夢の橋

夢人

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夜明け前20

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 伯爵が岩倉と会う段取りをした。新聞社の発刊処分の取り消しだ。各方面に手を尽くして大元の岩倉と会うことになったようだ。その馬車に私と執事が付くことになった。総司と蜘蛛は周辺の道に姿を隠している。馬車が官邸に入ると警備の警官が飛び出してくる。執事が前に私は風呂敷を持って後ろに着く。
「来たか?」
「久しぶりですね?」
 伯爵が椅子に座る。私は風呂敷を開けてみあげ物を机に置く。4人の警備の男が壁に立っていて副官の男が危険物のようにみあげを持ち去る。
「発刊処分の取り下げですな?枢密院長からも申し入れがありましてはな?明日からでも再開をしていただいても」
 何とも拍子抜けだ。これは危険だ。帰り殺してしまえばと言う空気が流れている。僅か四半刻の会談だ。外を出ると警官に反対側の路地を迂回することを伝えられた。この道は蜘蛛も総司もいない。急に矢が飛んできて御者が馬車から落ちる。執事の孫六は剣を抜いて払い落とす。伯爵が短銃を構える。私は扉から入ってきた男に飛びかかる。
 路地に降りて来たのはあの5人の男達だ。すべてが剣を抜いている。完全に暗殺をする気だ。私は地面に転がって馬車に飛び乗る男の足に短刀を刺す。孫六は鮮やかに飛び降りると2人に切りつける。伯爵の短銃と同時にもう一発なった。剣を突き入れた男を伯爵が撃ったが、伯爵はよろけて馬車から落ちた。壁の上に黒い影が見えた。
 その時に笛が鳴って警官が5人走ってきた。先頭に一がいる。一は前の2人の剣を払い落とす。
「引き揚げろ!」
 女の声だ。だがその女は官邸の中に飛び降りる。男達も官邸の裏木戸に消えている。
 執事は伯爵を抱き起している。背広の肩から血が滲んでいる。
「傷は浅い。斎藤一君だな?ありがとう」
「すべて元の巣に入ってしまいましたから」
 捕まえられないと暗に伝えた。ようやく蜘蛛と総司が駆けつけてきた。





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