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【追加エピソード③】美味しい桃の食し方(side静華)
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「汁こぼしてもいいけど、一応器に入れとくね」
本当はくし形にカットして盛り付ける為に食器棚から出したガラス製の深皿に丸のままの桃をコロンと乗せて、みなとっちに差し出すと
「サンキュ」
ってみなとっちは目を細めて嬉しそうな表情をして、ウッドデッキへと歩を進めた。
私が窓を開けてみなとっちにクッション渡して座らせたら、私もその傍らに座ってその横顔をジッと見つめる。
「食べる姿を凝視するな」と怒られるかと予想したけれど、みなとっちは私の強い視線なんかお構いなしに二個目の桃に歯を立てた。
食べ方は一個目と同じ。でも、観察する距離がさっきよりグッと近くなっている。
至近距離で目に入れるみなとっちのキラキラ輝く口元や舌遣いは……婚約してるなつこちゃんにこんな表現使っちゃいけない気もするんだけど、すごくすごくエッチで、みなとっちの顔と毎晩妄想していたものとが重なって……混ざって溶けていくような感覚がした。
私ね、寂しさを言い訳にしてタバコ吸ってた上に、1人エッチにどハマりしてたの。
毎晩下半身が疼いてて、濡れた部分を弄って、2~3回イっちゃってからじゃないと寂しさで当時は眠れなかった。もう高2なのにね、子どもみたいよね私って。
その時ちょうどハマっていた妄想がね、男の人が女の人のエッチな部分を無心に舐めているシーン。
互いの顔が見えてない状態で、それがみなとっちとも私とも限定しないの。それがまた良くって余計に興奮して……私は無心に右手を動かしてエッチな部分からとろみのある液体を幾度となく垂れ流すの。
……そんな、毎晩やってる私の恥部が目の前のみなとっちと重なって
混ざって、溶けて、私の脳を単純にさせていって。
「ねぇ、みなとっち」
ガラスの器で受け止めていた桃の果汁を最後にごくりと飲み干して、空になった器に桃の種をカランと音を立てて落とした男の横顔を私は見つめながら……その名前を呼んだ。
「ごちそうさん」
私の呼び掛けに反応してるのか定かではない状態で、口から蜜を一筋垂らしながらみなとっちが私に使用済みの器を寄越してくる。
「ご馳走さま、しないでよ」
一応器を受け取ったけど、それを片付ける事なく、みなとっちの顔を見つめたままで私達の背後に追いやって
「今度は、私を食べてくれない?」
勇気を出して、みなとっちに言ってみる。
「……は?」
私の言葉に、みなとっちはまた険しい顔つきになった。
桃の時と正反対の表情に私の胸は、産毛が刺さったかのような鈍い痛みがして……
「彼女、デートドタキャンしてきたんでしょ? こんな炎天下で、みなとっちは何時間待っていたの?」
アブラゼミのけたたましい鳴き声が一層外の暑さを掻き立てていて、私の目にも、みなとっちの顎にも、色んなものが混じり合った汗が浮かび……零れ落ちる。
本当はくし形にカットして盛り付ける為に食器棚から出したガラス製の深皿に丸のままの桃をコロンと乗せて、みなとっちに差し出すと
「サンキュ」
ってみなとっちは目を細めて嬉しそうな表情をして、ウッドデッキへと歩を進めた。
私が窓を開けてみなとっちにクッション渡して座らせたら、私もその傍らに座ってその横顔をジッと見つめる。
「食べる姿を凝視するな」と怒られるかと予想したけれど、みなとっちは私の強い視線なんかお構いなしに二個目の桃に歯を立てた。
食べ方は一個目と同じ。でも、観察する距離がさっきよりグッと近くなっている。
至近距離で目に入れるみなとっちのキラキラ輝く口元や舌遣いは……婚約してるなつこちゃんにこんな表現使っちゃいけない気もするんだけど、すごくすごくエッチで、みなとっちの顔と毎晩妄想していたものとが重なって……混ざって溶けていくような感覚がした。
私ね、寂しさを言い訳にしてタバコ吸ってた上に、1人エッチにどハマりしてたの。
毎晩下半身が疼いてて、濡れた部分を弄って、2~3回イっちゃってからじゃないと寂しさで当時は眠れなかった。もう高2なのにね、子どもみたいよね私って。
その時ちょうどハマっていた妄想がね、男の人が女の人のエッチな部分を無心に舐めているシーン。
互いの顔が見えてない状態で、それがみなとっちとも私とも限定しないの。それがまた良くって余計に興奮して……私は無心に右手を動かしてエッチな部分からとろみのある液体を幾度となく垂れ流すの。
……そんな、毎晩やってる私の恥部が目の前のみなとっちと重なって
混ざって、溶けて、私の脳を単純にさせていって。
「ねぇ、みなとっち」
ガラスの器で受け止めていた桃の果汁を最後にごくりと飲み干して、空になった器に桃の種をカランと音を立てて落とした男の横顔を私は見つめながら……その名前を呼んだ。
「ごちそうさん」
私の呼び掛けに反応してるのか定かではない状態で、口から蜜を一筋垂らしながらみなとっちが私に使用済みの器を寄越してくる。
「ご馳走さま、しないでよ」
一応器を受け取ったけど、それを片付ける事なく、みなとっちの顔を見つめたままで私達の背後に追いやって
「今度は、私を食べてくれない?」
勇気を出して、みなとっちに言ってみる。
「……は?」
私の言葉に、みなとっちはまた険しい顔つきになった。
桃の時と正反対の表情に私の胸は、産毛が刺さったかのような鈍い痛みがして……
「彼女、デートドタキャンしてきたんでしょ? こんな炎天下で、みなとっちは何時間待っていたの?」
アブラゼミのけたたましい鳴き声が一層外の暑さを掻き立てていて、私の目にも、みなとっちの顎にも、色んなものが混じり合った汗が浮かび……零れ落ちる。
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