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第八章 学校と研修
294 紹介するね
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コウヤはベルナディオの元から、一人で城の奥へと進んでいた。いつもならば案内を買って出るニールも、さすがに今の状況のままではあの場を離れられなかったのだ。
既に城内だけでなく、王都全てをマッピング済みのコウヤは、迷う事なく目的の場所に向かう。
その部屋の前で立ち止まる間もなく、扉を守っている騎士が中へ呼びかける。
「コウヤ様がいらっしゃいました!」
突然内側から開かれた扉から、リルファムが飛び出してきた。
「コウヤ兄さま!」
「こんにちは。リルファム殿下」
難なく抱き止めて挨拶をすれば、むくれた顔で見上げてくる。
「むう……リルってよんでください」
「ふふ。はい。リル様」
「さまはナシです! 本とうの兄さまなのですから……っ」
嬉しそうに、照れながら言われては折れるしかない。
「分かりました。リル」
「っ、はい!」
物凄く喜ばれた。
そこへ、シンリームが歩み出てくる。その表情は拗ねたような、そんな曇ったものだった。
「私も兄弟だったら良かったのに……」
心底残念そうに呟かれ、コウヤも困ってしまう。
「そうですか? けど、叔父はシン様だけなので、嬉しいですよ?」
「っ、そ、そっか……私だけ……それはいいね!」
兄はリクトルスがいる。だから、兄弟よりも叔父という唯一の存在は貴重だろう。シンリームも納得してくれた。
「それじゃあ、中に入って」
「失礼します」
リルファムをくっつけたまま、コウヤはシンリームに言われて部屋に入る。
部屋の中では、五人の壮年から老年の男たちがいた。
「紹介するね。彼らが王家付きの教師たちだよ」
史学、語学、算学、法学、神学を教えているという。
アビリス王とジルファスは、コウヤにリルファムとシンリームの教師を頼んだ。それは、この教師達に代わりというわけではない。
この国の王族は、王や要職に就く前に冒険者として国を回るのが慣例になっている。これによって、幼少の頃から教えられてきた事を実際に現場で知り、足りない部分を補っていく。
何事も、書物や残っている記録だけが全てではない。その時代によっても変わるし、変えなくてはならない所もある。それをこのヴァンリエル王家は理解していた。
アビリス王は、自身の身に降りかかった病のこともあり、自分たちだけが知っていても意味がないのではないかと思ったらしい。
ジルファスも、絶対だと思っていた宮廷薬師の知識だけではどうにもできなかったように、閉じられた貴族社会では知り得なかったことが、外にあるのだと実感していた。
そこで、コウヤに風穴を開けてもらおうと考えたのだ。自分達の知識が絶対だと自負する最も凝り固まった者達に、目を覚まさせてもらいたいと。
彼らは良くも悪くも王家付きということで、他の貴族の教師役達の上に立つ。彼らを叩き潰すことで、下へとその影響が流れるだろう。それを狙っているのだ。
「コウヤと申します。普段はガルタ辺境伯領のユースールに居りますが、これより週に一度、お邪魔させていただきますので、お見知りおきください」
微笑みながら胸に手を当て、礼をするコウヤに、部屋に控えていた侍従や侍女達は静かにため息をもらす。完璧な所作だった。
これに、教師達も見惚れていた。だが、そこは王族付きの教師達だ。すぐに気持ちを切り替えていた。
「こちらこそ。私は史学を担当しております。ヤクスと申します。コウヤ様とお呼びしてよろしいでしょうか」
「はい。では、私はヤクス先生と呼ばせていただきます」
「光栄です」
ここでは、コウヤもさすがに『俺』とは言わないように気を付ける。とはいえ、ギルドで働いているのは伊達ではない。きちんと使い分けるのには慣れている。ただ少し、場所によっては周りが驚くだけだ。
「今日は顔合わせと聞いているから、お茶の用意をしているんだ。料理長が張り切ってケーキを用意してくれたよ」
「そうでしたか」
部屋の隅に侍従と並び、直立して立っている料理人が居るのには、気付いていた。それがまさかの料理長だった。
丸いテーブルで、向かい側半分に教師達が並び、コウヤを真ん中にして右手にシンリーム、左手にリルファムが座った。
一人ずつにケーキが配られる。フルーツが沢山入っているフルーツケーキだ。パウンドケーキが普通だったこの世界で、コウヤが教えたショートケーキを元に作ったのだろう。さすがは王城の料理人だ。盛り付けも完璧だった。
「断面まで考えられていて、綺麗なケーキですね。盛り付けも素敵です……甘さも丁度良いですね。フルーツの甘さも考えられたのでしょう?」
「はい! よ、よくお分かりにっ」
料理長は、感動して震えだした。
「分かりますよ。あなたはとても勤勉ですし、子どもの私の話もよく聞いてくださいますから」
「それは当然です!!」
「ふふ。それが普通は難しいと思うのですが……あなたらしさも忘れずに続けてくださいね」
「っ、は、はい! ありがとうございますぅぅぅっ!」
泣いた。
コウヤは、相変わらず大袈裟だなと苦笑気味に激励しておく。
