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伯爵14
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最近は外出に伯爵は蜘蛛を連れて行っている。どこかに伝手を通して賭博の逮捕者は釈放された。再び賭博も開帳されている。総司は相変わらず稽古を欠かしていない。
「鼠来てくれ」
いつ戻ってきたのか伯爵が書斎の椅子に掛けている。
「西郷殿の顔は覚えているな?」
「はい」
伯爵は地図を出してきて見せる。
「遂に西郷殿は辞表を出した。これで大乱がおこるきっかけになると政府は思っている。今旧薩摩屋敷に留まっているが岩倉具視が鹿児島に戻るまでに暗殺を仕掛けると言う噂だ。川路の斎藤一とは別部隊だ」
「どうすれば?」
「今蜘蛛が旧薩摩屋敷を見張っているがもう限界だ。鼠はこの手紙を西郷殿に届けてほしいのだ」
「何が書いてあるのですか?」
「この屋敷に船が出るまで匿うのだ。すでに鼠と同時に博徒を20人選んでここまでの道筋に配置した。急ぐのだ」
私は黒装束を着こんで日が暮れるまでに旧薩摩屋敷にたどり着く。屋敷の周りは官服を着た警官が取り囲んでいる。正門では薩摩の兵といざこざが起こっている。
「鼠、こちらだ」
暗闇から声がした。蜘蛛だ。すでに裏木戸が開けられていて私はそこをにすべり込む。不思議に体が動くのだ。伯爵の手紙とは別に屋敷の見取り図ももらっている。薩摩の侍は表門を中心に1階を固めている。逆に2階は人の姿が見当たらない。廊下を抜けて西郷がいる部屋にたどり着く。そこで覆面を取って扉を開ける。
「伯爵のところの?」
覚えてくれていた。私は黙って手紙を出す。すでに話ができていたのか西郷は手紙を燃やすと立ち上がった。その時廊下で手裏剣が飛ぶ音がした。蜘蛛が黒装束と戦っている。私は西郷の前をはして階段を下りる。裏木戸を出ると警官は正門に集まっている。細い土壁の路地を入る。この角に白い鉢巻をした伯爵の博徒が守っている。
「鼠来てくれ」
いつ戻ってきたのか伯爵が書斎の椅子に掛けている。
「西郷殿の顔は覚えているな?」
「はい」
伯爵は地図を出してきて見せる。
「遂に西郷殿は辞表を出した。これで大乱がおこるきっかけになると政府は思っている。今旧薩摩屋敷に留まっているが岩倉具視が鹿児島に戻るまでに暗殺を仕掛けると言う噂だ。川路の斎藤一とは別部隊だ」
「どうすれば?」
「今蜘蛛が旧薩摩屋敷を見張っているがもう限界だ。鼠はこの手紙を西郷殿に届けてほしいのだ」
「何が書いてあるのですか?」
「この屋敷に船が出るまで匿うのだ。すでに鼠と同時に博徒を20人選んでここまでの道筋に配置した。急ぐのだ」
私は黒装束を着こんで日が暮れるまでに旧薩摩屋敷にたどり着く。屋敷の周りは官服を着た警官が取り囲んでいる。正門では薩摩の兵といざこざが起こっている。
「鼠、こちらだ」
暗闇から声がした。蜘蛛だ。すでに裏木戸が開けられていて私はそこをにすべり込む。不思議に体が動くのだ。伯爵の手紙とは別に屋敷の見取り図ももらっている。薩摩の侍は表門を中心に1階を固めている。逆に2階は人の姿が見当たらない。廊下を抜けて西郷がいる部屋にたどり着く。そこで覆面を取って扉を開ける。
「伯爵のところの?」
覚えてくれていた。私は黙って手紙を出す。すでに話ができていたのか西郷は手紙を燃やすと立ち上がった。その時廊下で手裏剣が飛ぶ音がした。蜘蛛が黒装束と戦っている。私は西郷の前をはして階段を下りる。裏木戸を出ると警官は正門に集まっている。細い土壁の路地を入る。この角に白い鉢巻をした伯爵の博徒が守っている。
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