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《斗真site2》

 知らなかったとはいえ、毎日蒼生の作ったおいしい飯を食っていたんだ。

 それが毎日コンビニ飯に変わり、始めは良かった。でももう限界だ。

   蒼生の作った飯に胃袋を掴まれているんだ。

 禁断症状が出始めた。

 無性に蒼生の作った飯が食べたくなり、何を食べてもおいしく感じなくなった。

 そんな時入ったファミレスの食事が蒼生の作った味に似ていたのでそこで何回かは食事をしたが、毎回蒼生の味にあたるとは限らなかった。

 それでも当たったらラッキーと思い何回もかよった。

 ある日、十時ちょっと過ぎにファミレスから出るとあのスレンダー美人が今から帰るところなのか制服のままお店の裏口から出てきた。

 俺は迷わず声をかけた。

 「こんばんは、ここでバイトしてるの?」

 びっくりさせてしまったらしく持っていたカバンをおとしてしまった。

 「えーと……どちら様ですか?」

 「俺は久賀 斗真、最近毎日学校の前で西田蒼生が出てくるのを待ってるんだ」

 「そうなんですか、でも彼女遅くまで残って勉強してから帰りますよ」

 「そうなんだ。今から帰るの?遅いから送ろうか?」

 下心ありありで聞いた。

 こんな機会でもないと話しかけられない。もう少し一緒にいたいし、話したい。

   「ありがとうございます。でも近いので大丈夫です」

   すげなく断られたが俺は諦めなかった。

   その日から毎日ファミレスの前で待ち伏せした。

 「斗真さんは毎日きてくれますけど、お家ではご飯食べないんですか?」

 「毎日作るのは無理、自分だけならいいけど作った挙句味が違うと言われた日にはぶん殴りたくなる」

   「大変ですね」

   「おかげで目が覚めたんだ。小さい頃から好きでようやく彼女になってくれて、浮かれてた」

   未だに名前も教えてもらえないが、どう言うわけか話しやすく色々と話してしまった。

   それでも嫌な顔ひとつせず話しを聞いてくれる彼女に惹かれていったことに変わりない。

   「斗真さん、彼女さんが迎えに来ましたよ。あたしもこれ以上遅くなると寮長に叱られるので失礼しますね」

   叫びたかった。

   彼女じゃないと、別れたと。

   今惹かれているのはあなたなんだとは言えなかった。
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