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第七章 ギルドと集団暴走
235 けいむしょ……?
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リルファムと午前中いっぱい遊ぶと、お昼ご飯を食べて、残念そうに勉強の時間だというリルファムを宥める。
「ううっ……兄さま……」
「ふふ。そういえば、でんかのおべんきょうをみるというはなしがありました。もとにもどったらはじめましょうか。どういうおべんきょうをしているかきくので、しっかりおべんきょうしてきてください」
「っ! きちんときいてやってきます!」
「はい。がんばって」
かつてないほどにキリリと、やる気満々で勉強に向かったと、イスリナが驚いていた。
「アルキスさまも、これからキシさんたちとくんれんですか? きょうはムリだけど……あしたはみにいきますね!」
「っ、思いっきりしごいてくるわ。明日不様な姿を見せんようになっ」
コウヤにその気はなかったが、見事にアルキスもやる気満々で見送られた。
クスクスと笑うミラルファに抱えられ、コウヤはその後カトレアの部屋へ向かった。
「おばあさま。おもくない?」
「大丈夫よ。いつも使うメイスよりも軽いわっ」
「ふふっ、それ、おなじことをばばさまたちにもいわれました」
「そうなの。大司教様たちとは本当に気が合いそうだわ」
一緒になって暴れられたら、ますます手が付けられないなと思いながら辿り着いたのは、以前カトレアが居た部屋ではなかった。それは小さな館だ。離宮というほど立派ではないが、渡り廊下で繋がれた先にあった。
「ここ……なんのためのばしょ?」
「昔、もっと沢山の妃達が居た時代に、仕える者達の服を仕立てる針子達専用の館だったのよ。道具もそのまま残っているから、丁度良いと思って、カトレアにはこちらに移ってもらったの」
「へえ~」
アビリス王もジルファスも今のところこれ以上妃を増やすつもりはない。なので、この館も半ば放置されていたという。
「一室だけ片付けて、あとはカトレア自身に掃除させているの。ようやく作業部屋で寝なくて良くなったみたいよ」
それも罰の一つだったらしい。
「じじょさんたちは?」
「コウヤさんが連れてきてくれたあの三人だけよ」
きちんとカトレアに掃除などさせることを厳命され、侍女と主人ではなく、同じ同僚だと思って接するように徹底させているという。
「たいへんじゃない? けっこうおおきいよ? あ、はたけもあるっ」
「案外楽しくやっているみたいよ。雨が降らなければ、朝食の前に畑仕事をして、朝食が済んだら仕事に取り掛かるわ。昼食の時間が終わったら掃除。三時頃からまた仕事。六時過ぎに終えたら夕食は侍女達と一緒に作って食べる。それから就寝」
「……けいむしょ……?」
確かに、反省するために、罪を償うためにここに居るが、規則正しいというか、ずっと監視は居ないのに規律が厳しそうに思えてしまった。それは、カトレア自身がしっかり自分の罪を償おうと考えているからだろう。
それに、ミラルファが時間があれば見にくるのだから、余計に厳しい印象が濃くなる。
中は装飾品などもない。本当に質素なものだった。
お掃除の時間を邪魔して悪いなと思いながら、カトレアの居る部屋に入る。もちろん、ミラルファに抱えられたままだ。
「こんにちは~。おつとめごくろうさまです」
思わず出てしまった。だが、間違いではない。
「っ、いらっしゃいませコウヤ様っ。どうぞこちらへ」
「はいっ」
テーブルにつくと、当然のようにカトレアはお茶を淹れてくれた。手慣れたとは言えないが、中々様になっていた。
「どうぞ。まだあまり上手く淹れられないのですが……」
「ありがとうございます! いただきますっ」
因みに、コウヤが座るのはミラルファの膝の上だったりする。コウヤも慣れてきていた。
「それで……どのようなものを作るのでしょうか」
「デザインがです」
「デザイン……服ですか?」
「ドレスです!」
「それは……専門の方に……」
「それだと、じかんもおカネもかかるでしょう?」
「あ……っ」
