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85話

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さて、どうしましょうか。

先にジュリア様と鳥もちから救出してから話を聞くべきか。

それともそのままで聞くべきか........。

そう悩んでいると

「さっさと聞きたいことがあるなら聞きなさいな!」

とジュリア様は私のことを思いっきり睨みつけてきましたわ。

まぁ!そうやって睨みつける元気があるのならそのままでいいですわよね。

そう思った私は

「なんで、こんなことをしましたの?」

とジュリア様に聞いてみました。

すると

「なんで?だって、おかしいですわ!私の方が皇妃に相応しいですのに!」

そう言ってきたジュリア様の顔は目が血走っていて、勢いも凄かったのでなんだか恐怖すら感じてしまいましたわ。

一瞬、後ろに下がりそうになりましたが、足にぐっと力を入れて

「なぜそう思ったのです?」

と尋ねると、血走った目のまま

「そうに決まっていますわ!」

と何やら凄い自信です。

どこからそんな自信が湧いてくるのか教えて欲しいくらいですわね。

まぁ、ですが自分の方が皇妃に相応しいと思ったから、今回の訪問で何かしらの問題を起こして国に帰らせよう、という魂胆でしたのね。

それはもう.......浅はかな考えですわ。

こんなことくらいで国に帰るわけがありませんのに。

そう思うと、ジュリア様の努力がなんだか可哀そうで、笑ってしまいますわね。

つい、クスッと笑うと、ジュリア様はそれに気付いたようで

「何笑っていますの!?」

と私のことを怒鳴りつけてきましたわ。

あら、怖いですわね。

ですが、なんでこんなことをしたのか、というのは聞けたので後はもういらないですわ。

そう思った私は

「それで?自分の作戦が失敗したみたいですが、どうしますの?候補から消えます?」

と言って微笑むと、ジュリア様は私を睨みつけながらも

「そんなの.......私に選ぶ権利はありませんわ」

そう言って視線を逸らしました。

確かにその通りですわね。

こんなことをして候補に残れるわけでもありませんし。

まともな方だと思っていたので凄く残念ですわ。

と、ここで、ふと気になったことがありますの。

「なんでそんなに皇妃に執着していますの?」

ということですわ。

だって、こんなことをしてバレたら自分がどうなるかわかりませんのよ?

それなのに、こんなことをする、ということは余程皇妃になりたかったのかしら?

すると、ジュリア様は

「別に......皇妃に執着しているわけではありませんわ。皇帝の隣には私が相応しいと思っているだけですもの」

と言ってきましたわ。

あ、そっちですのね。

皇妃に相応しい、ではなくアルフレッド様の隣に相応しい、と思い込んでいる方ですか。

いるんですのよね。

このような勘違い令嬢。

なのでジュリア様には

「まぁ!相応しくないから選ばれていないのに、凄い自信ですわね」

そう言ってコロコロと笑うと、腹を立てたのか再び私のことを睨みつけていますわ。

皇妃になるのはアルフレッド様に相応しいから、ではなく、皇妃に相応しいからなるんですわ。

そこを勘違いしないで欲しいですわね。

哀れな格好のまま睨みつけてくるジュリア様に、ニッコリと微笑んで

「このまま実家に返されるか、このまま皇帝とお話して帰るか、どっちがお好みですの?」

そう言うと、さっきまでの勢いはどこかにいったのか、一気に顔色を変えてしまいましたわ。
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