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彼女らしいこと
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しおりを挟む「えっ? 4限が休講??」
6月下旬のとある日。
突然14時30分からの授業が休みになった。
「やったー! 今日は3限で終わりぃ!!
ねー、ますみん! 3限終わったら人気のスイーツ食べに行かない?」
驚く私とりょーくんをよそに藤井くん1人だけがテンション爆上げで真澄をデートに誘おうとしてて……
「やだ!! 妖怪引き連れて行くなら朝香と行った方が楽しいものっ!!」
と、真澄が藤井くんの誘いを断り、私の腕に自分の細い腕を絡める。
「えーっ! 俺も一緒に行っちゃダメなヤツ?ありよりのあり?」
「ガールズトークしたいんだからダメに決まってるでしょ。なしよりのなしよ!!
ねー朝香っ♪ こういう事なかなかないからちょっと遊ぼうよ♡」
真澄は藤井くんに塩対応しつつ、私にベタベタして甘えた声を出していた。
「笠原くん……私……」
(いつもならこういう時、りょーくんのバイクで一緒に帰って普段よりも長めに私の部屋でイチャイチャハグする事になるんだろうけど……)
「行ってきなよ。村川さんは大学とバイトで忙しくて、矢野とのんびり過ごす時間持ててないから」
と、りょーくんは私に優しく微笑んでくれる。
「さっすが亮輔くん♪ 私が朝香といっぱい喋りたい気持ち抱えてるの察してくれてんのね♡」
「ありがとう笠原くん。アパートには16時過ぎくらいに一度戻る……」
「いやいや、アパートに戻る時間がもったいないよ。ギリギリまで矢野と一緒に居て、それで直接バイト行けばいい」
「やった!! 思ったより朝香と長く居られる♪」
りょーくんの提案に真澄がめちゃくちゃ喜んでいて、藤井くんが今度はりょーくんのシャツの裾をグイグイ引っ張り
「じゃあ笠原と俺がデートって事で、バイクの後ろ乗っけて♪」
と、りょーくんに甘え声を出していたんだけど
「断る! ちょっとバイク走らせたいし」
と、やはりりょーくんも藤井くんに素っ気ない態度を取っていた。
「バイク走らせたいし……かぁ」
りょーくんと藤井くんのやり取りを見ながら、私はポツリと呟く。
「男だもん、1人の時間持ちたい時くらいあるでしょ!」
私の呟きに、真澄はそう言って絡めたままの腕をブンブン振ってみせた。
「そっかぁ」
りょーくんと付き合って2ヶ月。
確かに「2人の時間が合えば一緒に過ごすのが当たり前」って気持ちで居たけど、時にはそういう過ごし方をした方が男性にとっては良い……という事を学んだ。
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