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雨のように降り注ぐ愛を、受け止める
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「ねぇ、太ちゃん。少しは癒す事出来たかな?」
僕も花ちゃんもアイスを食べ終えたタイミングで、花ちゃんは僕の手を取りソファに横並びで座るよう指示される。
「……うん」
花ちゃんの顔を見ながら僕は隣に腰掛け、握られた手に目線を移す。
彼女の綺麗なミントグリーンのスカートを背景にし、僕と花ちゃんの指が絡まり合いしっかりと繋がれている様子が視界に入った事で、彼女が今日この場でこの色のスカートを選んだ理由を察した。
「花ちゃんのおかげでリラックス出来たし、落ち着いて話出来そうだから、約束通りちゃんと話すね。
結構長い時間になっちゃうけど、それでも花ちゃん平気?」
「平気だよ、太ちゃんの全てを受け入れる覚悟は出来たから」
僕は目線を花ちゃんの顔の方へと位置を戻し、僕が花ちゃんの事を好きになった経緯やflavorさんのウェブ小説の話から始めた。
花ちゃんが凌太と付き合い、可愛い笑顔を振り撒くようになってから花ちゃんの女性的魅力に気付き惹かれた事。
姉を好きになるという誰にも言えない悩みを抱えている時に出会ったのがflavorという人が書いたウェブ小説だった事。
すぐに小説の物語に夢中になり、flavorさんの紡ぐ文字に陶酔し「flavorさんに会って話をしてみたい」という屈折した想いを抱いたが故にネットストーキングし、高2で本人に辿り着き直接会いに行った事。
「…………」
最初は普通に話を聞いてくれていた花ちゃんだったけど、当然の事ながらこのネットストーキングの辺りから表情が曇りだす。
「これ以上語ったら嫌われるんじゃないか」と躊躇ってしまいそうになったけれど、彼女との約束は果たさなければならないとすぐに思い直して話を続けた。
「……直接会いにいったflavorさんはね、幸せな結婚式を挙げた既婚者であっても寂しさや虚しさを抱えている女性が多い事から、女性用風俗店を立ち上げその経営者となっていたんだ」
「寂しさや虚しさ?」
「flavorさんはね、希望に満ち溢れた幸せな結婚式を挙げたんだけど、現実はとても辛くて苦しかったらしいんだ。結局flavorさんは離婚して何もかも捨てて……生まれ育った土地から離れて一から人生を再スタートさせたんだけど、同じ境遇の女性はやはり救いたいと思ったみたい。
それで作ったのが『浮気や不倫にあたる行為はしない代わりに経営者の飼い犬達が癒しを与えますよ』っていうコンセプトで舐め犬行為をする店だったんだ」
花ちゃんは僕の「舐め犬」の言葉に肩をピクッと震わせた。
その反応で不安に駆られた僕の手を、花ちゃんはすぐにキュッと握り返し……
「……だから、ワンコの『タイチ』……だったんだね」
と、何かを噛み締めるようにゆっくりと言葉を発したから
「ごめん」
と、小声で謝る。
花ちゃんは完全に僕から目線を逸らし、細かく震わせながら
「あれは……タイチが私にしてくれていた行為は……お店でしている事を、そのまま?」
花ちゃんのその質問に対しても僕は正直に返答する。
「未成年だから粘膜に触れてはならないって約束事はあったし、花ちゃんにした事全てそのままって訳じゃないけど……でも、お客様の肌にキスは、してた」
れっきとした「舐め犬」ではなかったけれど、身の潔白を証明できるほどではない。
僕も花ちゃんの顔が見れずに繋がれた手の方へ頭を落とした。
「そっか……あれは……私の脚にキスしてくれたのは……そういう事だったんだ」
「ごめんね、花ちゃん」
「ううん、覚悟してたからあまりショックは受けないつもりでいたけど、でもやっぱり気持ちが追いつかない……かな」
「ごめんなさい」
花ちゃんが言わなくたってショックを受けているのも分かるし、僕に対してガッカリしているのも分かる。
僕が花ちゃんの立場だったら、同じような気持ちに陥るだろう。
あのクリスマスの夜にした行為で花ちゃんの気持ちが僕へと大きく傾いたのだとしたら、僕が彼女の知らないところで日常的に他の女性を舐めていたという事実は「単なる仕事」に映らないと想像するから。
「でも、実際私も気持ち良かったし……癒されたし。ただ、あれが『太ちゃんの仕事の姿』だとしたら……なんか、まぁ『そうだったんだなぁ』って思うしかないよね」
呟くようにそう言った彼女に僕は咄嗟に
「僕を嫌わないで、花ちゃん」
と言ってしまった。
「え?」
咄嗟の反応に互いの目が合う。
「あ……ごめん」
「ううん、こっちこそごめんね。話を続けて?」
想像していたよりも、彼女の表情は和らいでいた。
