【完結】彼女が18になった

チャフ

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俺と彼女と営みの巣

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『湊人……喋る事終わったならそろそろ、電話切る?』

(しまった。しばらく無言でいたから夏実にまた気を遣わせてしまったじゃないか!)

「あぁ、えっと………夏実は、もう眠いよな?いつもならもう寝てる時間だし」
『うん……確かに眠い』

(喋る事ないなら通話を切った方がいいんだろうが、この流れだと夏実は本気で寝るなぁ。声もトロンとしていて、いかにも眠そうって感じだ)

 ここで通話切って「ハグしたい」なんて言ったら夏実にも、ゲーム終えて帰ってくる晴美さんにも迷惑かかるだろう。

「だよな、眠いよな。じゃあ……切ろうかな」

 でも、俺はこの気持ち抱えたまま眠るのか?眠れるのか?……そう思うと、通話を切るなんて出来なくて。

『うん……明日の予定、出来たし。寝ないといけないよね?』
「まぁ、予定は夕方からだから朝はのんびりしていい訳だけど」
『あ、そっか。早起きする必要ないんだよね?』
「そうそう。だから、夜更かししても平気……では、あるかな。夏実が眠たいなら、電話切るけど」
『湊人は疲れてるんじゃない? 眠くないの?』
「眠くは……ない、かな。まだ」

 夏実の方から「通話切ってほしくない」って言ってくれないかな……と、そんなワガママな気持ちが湧き上がってくる。既に俺の方は遠回しに「通話切りたくない」とは言ってるつもりなんだけど、夏実も出来れば同じ気持ちでいてほしい。

 眠いんだろうし迷惑だろうけど、言葉だけでも俺を今求めてほしいって悪い気持ちばかりが俺を支配する。
 だったら隣家に行けばいいって、そんな単純な話なのに。俺は本当にずるい男だ。

「寝る前にさ、もうちょっと……俺の声、聞く?」

 狡いまま、更に狡い事を夏実に訊いてしまう。

『え?』
「だって夏実は、俺の声……Hで、好きなんだろ?」

 俺はあの時ラブホでした、耳元の囁きを思い出した。
 俺の「大好き」や「愛してる」で身体を震わせた、なまめかしくも可愛らしい夏実の発情した息遣いを。
 俺の囁きですっかり顔や脳を蕩けさせて、俺の肉棒を奥まで欲しがった夏実の姿を……。

「夏実は今、聞きたくない? 俺のHな声で、気持ちよくなりたくない?」

 もうここまで言ってしまってるなら、直接的な表現で夏実をその気にさせてやればいいのに。俺は狡猾こうかつで馬鹿な男だ。

『そんな事言われたら……ちょっと、そんな気分になっちゃうよ』

 彼女の声色につやが出てきた。

「そんな気分って、どんな気分?」

 内心喜びながら、俺も俺で、夏実が蕩けてしまいそうな落ち着いたトーンで喋りかける。

『どんなってそんなの……湊人の声が、とってもセクシーだから』
「今、俺の声がセクシーだと夏実はどうなってしまうのかな?」
『直接言うの、恥ずかしいよぅ』

 俺は舌先で唇をじわじわと湿らせながら喜んだ。
 直接言うのを躊躇ためらっていながらも、夏実の気持ちは揺らぎながらもこっちへ大きく傾いているのが分かったからだ。

「恥ずかしくて言えないなら、もう寝ちゃおっか。電話を切って、今夜はもうおやすみだね」

 だから、狡い俺はこのタイミングで意地悪な態度に出た。

『え? 切っちゃうの?』

 夏実のドキドキしてる気持ちが声によく表れていると、俺の耳は判断して

「セクシーな声で夏実がなんともならないのなら、俺はもう喋る事ないし」

 更に意地の悪い言葉をかけて、夏実をあおる。

『やだぁ♡ セクシーな湊人の声でぇエッチな気分になってめちゃくちゃ気持ち良くなってから寝るぅ♡』

 その煽りが成功して夏実が陥落したと知り、俺は無意識にガッツポーズを取った。

「じゃあ、気持ち良くなろっか……」

 そう言いながら、俺も俺でティッシュの箱を引き寄せ、ボクサーパンツの中から棒を露出させる。

『気持ち……良く?』
「今から夏実に『好き』って言うから、エッチな気分になった夏実はもっと気持ち良くなりそうな部分を触りながら俺に『好き』って言い返して」
『身体の中で、触ったら気持ち良くなる部分を触りながら湊人の好きを聞いて、私も好きって言えばいいんだね』
「そうだね、そうしたら俺も自分の気持ち良い部分触りながらまた好きって言い返すから」
『分かったぁ』

 端的に言えば俺の提案は「相互エッチ」や「テレフォンセックス」に値するのだろうが、夏実はあまりその事に気付いてないのかもしれない。恥ずかしがる事なく「分かったぁ」と無邪気な彼女の声色から俺はそう判断する。

「じゃあ……始めるよ」

 今からする行為がそれなりに変態性を含んでいると気付かない夏実にしたのはこの俺だ。
 普通の30男じゃエロを少しも察せない女は物足りなく感じるかもしれないが、俺にとってはそれで充分幸せだし嬉しかった。

 気持ち良い、心地良いの感覚は人それぞれだ。
 俺は単純に棒を手で弄る行為を開始するが、正直夏実は身体のどの部分を触ってもらっても構わないと思っている。
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