ニコニコと笑って指摘すると、カトレアがハッとした。女性用下着を作るようになって、カトレアは物の価値なども知る機会が増えた。下着のデザインについても、どれだけ手を加え、どのような布を使ったら幾らになるのか。そういったことも日々学んでいるらしい。
よって、カトレアが今まで何も考えずに選び、注文していたドレス一着が幾らするのか。それが理解できるようになっていた。それは、店によっても違うのだと。
最近、ようやく売り出すようになったことで、自身が作る下着でどれくらいの儲けが出るのか。それでどれくらいの生活が可能かも分かるようになったという。畑で農作業を始めたのも、そういったことが分かるようになったからだ。
カトレアは今、薄いピンクの質素なワンピースを着ている。それがここの暮らしに相応しいものだと理解したからだ。彼女は元々勤勉だった。だからこそ理解は早く、自分がどれだけ恵まれており、どれだけ無駄なものが多かったかを知って反省した。
今の謙虚さは、それだけ知識を得た証拠だった。
「……どなたかの贈り物ですか?」
「じっさいにおくるのは、オ……ボクじゃないんですけどね。これをみてください。よかったらミラおばあさまも」
「ええ」
「拝見いたします」
きちんと資料を二つ用意しているのがコウヤらしいところだ。
内容は『結婚式』についてだ。それも、地球の日本の結婚式に近い。
「これは……貴族ではなく……庶民の?」
「そうです。さんこうえいぞうがコレです」
コウヤは、エリスリリアに頼んで、かつてこの世界で行われていた結婚式の様子の映像を用意してもらっていた。
ドレスの派手さは日本ほどではないが、きちんとした式を一般市民でも行っていたことが分かる。
小さなクリスタルから投映されたそれを見て、カトレアとミラルファは目を丸くした。
「これを……庶民で……結婚式は貴族だけのものだとばかり思っていました」
「それなりの、おおきなおカネがうごきますからね。でも、ムダをはぶけば、できるとおもうんです」
「そうね……ドレスもそうだけれど、準備をするお金も、貴族でなければそれほど掛からないでしょう」
ミラルファは驚きながらも、冷静に判断する。
「ばばさまたちが、どうしてもけっこんしきだけは、このけいしきをとりもどしたいというので、カトレアさんや、ミラおばあさまにきょうりょくしてほしいんです」
「わたくしでよろしいのですか……?」
「むしろりようしようとしているくらいなんですけど?」
小悪魔的な笑みで、コテンと可愛らしく首を傾げれば、カトレアは頬を染めながら笑みを見せた。
「っ、お好きなようになさってくださいっ。いくらでもコウヤ様にならば利用していただいて構いませんわっ」
「ふふ。ありがとうございます」
ミラルファも同意するように頭を撫でてくれたので、話を進めた。
「きぞくのかたって、おなじドレスはきないってきくんですけど、ほんとうですか?」
「はい。普段のものは着ても、夜会などで多くの方の目に触れたドレスは、まず着ません」
リメイクできる場合はするそうだが、それも一部らしい。用意できない者達は、数を制限する。
「では、その、もうきないドレスはどうするんです?」
「……どうしてましたでしょうか……」
カトレアは気にしていなかったらしい。ミラルファへ意見を求める。
コウヤも見上げれば、ミラルファは苦笑した。
「娘がいれば、それを作り直して渡すこともあります。親のドレスをというのは、特に何か言われたりはしませんからね。ただ、デザインは時代によって違いますから、可能な限り作り直しますけれど」
そうした母から娘へというのは、よくあるらしい。ただし、デザインだけの問題ではなく、保管に問題があって、傷んでしまうのでそう渡せるものでもない。
「ドレスの布は高価ですから、切り取って使うのも大変なので、下げ渡しもできません。なので……傷んだものから捨てますわね……」
普段着としては使いづらい生地が多く、どうにもできないのだという。
「なら、そのきなくなったドレス。そのままこのけっこんしきようにさげわたしませんか?」
「……」
「それは……」
「もちろん、せんもんのみせをよういします。ドレスせんもんの『貸し出し屋』です。かんりするのはきょうかいで。もちろん、あまりはでではないようにリメイクします。おおくのドレスがあつまれば、つくりなおすのにそざいにはこまりません。これなら、しょうたいしたかたたちもおめかしできます」