「今日はお昼も楽しみにしていますね」
「お任せください!! お夕食もどうぞ!」
「そうですね……お願いしても?」
「もちろんです!! し、失礼します!」
料理長はそのまま飛び出して行った。仕事に打ち込めるのはいい事だ。
「コウヤ兄さま、お夕しょくもいっしょにできるんですか! とまっていかれますか!」
「泊まるのはまた今度にしますね。明日は仕事がありますし」
「ざんねんです……」
本当に残念だと、分かりやすく落ち込むリルファムの頭を撫でる。
「それに、私が泊まると……色んな所に支障が出るので」
チラリと天井へ目を向ける。すると、シンリームは気付いたようだ。
「そういえば、騎士達も緊張すると言っていたね。コウヤくんが泊まると、何かあった時に神官さん達にお仕置きされるとか何とか」
「考え過ぎだと思うんですけどね」
とはいえ、否定できない。裏の警備もルディエ達が手を入れるだろうから。
「でも、いつでもとまってください! いっしょにねたいです!」
「ええ。落ち着いたら、是非」
「はい! これで父上にもうじまんさせずにすみます!」
「え?」
機嫌良く笑いながらケーキを食べるリルファム。どういうことだろうと首を捻れば、シンリームが答えた。
「コウヤくんのお家に泊まったって、自慢されるんだよ。一緒にお料理して、一緒に寝たって」
「ああ……なるほど」
「私も、この前せっかくユースールに行ったのに、叔父上と町の視察で終わってしまったからね……泊めてもらおうと思ったのに」
「そういえば、そうでしたね」
レンスフィートに任せて、コウヤは普通に仕事をして過ごしていた。家にも案内しなかったのだ。
「今度は絶対に泊めてね? コウヤくんのお家、とっても気になるし」
「はい」
「ズルいです! コウヤ兄さま、わたしも!」
「はい。でも、普通ですよ?」
「それがしりたいんですっ」
「それが知りたいな」
そんな様子を、教師達は目を丸くして見ていた。そして、今ならばとヤクスが口を挟む。
「仲がよろしいのですね……」
それはどの教師達も言いたかったようだ。
「殿下方がご一緒にお話をされるというのも、我々には驚きだったのですが……」
リルファムとシンリームが一緒にというのは、ずっと避けられていたことだった。カトレアは過激で、シンリームはそのカトレアが言うがまま。幼いリルファムを近付けるなど、絶対にしてはならないことだった。
それが、突然変わった。教師達はこれ以上ないほど驚いたようだ。
「状況は変わりましたからね」
そうコウヤが口にすれば、ヤクスは気付いた。
「なるほど……あなたが変えたのですね」
その視線は真っ直ぐにコウヤを見据えていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
既に城内だけでなく、王都全てをマッピング済みのコウヤは、迷う事なく目的の場所に向かう。
その部屋の前で立ち止まる間もなく、扉を守っている騎士が中へ呼びかける。
「コウヤ様がいらっしゃいました!」
突然内側から開かれた扉から、リルファムが飛び出してきた。
「コウヤ兄さま!」
「こんにちは。リルファム殿下」
難なく抱き止めて挨拶をすれば、むくれた顔で見上げてくる。
「むう……リルってよんでください」
「ふふ。はい。リル様」
「さまはナシです! 本とうの兄さまなのですから……っ」
嬉しそうに、照れながら言われては折れるしかない。
「分かりました。リル」
「っ、はい!」
物凄く喜ばれた。
そこへ、シンリームが歩み出てくる。その表情は拗ねたような、そんな曇ったものだった。
「私も兄弟だったら良かったのに……」
心底残念そうに呟かれ、コウヤも困ってしまう。
「そうですか? けど、叔父はシン様だけなので、嬉しいですよ?」
「っ、そ、そっか……私だけ……それはいいね!」
兄はリクトルスがいる。だから、兄弟よりも叔父という唯一の存在は貴重だろう。シンリームも納得してくれた。
「それじゃあ、中に入って」
「失礼します」
リルファムをくっつけたまま、コウヤはシンリームに言われて部屋に入る。
部屋の中では、五人の壮年から老年の男たちがいた。
「紹介するね。彼らが王家付きの教師たちだよ」
史学、語学、算学、法学、神学を教えているという。
アビリス王とジルファスは、コウヤにリルファムとシンリームの教師を頼んだ。それは、この教師達に代わりというわけではない。
この国の王族は、王や要職に就く前に冒険者として国を回るのが慣例になっている。これによって、幼少の頃から教えられてきた事を実際に現場で知り、足りない部分を補っていく。
何事も、書物や残っている記録だけが全てではない。その時代によっても変わるし、変えなくてはならない所もある。それをこのヴァンリエル王家は理解していた。
アビリス王は、自身の身に降りかかった病のこともあり、自分たちだけが知っていても意味がないのではないかと思ったらしい。
ジルファスも、絶対だと思っていた宮廷薬師の知識だけではどうにもできなかったように、閉じられた貴族社会では知り得なかったことが、外にあるのだと実感していた。
そこで、コウヤに風穴を開けてもらおうと考えたのだ。自分達の知識が絶対だと自負する最も凝り固まった者達に、目を覚まさせてもらいたいと。
