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第七章 ギルドと集団暴走
236 何のために訓練すんの?
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二日目。
アビリス王もジルファスも、シンリームやリルファムさえ、揃って昨日の内に今日の分の仕事や勉強をほとんど片付けたらしい。
そんな彼らのやる気に触発され、下の方までかなりの速度で仕事をしたようで、宰相のベルナディオがニコニコ顔で朝の挨拶にやってきた。
「おはようございます陛下、殿下。本日は昼頃には全ての決裁が終わる予定です。面会の予定もございませんので、ごゆっくりお過ごしください」
「ああ。お前も今日は少し休むといい」
「ありがとうございます」
彼は珍しく昨日、早く帰宅できたようで、疲れもすっかり消えているという。
「ふふ」
「あら。コウヤさん。どうしたの?」
思い出し笑いをするように笑ったコウヤに、ミラルファが不思議そうに目を向けた。朝食も終わり、今はなぜかジルファスの膝の上にいる。
ジルファスは感動のあまり、先ほどから一切喋らず、コウヤをじっと見つめていた。ちょっと怖いので、コウヤは早々にコレは椅子だと自分に言い聞かせたところだ。
「いえ。このあと、きをつけないとおこられるな~っとおもって」
「怒られるとは?」
アビリス王が問いかける。
「だって、おしごとをこんかい、いつもよりも、みじかいじかんでやれたんです。そうすると、おしごとふやしてもイケるっておもっちゃうんですよね~」
「思いますね?」
同意だと頷くベルナディオ。気が合いそうだ。
「そうやって、ついついふやしちゃうんですよ」
「……増やしそうですね」
「はい。それで、ものすごくおこられたことがあって。だれでもおなじことするんだな~っておもったら、おもしろくって」
「……因みにどなたに怒られたのですか?」
ありそうだなという表情になったベルナディオ。きっと同じ運命を辿っただろう。仲間だ。
仕事中毒者仲間。
「えっと……ボクのばあいは……どうりょうと、レンスさまごいっかと……ルーくんです。そのあと、きょうせいてきにやすませるって……レンスさまのいえにつれていかれましたね。とりあえず、ねるまでみはられました」
それからいっぱい甘やかされた。暇過ぎて昼寝まですると、ようやく解放されたのだ。
「やすむって、むずかしくないですか?」
「難しいですね」
物凄く頷かれた。やはりベルナディオとは気が合いそうだ。
「え……休むのが難しいってどういう意味? この場合、休みが取れないって意味じゃねえよな?」
アルキスは混乱した。
「普通は仕事に穴を空けられなくて、休みが取れないって意味で使うと思うんですけど……逆でもあるんですね」
シンリームは感心する。
「……ベルナディオは仕方ないとして……コウヤはこの歳で……苦労させたな……よし、今日は目一杯甘やかそう」
「それが良いですわねっ」
アビリス王とミラルファは頷き合っていた。
「コウヤ……何かしたいことはないかい?」
息子を抱きしめられて夢見心地だったジルファスは、聞こえてきた仕事中毒者たちの会話に我に返った。
若干顔色が悪いのは、ジルファスが自分の不甲斐なさを再認識したからだ。
コウヤとファムリアを迎えに行けていれば、こんな苦労はさせなくて済んだのだから。そうすれば、仕事中毒者になることもなかっただろうと恥入ったのだ。
コウヤとしては変わらなかった可能性が高いというのは口にしなかった。
「きょうですか? キシさんたちのくんれんにまじります!」
「混じるの!?」
これは反対されるだろうか。そう思ったコウヤはジルファスを見上げて言い換えた。
「あ、えっと……おいかけっこしますっ」
「追いかけっこ……」
ジルファスは、正確にコウヤの思い描く追いかけっこが想像できていた。だが、アルキスやミラルファ達には想像もできないのだろう。
「まあまあっ。なんて子どもらしい遊び! いいわっ。騎士達に相手をさせましょう」
「いいなっ。俺も参加するわっ」
「うむ。楽しそうだ。観てみたい」