沢山集まれば、分解して作り直すのに不足することもなくなるだろう。
そこでコウヤは、そうして、招待客とそうではない者。式を挙げた者の大切な人たちと、そうではない人達の区別が付けられること。
結婚式は本人たちだけでなく、その家族達にとっても大切なものであることを説明する。特別な日には、特別な装い。それがいかに大切かを説いた。
「……素敵な考えだわ。お店は保管やリメイクだけ気にすれば良いものね。これが、コウヤさんの言われた専門性をということかしら」
ミラルファが感心する。カトレアに任せる女性専用の下着の店をという説明をするときに話ていたことだった。
「そうです。それで、ほんだいです!」
「ドレスのデザインですね? 招待客の方はコレだとして……結婚する方のですか?」
「はい! きぞくのかたがきるものほどこうきゅうでなくていいです。じまんするのはドレスではなくて、はなよめさんじしんですから。いろもきほんは、しろです」
そこまで話すと、カトレアとミラルファの目が輝いた。
「やらせていただきます! コストも抑えて、色も一色。これは恐らく、他のドレスを作る店ではできません。一週間ください!」
「おねがいします。なにかあれば、きょうかいにれんらくいただければいいので」
「はい!」
「私もやるわよっ。とっても楽しそうだわっ。令嬢達に話も通しておくわ。着なくなったドレスを引き取ると。誓約書も作らなくちゃね。後でお金を払えと言い出しそうだわ」
そう。ただの庶民が、引き取ると言ったならば、きっとお金を要求されるだろう。だからミラルファ達にお願いしたのだ。
「さていして、いっちゃくにつき、ひきかえにそざいをかんがえているんです。もとにもどったら、すぐにまとめますね」
「わかったわっ」
冒険者の仕事にも繋がる。一石二鳥の計画だ。
その後、話を詰め、カトレアの近況の報告を受けて、侍女さん達とも挨拶をし、仕事を終えたアビリス王やジルファス達と合流する。
特別にカトレアも含めた王族全員で夕食を取って、夜は誰と寝るかで一悶着ありながらも、楽しく一日は過ぎていった。
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読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
「ううっ……兄さま……」
「ふふ。そういえば、でんかのおべんきょうをみるというはなしがありました。もとにもどったらはじめましょうか。どういうおべんきょうをしているかきくので、しっかりおべんきょうしてきてください」
「っ! きちんときいてやってきます!」
「はい。がんばって」
かつてないほどにキリリと、やる気満々で勉強に向かったと、イスリナが驚いていた。
「アルキスさまも、これからキシさんたちとくんれんですか? きょうはムリだけど……あしたはみにいきますね!」
「っ、思いっきりしごいてくるわ。明日不様な姿を見せんようになっ」
コウヤにその気はなかったが、見事にアルキスもやる気満々で見送られた。
クスクスと笑うミラルファに抱えられ、コウヤはその後カトレアの部屋へ向かった。
「おばあさま。おもくない?」
「大丈夫よ。いつも使うメイスよりも軽いわっ」
「ふふっ、それ、おなじことをばばさまたちにもいわれました」
「そうなの。大司教様たちとは本当に気が合いそうだわ」
一緒になって暴れられたら、ますます手が付けられないなと思いながら辿り着いたのは、以前カトレアが居た部屋ではなかった。それは小さな館だ。離宮というほど立派ではないが、渡り廊下で繋がれた先にあった。
「ここ……なんのためのばしょ?」
「昔、もっと沢山の妃達が居た時代に、仕える者達の服を仕立てる針子達専用の館だったのよ。道具もそのまま残っているから、丁度良いと思って、カトレアにはこちらに移ってもらったの」
「へえ~」
アビリス王もジルファスも今のところこれ以上妃を増やすつもりはない。なので、この館も半ば放置されていたという。
「一室だけ片付けて、あとはカトレア自身に掃除させているの。ようやく作業部屋で寝なくて良くなったみたいよ」
それも罰の一つだったらしい。
「じじょさんたちは?」
