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伯爵12
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伯爵の屋敷に初めて警察の手入れが入った。賭博容疑で15人が逮捕された。その時初めてこの屋敷の地下室に入った。いや地下室と言うより地下への通路と言った方がよい。使われていない便所の一室が地下への扉になっている。
「話してあげなさい」
地下室で晩餐をしているとき伯爵が黒揚羽に行った。
「ここは昔服部の屋敷があったのよ。私は半蔵に捕まってここに3年ほど暮らしていたの。ここはもうこの広がりしか残っていないけど、江戸城まで繋がる通路があった。何かあった時にここから将軍が逃げると言うの。その出口が服部の屋敷になっていた」
私と総司が頷いて聞いている。伯爵はワインを飲んで蜘蛛と川路のことを話している。今回の手入れをしたのは川路だ。斎藤一は単独で見張っているようだ。
「黒揚羽もトラベラーと聞いているけど?」
「トラベラーかどうか知らないわ。ある時平安時代の中に巫女として現れた。これは今でも記憶が薄いのだけど元々大陸から来たの」
「今の時代まで生き続けてきたの?」
「自分では生まれ変わるのが気づかないのよ。伯爵は一つの周期があると言うけどね」
「私も死んだら生まれ変わるの?」
「分からないね。だが私は平安からの記憶はしっかり残っている」
いつの間にか蜘蛛の姿がない。その代り源内が座っている。
「黒揚羽、西郷殿の死相を見てくれ?」
と伯爵に言われて黒揚羽は話を止めて、
「私の見た限り生命線は弱いです」
「源内と同じ見立てだな。やはりここで薩長は袂を分かつがこれに西郷殿が巻き込まれるか?こういう時の運気を変えるのは?」
「定めですから難しいですね?」
「定めか?」
「そうです。時間の割れ目に入るのも定めです」
これは私と総司に向かって言ったようだ。
「話してあげなさい」
地下室で晩餐をしているとき伯爵が黒揚羽に行った。
「ここは昔服部の屋敷があったのよ。私は半蔵に捕まってここに3年ほど暮らしていたの。ここはもうこの広がりしか残っていないけど、江戸城まで繋がる通路があった。何かあった時にここから将軍が逃げると言うの。その出口が服部の屋敷になっていた」
私と総司が頷いて聞いている。伯爵はワインを飲んで蜘蛛と川路のことを話している。今回の手入れをしたのは川路だ。斎藤一は単独で見張っているようだ。
「黒揚羽もトラベラーと聞いているけど?」
「トラベラーかどうか知らないわ。ある時平安時代の中に巫女として現れた。これは今でも記憶が薄いのだけど元々大陸から来たの」
「今の時代まで生き続けてきたの?」
「自分では生まれ変わるのが気づかないのよ。伯爵は一つの周期があると言うけどね」
「私も死んだら生まれ変わるの?」
「分からないね。だが私は平安からの記憶はしっかり残っている」
いつの間にか蜘蛛の姿がない。その代り源内が座っている。
「黒揚羽、西郷殿の死相を見てくれ?」
と伯爵に言われて黒揚羽は話を止めて、
「私の見た限り生命線は弱いです」
「源内と同じ見立てだな。やはりここで薩長は袂を分かつがこれに西郷殿が巻き込まれるか?こういう時の運気を変えるのは?」
「定めですから難しいですね?」
「定めか?」
「そうです。時間の割れ目に入るのも定めです」
これは私と総司に向かって言ったようだ。
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