして目を凝らし……私は戦慄した。
ソレは、アッシュの躯の上で無数に蠢く、小さな白いアリだったのだ。
「ふぎャッ!? 白アリ!? ここら辺の建物がボロボロなのって、コレの仕業!?」
集合体恐怖症というわけではないが、ここまで数が多くてウゴウゴしていると、見ていて気持ち悪くなってくる。
《コレは白アリとは似て非なるモンスター "エビル・ターマイト" だワン!》
「板を伝って、穴の底からもどんどん出て来よるわ」
アッシュが木の板を前肢で払い、穴の底へ落とす。
だが、既に相当な数のエビル・ターマイトが穴の外へ出て来てしまった。
彼らはすぐに床板に喰らいつき、穴をどんどん広げていく。
「ひェッ……!ど、どうしたら……。体育館、穴だらけで探索できなくなっちゃうよ!」
《ボクに任せるワン!》
白兵衛が私の腕から飛び下り、アッシュの元に駆け寄る。
そして、その口をガッと大きく開いた。
キュイイーン……と独特な音が響き、白アリ……もといエビル・ターマイトが、次々と口の中に吸い込まれていく。
「えっ?白兵衛って、掃除機にもなれるの?」
呆気に取られていると、急に白兵衛からズゴゴッと嫌な音がした。
掃除機で大きな紙や布や "吸っちゃいけない物" を吸ってしまった時に、よくある音だ。
《……ペッ、ペッ……。ヘンな紙を吸い込んでしまったワン》
そう言いながら白兵衛が吐き出したのは……
「パスの破片だ!6つ目ゲットだよ!」
「……ところで、犬コロ。お主、仮にもモンスターを、生きたまま大量に吸い込んで、平気なのか?」
《すぐに排出すれば大丈夫ワン!穴の中に排出すれば、しばらくは出て来られないはずだワン》
言って、白兵衛は穴にお尻を向けた。
私はエチケットとして、排出シーンからは目を逸らす。
……まぁ、どの道、暗くてよく見えないんだけど。
「これでパスの破片も残り1枚だな」
「……と、言うことは……例の "動く骨格標本" だよね」
《そうだワン!七不思議の定番、理科室の怪談だワン!》
「あのスケルトンさんの話じゃ、誰彼構わず襲って来るってことだったよね……」
「ああ。おそらく、バトルになるだろうな」
白兵衛はロボットペットとしては高性能だけど、"兵器" としては無力化されているから、戦力にはならないだろう。
……となると、私とアッシュの二人で戦うことになるが……
「……うん。まぁ、戦ってみないことには、どうなるか分からない、か」
不安を抱えながらも、とりあえず理科室の近辺を捜索してみる。
だが、近くの廊下にも、理科室の中にも、骨格標本はいなかった。
「遠くの方まで出歩いちゃってるのかな……?」
キョロキョロ辺りを見回していると、窓の外……校庭に、白い人影があるのに気づいた。
月の光に照らされて、全身が白く光って見えるソレは……
「スケルトンさん?骨格標本?どっち?」
《目印のリボンが無いワン!骨格標本の方だワン!》
「開けた場所に出てくれるとは、好都合。戦いやすくなったではないか」
アッシュはそう言い、好戦的に笑うが……
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