夢の橋

夢人

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総司5

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 西郷と話したが岩倉との戦いは避けれそうにない。私と総司と蜘蛛は西郷の隣の部屋で寝ている。総司はわざと私の間に蜘蛛の寝床を作って自分は一番端に寝ている。私はここ連日西郷の農家の周辺を調べまわっている。ここは守っていてばかりでは駄目だ。何とかして暗殺団のアジトを見つけることだ。
 ちょうど3日目に城下の居酒屋で薩摩弁を話さない男たちの情報を得た。明治になって薩摩弁にこだわることは少なくなったようだが目立つ。私は夕刻からもう3時間も焼酎を飲んで居酒屋の壁にもたれている。入ってきた。5人連れの男が長椅子に向かい合って座る。彼らは酒を頼んでいる。
「前回は薩摩の藩士に邪魔されたが、今度は西郷が住む農家を襲う」
 それほど大きい声ではないが私は鼠として聴力がいい。
「薩摩の藩士は定例に集まる日がある。この日を狙うために交代で農家の周辺を調査している」
 どうも5人ずつがチームになって行動しているようだ。話では4チーム23人が暗殺団として送られてきたようだ。あくまでも西郷の暗殺が目的だ。どうも話の様子では蜘蛛や総司は薩摩の藩士に埋もれている。私は粘りに粘って彼らが店を出るまで飲み続けた。
 これだけの人数がどこにいるのか。ホテル、旅籠など可能性のある場所はすべて探した。これだけの人数を匿う薩摩の官吏は見当たらない。それで隠れ隠れ5人連れを付ける。さすがにこの時間は人通りが少ない。大通りに出てまっすぐ歩く。正面に大きな建物が見える。
 なるほど、この手があった。川路は鹿児島の警察の寮をアジトに使ったのだ。私は持って来た黒装束に着替え官舎に忍び込む。廊下で5人連れが出て来た男と言葉を交わす。
「隊長が会議室に集まれと言うことだ」
 私も後ろを付けてだだ広い会議室の暗がりに潜む。前の方に男が立っていて22人が並んでいる。この男が隊長だ。
「5日後の未明だ。薩摩の藩士はすべて出仕で夜から警護がおらくなる。それと朝から農家の周辺に警察を百人出して出入りの取り締まりわしてもらう」








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