夢の橋

夢人

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幕末の終わり12

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 今日は伯爵がたかを連れて色町に出かける。今回は私が伯爵に人力車の付き添いを申し入れた。色町に行くときはたかは屋敷を出てから途中で乗り込むのだ。さすがに伯爵もたかも何も言わない。人力車が出ると前を総司後ろに私が着く。祇園に入ると総司と私は店の生垣に座って5時間待つ。
 鼠は徳利から酒を注いで総司に渡す。陽が落ちるとさすがに寒い。総司は手を懐に入れている。剣をいつでも使えるようにしている。
「だが抱かれている番は辛いな?」
「私は気にならない。鼠は向こうでは誰か抱いたとことがある?」
 最近は総司は向こうのことをよく話をする。
「同僚の年上の女を抱いたことがある」
「好きなの?」
「いや、好きだと言う感情はなかった」
「好きでなくても抱けるのだ?」
「だが好きな人を抱きたい」
 その時玄関から思ったより早く伯爵とたかが出てきた。人力車が前に止まってたかが乗り込む。伯爵はゆっくりと背中を見せて乗り込む。そこに旋風のように走り込んでくる男がいた。一人めに思わず小刀を抜いた私がぶつかる。だが何と後ろに重なるようにもう一つ影が見えた。不味い!
 だがその影を総司が一閃で切った。総司は残心で構えている。その視線にあの原田左之助が立っている。抜いてくるのか。
「一に聞いたがお前はあの総司ではないが強いと聞いていた。やはり次は私が相手になる。俺は道場では総司に一度も勝てなかったが、一は真剣で戦った怖さを知っている。楽しみだ」
と言うと背中を見せて去っていく。
 私は倒れていてたかに抱きかかえられて人力車に乗せられ運ばれる。どうも相打ちだったようだ。僅か私が体をひねった分傷は浅いようだ。珍しく総司が脇腹に薬を塗って包帯を巻いてくれた。








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