「うん……話すね」
「うん、ちゃんと聞きたい」
僕はまた彼女の温かな愛を感じ取り、話を続ける。
僕も花ちゃんもアイスを食べ終えたタイミングで、花ちゃんは僕の手を取りソファに横並びで座るよう指示される。
「……うん」
花ちゃんの顔を見ながら僕は隣に腰掛け、握られた手に目線を移す。
彼女の綺麗なミントグリーンのスカートを背景にし、僕と花ちゃんの指が絡まり合いしっかりと繋がれている様子が視界に入った事で、彼女が今日この場でこの色のスカートを選んだ理由を察した。
「花ちゃんのおかげでリラックス出来たし、落ち着いて話出来そうだから、約束通りちゃんと話すね。
結構長い時間になっちゃうけど、それでも花ちゃん平気?」
「平気だよ、太ちゃんの全てを受け入れる覚悟は出来たから」
僕は目線を花ちゃんの顔の方へと位置を戻し、僕が花ちゃんの事を好きになった経緯やflavorさんのウェブ小説の話から始めた。
花ちゃんが凌太と付き合い、可愛い笑顔を振り撒くようになってから花ちゃんの女性的魅力に気付き惹かれた事。
姉を好きになるという誰にも言えない悩みを抱えている時に出会ったのがflavorという人が書いたウェブ小説だった事。
すぐに小説の物語に夢中になり、flavorさんの紡ぐ文字に陶酔し「flavorさんに会って話をしてみたい」という屈折した想いを抱いたが故にネットストーキングし、高2で本人に辿り着き直接会いに行った事。
「…………」
最初は普通に話を聞いてくれていた花ちゃんだったけど、当然の事ながらこのネットストーキングの辺りから表情が曇りだす。
「これ以上語ったら嫌われるんじゃないか」と躊躇ってしまいそうになったけれど、彼女との約束は果たさなければならないとすぐに思い直して話を続けた。
「……直接会いにいったflavorさんはね、幸せな結婚式を挙げた既婚者であっても寂しさや虚しさを抱えている女性が多い事から、女性用風俗店を立ち上げその経営者となっていたんだ」
「寂しさや虚しさ?」
「flavorさんはね、希望に満ち溢れた幸せな結婚式を挙げたんだけど、現実はとても辛くて苦しかったらしいんだ。結局flavorさんは離婚して何もかも捨てて……生まれ育った土地から離れて一から人生を再スタートさせたんだけど、同じ境遇の女性はやはり救いたいと思ったみたい。
それで作ったのが『浮気や不倫にあたる行為はしない代わりに経営者の飼い犬達が癒しを与えますよ』っていうコンセプトで舐め犬行為をする店だったんだ」
花ちゃんは僕の「舐め犬」の言葉に肩をピクッと震わせた。
その反応で不安に駆られた僕の手を、花ちゃんはすぐにキュッと握り返し……
「……だから、ワンコの『タイチ』……だったんだね」
と、何かを噛み締めるようにゆっくりと言葉を発したから
「ごめん」
と、小声で謝る。
花ちゃんは完全に僕から目線を逸らし、細かく震わせながら
「あれは……タイチが私にしてくれていた行為は……お店でしている事を、そのまま?」
花ちゃんのその質問に対しても僕は正直に返答する。
「未成年だから粘膜に触れてはならないって約束事はあったし、花ちゃんにした事全てそのままって訳じゃないけど……でも、お客様の肌にキスは、してた」
れっきとした「舐め犬」ではなかったけれど、身の潔白を証明できるほどではない。
僕も花ちゃんの顔が見れずに繋がれた手の方へ頭を落とした。
「そっか……あれは……私の脚にキスしてくれたのは……そういう事だったんだ」
「ごめんね、花ちゃん」
「ううん、覚悟してたからあまりショックは受けないつもりでいたけど、でもやっぱり気持ちが追いつかない……かな」
「ごめんなさい」
花ちゃんが言わなくたってショックを受けているのも分かるし、僕に対してガッカリしているのも分かる。
僕が花ちゃんの立場だったら、同じような気持ちに陥るだろう。
あのクリスマスの夜にした行為で花ちゃんの気持ちが僕へと大きく傾いたのだとしたら、僕が彼女の知らないところで日常的に他の女性を舐めていたという事実は「単なる仕事」に映らないと想像するから。
「でも、実際私も気持ち良かったし……癒されたし。ただ、あれが『太ちゃんの仕事の姿』だとしたら……なんか、まぁ『そうだったんだなぁ』って思うしかないよね」
呟くようにそう言った彼女に僕は咄嗟に
「僕を嫌わないで、花ちゃん」
と言ってしまった。
「え?」
咄嗟の反応に互いの目が合う。
「あ……ごめん」
「ううん、こっちこそごめんね。話を続けて?」
想像していたよりも、彼女の表情は和らいでいた。
「うん……話すね」
「うん、ちゃんと聞きたい」
僕はまた彼女の温かな愛を感じ取り、話を続ける。
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