彼らは良くも悪くも王家付きということで、他の貴族の教師役達の上に立つ。彼らを叩き潰すことで、下へとその影響が流れるだろう。それを狙っているのだ。
「コウヤと申します。普段はガルタ辺境伯領のユースールに居りますが、これより週に一度、お邪魔させていただきますので、お見知りおきください」
微笑みながら胸に手を当て、礼をするコウヤに、部屋に控えていた侍従や侍女達は静かにため息をもらす。完璧な所作だった。
これに、教師達も見惚れていた。だが、そこは王族付きの教師達だ。すぐに気持ちを切り替えていた。
「こちらこそ。私は史学を担当しております。ヤクスと申します。コウヤ様とお呼びしてよろしいでしょうか」
「はい。では、私はヤクス先生と呼ばせていただきます」
「光栄です」
ここでは、コウヤもさすがに『俺』とは言わないように気を付ける。とはいえ、ギルドで働いているのは伊達ではない。きちんと使い分けるのには慣れている。ただ少し、場所によっては周りが驚くだけだ。
「今日は顔合わせと聞いているから、お茶の用意をしているんだ。料理長が張り切ってケーキを用意してくれたよ」
「そうでしたか」
部屋の隅に侍従と並び、直立して立っている料理人が居るのには、気付いていた。それがまさかの料理長だった。
丸いテーブルで、向かい側半分に教師達が並び、コウヤを真ん中にして右手にシンリーム、左手にリルファムが座った。
一人ずつにケーキが配られる。フルーツが沢山入っているフルーツケーキだ。パウンドケーキが普通だったこの世界で、コウヤが教えたショートケーキを元に作ったのだろう。さすがは王城の料理人だ。盛り付けも完璧だった。
「断面まで考えられていて、綺麗なケーキですね。盛り付けも素敵です……甘さも丁度良いですね。フルーツの甘さも考えられたのでしょう?」
「はい! よ、よくお分かりにっ」
料理長は、感動して震えだした。
「分かりますよ。あなたはとても勤勉ですし、子どもの私の話もよく聞いてくださいますから」
「それは当然です!!」
「ふふ。それが普通は難しいと思うのですが……あなたらしさも忘れずに続けてくださいね」
「っ、は、はい! ありがとうございますぅぅぅっ!」
泣いた。
コウヤは、相変わらず大袈裟だなと苦笑気味に激励しておく。
「今日はお昼も楽しみにしていますね」
「お任せください!! お夕食もどうぞ!」
「そうですね……お願いしても?」
「もちろんです!! し、失礼します!」
料理長はそのまま飛び出して行った。仕事に打ち込めるのはいい事だ。
「コウヤ兄さま、お夕しょくもいっしょにできるんですか! とまっていかれますか!」
「泊まるのはまた今度にしますね。明日は仕事がありますし」
「ざんねんです……」
本当に残念だと、分かりやすく落ち込むリルファムの頭を撫でる。
「それに、私が泊まると……色んな所に支障が出るので」
チラリと天井へ目を向ける。すると、シンリームは気付いたようだ。
「そういえば、騎士達も緊張すると言っていたね。コウヤくんが泊まると、何かあった時に神官さん達にお仕置きされるとか何とか」
「考え過ぎだと思うんですけどね」
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「でも、いつでもとまってください! いっしょにねたいです!」
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「はい! これで父上にもうじまんさせずにすみます!」
「え?」
機嫌良く笑いながらケーキを食べるリルファム。どういうことだろうと首を捻れば、シンリームが答えた。
「コウヤくんのお家に泊まったって、自慢されるんだよ。一緒にお料理して、一緒に寝たって」
「ああ……なるほど」
「私も、この前せっかくユースールに行ったのに、叔父上と町の視察で終わってしまったからね……泊めてもらおうと思ったのに」
「そういえば、そうでしたね」
レンスフィートに任せて、コウヤは普通に仕事をして過ごしていた。家にも案内しなかったのだ。
「今度は絶対に泊めてね? コウヤくんのお家、とっても気になるし」
「はい」
「ズルいです! コウヤ兄さま、わたしも!」
「はい。でも、普通ですよ?」
「それがしりたいんですっ」
「それが知りたいな」
そんな様子を、教師達は目を丸くして見ていた。そして、今ならばとヤクスが口を挟む。
「仲がよろしいのですね……」
それはどの教師達も言いたかったようだ。
「殿下方がご一緒にお話をされるというのも、我々には驚きだったのですが……」
リルファムとシンリームが一緒にというのは、ずっと避けられていたことだった。カトレアは過激で、シンリームはそのカトレアが言うがまま。幼いリルファムを近付けるなど、絶対にしてはならないことだった。
それが、突然変わった。教師達はこれ以上ないほど驚いたようだ。
「状況は変わりましたからね」
そうコウヤが口にすれば、ヤクスは気付いた。
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その視線は真っ直ぐにコウヤを見据えていた。
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