大賛成だと、今日の予定に加えてくれた。だが、ジルファスとユースールに同行した騎士達は少し遠い目をする。
「……あの犬が居ないなら……いいか……?」
「パックンさん達も居ないし……大丈夫……かな?」
「コウヤ様も小さいしな……あ、いや、けど……」
「なんでだろ……あの姿でも翻弄される未来しか見えない……」
「相手にする騎士達……心折れなきゃいいけどな……」
そんなことをボソボソと話し合っていた。だが、次の瞬間。彼らはハッとして提案した。手を挙げてだ。
「はい! アルキス様! その相手は先ず第三騎士団にさせてください!」
「だいさんきしだん?」
コウヤは何かがひっかかった。
「ん? 第三? え~……アイツら面倒い……それに、絶対にコウヤとか見てバカにしそうじゃんか……それ見るの俺ヤダし」
第三騎士団は、曲者揃いというわけではなく、ただ単に、プライドの高いボンボン達の集まりらしい。
アルキスでも扱いづらいという。彼らには、王族でありながらアルキスが冒険者をやっているというのが気に入らないようだ。
「私もあそこは嫌いだわ。親の七光りどもなんか、放っておけばいいじゃない。訓練だってロクにしないのに」
ミラルファも王妃でありながら、冒険者として活動していたことがある。純粋な貴族の子息達の集まりである第三騎士団にとっては、下賤の者でしかない冒険者と関わったというだけでも嫌悪するらしいのだ。
そこでコウヤは引っ掛かったものについて思い出して呟く。
「あ、そっか、そのひとたち……」
第三騎士団は第二王妃派だった。密かに今でもジルファスを退けようと謀反の計画を練り出しているというのは、ルディエとオスロリーリェ、それとコウヤしか知らない事実だった。
とはいえ、考えの甘いボンボン達だ。要だった侯爵やカトレアが居なくなったため、それほど計画らしい計画は立っていない。いずれはどうにかしようと思っていたコウヤにとっては、都合が良かった。
「ふふっ」
「ん? コウヤ?」
「ううん。とってもたのしくなりそうだなあって」
「そう……?」
機嫌の良いコウヤを不思議に思いながらも、ジルファスは不満を爆発させた騎士達を見る。
第三騎士団を普段は無視することで心の平穏を得ている近衛騎士達。そろそろ限界だったようだ。
「だからです! 大丈夫です! 絶対にあの伸び切った鼻が折れます!」
「廃人手前まで追い詰められます!」
「現実を突きつけられますよ!」
相当苛ついているらしい。恨みもありそうだ。
「え? 何のために訓練すんの?」
アルキスの問いかけに、騎士達は拳を握って力強く答えた。
「「「アイツらに現実を教えるためです!!」」」
「お、おう……?」
訴えを聞いたアルキスだけでなく、ミラルファさえも唖然としている。それほど、この騎士達の訴えは切実で、実感のこもったものだったのだ。
「ふふふ。おひるからでいいですね。でもそうすると、だれかきょうかいからきてもらったほうがいいかも」
「すぐに連絡を!」
「あ、まって」
飛び出して行こうとする近衛騎士を呼び止める。
「いえ、ですが……もしかして……?」
彼らはふと思い出す。この状態のコウヤを、教会の者達が、王家の元に居るとはいえ、本当に放置するだろうかと。
コウヤはニコニコ笑いながら、窓の外を指さした。
黒い影が横切った。
「……ジザルスさま?」
近衛騎士達は、テルザの補佐を長くしていたジザルスの事を知っている。その一人が、呆然と呟いた。
「ちゃんとみえました? すごいです!」
「え、あ、はい! 見えるようになってきたんです!」
訓練の成果で、動体視力が向上したらしい。特に彼は近衛騎士でありながら、弓の才能があり、ユースールに居る間も、コウヤが弓を薦めた青年と共によく訓練していた。
動体視力が上がるのは、騎士にとっても悪いことではない。彼は確実に強くなっていた。
「ジザさんがれんらくしてくれるので、だいじょうぶです。くんれんたのしみですね」
「「「はい!」」」
「……」
いまいち理解できていないアルキス達は気にせず、その後、第三騎士団を呼び出す算段をつけるのだった。
************
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
