夢の橋

夢人

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総司15

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 また私は暗殺団の見張りだ。だがここは適当な建物がない。仕方なく夜のうちに屋敷の大屋根から天井裏に潜る。半月は潜っていれる忍者の食糧を蜘蛛から貰った。水だけは便所の水を夜のうちに貰う。
 暗殺団は最近は3つのチームに分かれて朝から出かけていく。大部屋に残っているのは義足の隊長だけだ。今日は警察の幹部らしい男が訪ねてきている。
「大総監から指示を受けていますが、皇居でことを起こすのは難しいです」
 彼は皇居警備の隊長のようだ。
「それに警察すべてが川路派ではないのです」
「侍従長はどこに住んでいる?」
「皇居内で独身です」
「皇居内か?」
「でも彼は3時には1時間ほど皇居を出てカフェでコーヒーを飲む癖があります」
「それは分かるか?」
「ドルフィンと言う店で皇居の職員が使います」
「では帰る時間帯警備はこの通用口を封鎖できるか?」
「はい。手を打ちましょう」
「では明日だ」
 その夜、隊長は戻て来た暗殺団を集めて酒盛りの中で明日の話をした。それを聞き出して私は隠れ家に戻る。それで蜘蛛や総司と対策を練る。
「私達で警備は足らない。黒揚羽も入れよう。警備までには伯爵にも報告をしておこう」
 だがこちらは怪我人の続出だ。私も蜘蛛もまだ完全な動きができない。
「私が頑張るよ」
 総司が剣を握った。




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