「コウヤさんが連れてきてくれたあの三人だけよ」
きちんとカトレアに掃除などさせることを厳命され、侍女と主人ではなく、同じ同僚だと思って接するように徹底させているという。
「たいへんじゃない? けっこうおおきいよ? あ、はたけもあるっ」
「案外楽しくやっているみたいよ。雨が降らなければ、朝食の前に畑仕事をして、朝食が済んだら仕事に取り掛かるわ。昼食の時間が終わったら掃除。三時頃からまた仕事。六時過ぎに終えたら夕食は侍女達と一緒に作って食べる。それから就寝」
「……けいむしょ……?」
確かに、反省するために、罪を償うためにここに居るが、規則正しいというか、ずっと監視は居ないのに規律が厳しそうに思えてしまった。それは、カトレア自身がしっかり自分の罪を償おうと考えているからだろう。
それに、ミラルファが時間があれば見にくるのだから、余計に厳しい印象が濃くなる。
中は装飾品などもない。本当に質素なものだった。
お掃除の時間を邪魔して悪いなと思いながら、カトレアの居る部屋に入る。もちろん、ミラルファに抱えられたままだ。
「こんにちは~。おつとめごくろうさまです」
思わず出てしまった。だが、間違いではない。
「っ、いらっしゃいませコウヤ様っ。どうぞこちらへ」
「はいっ」
テーブルにつくと、当然のようにカトレアはお茶を淹れてくれた。手慣れたとは言えないが、中々様になっていた。
「どうぞ。まだあまり上手く淹れられないのですが……」
「ありがとうございます! いただきますっ」
因みに、コウヤが座るのはミラルファの膝の上だったりする。コウヤも慣れてきていた。
「それで……どのようなものを作るのでしょうか」
「デザインがです」
「デザイン……服ですか?」
「ドレスです!」
「それは……専門の方に……」
「それだと、じかんもおカネもかかるでしょう?」
「あ……っ」
ニコニコと笑って指摘すると、カトレアがハッとした。女性用下着を作るようになって、カトレアは物の価値なども知る機会が増えた。下着のデザインについても、どれだけ手を加え、どのような布を使ったら幾らになるのか。そういったことも日々学んでいるらしい。
よって、カトレアが今まで何も考えずに選び、注文していたドレス一着が幾らするのか。それが理解できるようになっていた。それは、店によっても違うのだと。
最近、ようやく売り出すようになったことで、自身が作る下着でどれくらいの儲けが出るのか。それでどれくらいの生活が可能かも分かるようになったという。畑で農作業を始めたのも、そういったことが分かるようになったからだ。
カトレアは今、薄いピンクの質素なワンピースを着ている。それがここの暮らしに相応しいものだと理解したからだ。彼女は元々勤勉だった。だからこそ理解は早く、自分がどれだけ恵まれており、どれだけ無駄なものが多かったかを知って反省した。
今の謙虚さは、それだけ知識を得た証拠だった。
「……どなたかの贈り物ですか?」
「じっさいにおくるのは、オ……ボクじゃないんですけどね。これをみてください。よかったらミラおばあさまも」
「ええ」
「拝見いたします」
きちんと資料を二つ用意しているのがコウヤらしいところだ。
内容は『結婚式』についてだ。それも、地球の日本の結婚式に近い。
「これは……貴族ではなく……庶民の?」
「そうです。さんこうえいぞうがコレです」
コウヤは、エリスリリアに頼んで、かつてこの世界で行われていた結婚式の様子の映像を用意してもらっていた。
ドレスの派手さは日本ほどではないが、きちんとした式を一般市民でも行っていたことが分かる。
小さなクリスタルから投映されたそれを見て、カトレアとミラルファは目を丸くした。
「これを……庶民で……結婚式は貴族だけのものだとばかり思っていました」
「それなりの、おおきなおカネがうごきますからね。でも、ムダをはぶけば、できるとおもうんです」
「そうね……ドレスもそうだけれど、準備をするお金も、貴族でなければそれほど掛からないでしょう」
ミラルファは驚きながらも、冷静に判断する。
「ばばさまたちが、どうしてもけっこんしきだけは、このけいしきをとりもどしたいというので、カトレアさんや、ミラおばあさまにきょうりょくしてほしいんです」
「わたくしでよろしいのですか……?」