アビリス王もジルファスも、シンリームやリルファムさえ、揃って昨日の内に今日の分の仕事や勉強をほとんど片付けたらしい。
そんな彼らのやる気に触発され、下の方までかなりの速度で仕事をしたようで、宰相のベルナディオがニコニコ顔で朝の挨拶にやってきた。
「おはようございます陛下、殿下。本日は昼頃には全ての決裁が終わる予定です。面会の予定もございませんので、ごゆっくりお過ごしください」
「ああ。お前も今日は少し休むといい」
「ありがとうございます」
彼は珍しく昨日、早く帰宅できたようで、疲れもすっかり消えているという。
「ふふ」
「あら。コウヤさん。どうしたの?」
思い出し笑いをするように笑ったコウヤに、ミラルファが不思議そうに目を向けた。朝食も終わり、今はなぜかジルファスの膝の上にいる。
ジルファスは感動のあまり、先ほどから一切喋らず、コウヤをじっと見つめていた。ちょっと怖いので、コウヤは早々にコレは椅子だと自分に言い聞かせたところだ。
「いえ。このあと、きをつけないとおこられるな~っとおもって」
「怒られるとは?」
アビリス王が問いかける。
「だって、おしごとをこんかい、いつもよりも、みじかいじかんでやれたんです。そうすると、おしごとふやしてもイケるっておもっちゃうんですよね~」
「思いますね?」
同意だと頷くベルナディオ。気が合いそうだ。
「そうやって、ついついふやしちゃうんですよ」
「……増やしそうですね」
「はい。それで、ものすごくおこられたことがあって。だれでもおなじことするんだな~っておもったら、おもしろくって」
「……因みにどなたに怒られたのですか?」
ありそうだなという表情になったベルナディオ。きっと同じ運命を辿っただろう。仲間だ。
仕事中毒者仲間。
「えっと……ボクのばあいは……どうりょうと、レンスさまごいっかと……ルーくんです。そのあと、きょうせいてきにやすませるって……レンスさまのいえにつれていかれましたね。とりあえず、ねるまでみはられました」
それからいっぱい甘やかされた。暇過ぎて昼寝まですると、ようやく解放されたのだ。
「やすむって、むずかしくないですか?」
「難しいですね」
物凄く頷かれた。やはりベルナディオとは気が合いそうだ。
「え……休むのが難しいってどういう意味? この場合、休みが取れないって意味じゃねえよな?」
アルキスは混乱した。
「普通は仕事に穴を空けられなくて、休みが取れないって意味で使うと思うんですけど……逆でもあるんですね」
シンリームは感心する。
「……ベルナディオは仕方ないとして……コウヤはこの歳で……苦労させたな……よし、今日は目一杯甘やかそう」
「それが良いですわねっ」
アビリス王とミラルファは頷き合っていた。
「コウヤ……何かしたいことはないかい?」
息子を抱きしめられて夢見心地だったジルファスは、聞こえてきた仕事中毒者たちの会話に我に返った。
若干顔色が悪いのは、ジルファスが自分の不甲斐なさを再認識したからだ。
コウヤとファムリアを迎えに行けていれば、こんな苦労はさせなくて済んだのだから。そうすれば、仕事中毒者になることもなかっただろうと恥入ったのだ。
コウヤとしては変わらなかった可能性が高いというのは口にしなかった。
「きょうですか? キシさんたちのくんれんにまじります!」
「混じるの!?」
これは反対されるだろうか。そう思ったコウヤはジルファスを見上げて言い換えた。
「あ、えっと……おいかけっこしますっ」
「追いかけっこ……」
ジルファスは、正確にコウヤの思い描く追いかけっこが想像できていた。だが、アルキスやミラルファ達には想像もできないのだろう。
「まあまあっ。なんて子どもらしい遊び! いいわっ。騎士達に相手をさせましょう」
「いいなっ。俺も参加するわっ」
「うむ。楽しそうだ。観てみたい」
大賛成だと、今日の予定に加えてくれた。だが、ジルファスとユースールに同行した騎士達は少し遠い目をする。
「……あの犬が居ないなら……いいか……?」
「パックンさん達も居ないし……大丈夫……かな?」
「コウヤ様も小さいしな……あ、いや、けど……」
「なんでだろ……あの姿でも翻弄される未来しか見えない……」
「相手にする騎士達……心折れなきゃいいけどな……」
そんなことをボソボソと話し合っていた。だが、次の瞬間。彼らはハッとして提案した。手を挙げてだ。
「はい! アルキス様! その相手は先ず第三騎士団にさせてください!」
「だいさんきしだん?」
コウヤは何かがひっかかった。
「ん? 第三? え~……アイツら面倒い……それに、絶対にコウヤとか見てバカにしそうじゃんか……それ見るの俺ヤダし」
第三騎士団は、曲者揃いというわけではなく、ただ単に、プライドの高いボンボン達の集まりらしい。
アルキスでも扱いづらいという。彼らには、王族でありながらアルキスが冒険者をやっているというのが気に入らないようだ。
「私もあそこは嫌いだわ。親の七光りどもなんか、放っておけばいいじゃない。訓練だってロクにしないのに」
ミラルファも王妃でありながら、冒険者として活動していたことがある。純粋な貴族の子息達の集まりである第三騎士団にとっては、下賤の者でしかない冒険者と関わったというだけでも嫌悪するらしいのだ。
そこでコウヤは引っ掛かったものについて思い出して呟く。
「あ、そっか、そのひとたち……」
第三騎士団は第二王妃派だった。密かに今でもジルファスを退けようと謀反の計画を練り出しているというのは、ルディエとオスロリーリェ、それとコウヤしか知らない事実だった。
とはいえ、考えの甘いボンボン達だ。要だった侯爵やカトレアが居なくなったため、それほど計画らしい計画は立っていない。いずれはどうにかしようと思っていたコウヤにとっては、都合が良かった。
「ふふっ」
「ん? コウヤ?」
「ううん。とってもたのしくなりそうだなあって」
「そう……?」
機嫌の良いコウヤを不思議に思いながらも、ジルファスは不満を爆発させた騎士達を見る。
第三騎士団を普段は無視することで心の平穏を得ている近衛騎士達。そろそろ限界だったようだ。
「だからです! 大丈夫です! 絶対にあの伸び切った鼻が折れます!」
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「え? 何のために訓練すんの?」
アルキスの問いかけに、騎士達は拳を握って力強く答えた。
「「「アイツらに現実を教えるためです!!」」」
「お、おう……?」
訴えを聞いたアルキスだけでなく、ミラルファさえも唖然としている。それほど、この騎士達の訴えは切実で、実感のこもったものだったのだ。
「ふふふ。おひるからでいいですね。でもそうすると、だれかきょうかいからきてもらったほうがいいかも」
「すぐに連絡を!」
「あ、まって」
飛び出して行こうとする近衛騎士を呼び止める。
「いえ、ですが……もしかして……?」
彼らはふと思い出す。この状態のコウヤを、教会の者達が、王家の元に居るとはいえ、本当に放置するだろうかと。
コウヤはニコニコ笑いながら、窓の外を指さした。
黒い影が横切った。
「……ジザルスさま?」
近衛騎士達は、テルザの補佐を長くしていたジザルスの事を知っている。その一人が、呆然と呟いた。
「ちゃんとみえました? すごいです!」
「え、あ、はい! 見えるようになってきたんです!」
訓練の成果で、動体視力が向上したらしい。特に彼は近衛騎士でありながら、弓の才能があり、ユースールに居る間も、コウヤが弓を薦めた青年と共によく訓練していた。
動体視力が上がるのは、騎士にとっても悪いことではない。彼は確実に強くなっていた。
「ジザさんがれんらくしてくれるので、だいじょうぶです。くんれんたのしみですね」
「「「はい!」」」
「……」
いまいち理解できていないアルキス達は気にせず、その後、第三騎士団を呼び出す算段をつけるのだった。
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読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
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