「むしろりようしようとしているくらいなんですけど?」
小悪魔的な笑みで、コテンと可愛らしく首を傾げれば、カトレアは頬を染めながら笑みを見せた。
「っ、お好きなようになさってくださいっ。いくらでもコウヤ様にならば利用していただいて構いませんわっ」
「ふふ。ありがとうございます」
ミラルファも同意するように頭を撫でてくれたので、話を進めた。
「きぞくのかたって、おなじドレスはきないってきくんですけど、ほんとうですか?」
「はい。普段のものは着ても、夜会などで多くの方の目に触れたドレスは、まず着ません」
リメイクできる場合はするそうだが、それも一部らしい。用意できない者達は、数を制限する。
「では、その、もうきないドレスはどうするんです?」
「……どうしてましたでしょうか……」
カトレアは気にしていなかったらしい。ミラルファへ意見を求める。
コウヤも見上げれば、ミラルファは苦笑した。
「娘がいれば、それを作り直して渡すこともあります。親のドレスをというのは、特に何か言われたりはしませんからね。ただ、デザインは時代によって違いますから、可能な限り作り直しますけれど」
そうした母から娘へというのは、よくあるらしい。ただし、デザインだけの問題ではなく、保管に問題があって、傷んでしまうのでそう渡せるものでもない。
「ドレスの布は高価ですから、切り取って使うのも大変なので、下げ渡しもできません。なので……傷んだものから捨てますわね……」
普段着としては使いづらい生地が多く、どうにもできないのだという。
「なら、そのきなくなったドレス。そのままこのけっこんしきようにさげわたしませんか?」
「……」
「それは……」
「もちろん、せんもんのみせをよういします。ドレスせんもんの『貸し出し屋』です。かんりするのはきょうかいで。もちろん、あまりはでではないようにリメイクします。おおくのドレスがあつまれば、つくりなおすのにそざいにはこまりません。これなら、しょうたいしたかたたちもおめかしできます」
沢山集まれば、分解して作り直すのに不足することもなくなるだろう。
そこでコウヤは、そうして、招待客とそうではない者。式を挙げた者の大切な人たちと、そうではない人達の区別が付けられること。
結婚式は本人たちだけでなく、その家族達にとっても大切なものであることを説明する。特別な日には、特別な装い。それがいかに大切かを説いた。
「……素敵な考えだわ。お店は保管やリメイクだけ気にすれば良いものね。これが、コウヤさんの言われた専門性をということかしら」
ミラルファが感心する。カトレアに任せる女性専用の下着の店をという説明をするときに話ていたことだった。
「そうです。それで、ほんだいです!」
「ドレスのデザインですね? 招待客の方はコレだとして……結婚する方のですか?」
「はい! きぞくのかたがきるものほどこうきゅうでなくていいです。じまんするのはドレスではなくて、はなよめさんじしんですから。いろもきほんは、しろです」
そこまで話すと、カトレアとミラルファの目が輝いた。
「やらせていただきます! コストも抑えて、色も一色。これは恐らく、他のドレスを作る店ではできません。一週間ください!」
「おねがいします。なにかあれば、きょうかいにれんらくいただければいいので」
「はい!」
「私もやるわよっ。とっても楽しそうだわっ。令嬢達に話も通しておくわ。着なくなったドレスを引き取ると。誓約書も作らなくちゃね。後でお金を払えと言い出しそうだわ」
そう。ただの庶民が、引き取ると言ったならば、きっとお金を要求されるだろう。だからミラルファ達にお願いしたのだ。
「さていして、いっちゃくにつき、ひきかえにそざいをかんがえているんです。もとにもどったら、すぐにまとめますね」
「わかったわっ」
冒険者の仕事にも繋がる。一石二鳥の計画だ。
その後、話を詰め、カトレアの近況の報告を受けて、侍女さん達とも挨拶をし、仕事を終えたアビリス王やジルファス達と合流する。
特別にカトレアも含めた王族全員で夕食を取って、夜は誰と寝るかで一悶着ありながらも、楽しく一日は過ぎていった。
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