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183話
しおりを挟むサーラ様の嘘の多さに呆れてしまいますわね。
これほどまで嘘をついてなぜバレないと思っているんでしょう?
そう思いながら、俯いたまま顔を上げる気配が一切ないサーラ様を眺めていると、グレン様の言葉に、今まで黙っていたアルフレッド様が急に口を開きましたわ。
「ちょ.....ちょっと待ってくれ!俺には皇帝の子供だから側室にしろ、と言ってきたんだぞ!?」
サーラ様のことを指さしながらそう言うと、グレン様は今日一の驚いた顔をして
「な、なんだと.......?」
と固まってしまっていますわね。
あら、やっとアルフレッド様も話をする気になってくれたみたいで安心しましたわ。
このまま私とグレン様しか話をしないのであれば、他3人は座っている意味がありませんもの。
なんて思っていると、アルフレッド様の言葉が信じられないのか、グレン様は私の方を見て
「それは本当なんですか?」
と聞いてきましたわ。
嘘だと言ってくれ、という強い思いが伝わってきているので、出来ることならアルフレッド様の言葉は嘘です、と言いたいところですが.......ここで余計に面倒なことになるのは嫌なので
「えぇ、本当ですわ。ブリントン侯爵家から急に連絡があって、アルフレッド様の子供を妊娠したから側室にして欲しい、と言われていたんです」
そう言って、アルフレッド様に
「そうですわよね?」
と同意を求めると、真剣な顔をして頷いてくれたので、グレン様も本当なんだ、とわかってくれたでしょう。
はぁ.....話をしたらすぐにバレる様な嘘をついて、ブリントン侯爵も何がしたかったんでしょうね?
少し話をしただけでもグレン様が、サーラ様のことを離すわけがない、とわかりますわよ。
これは、事実を聞いてグレン様も怒りどころか絶望に変わってしまうでしょうね。
そう思っていると、案の定グレン様は椅子に座ったままですが
「そんな.......」
とだけ呟いて項垂れてしまっていますわ。
うーん......なんて声をかけていいのかわかりませんわね。
慰める、というのも違うような気がしますし、手紙を見せて本当だ、と言うのも可哀そうですわ。
そう思いながら、急に項垂れたグレン様に驚いているアルフレッド様を横目に
「ですが、私達としても真実がわかっていませんの。最近DNA鑑定というものが開発されたそうなので、それで親子関係が認められたら側室にする、と話をしていたところですわ」
と言ってサーラ様を見ると、元々顔を真っ青にさせていたのに今ではもう土色のような色にまで変わってしまっていますわ。
自分でも流石にまずい状況だ、とわかったんでしょう。
そんなサーラ様に追い打ちをかける様に
「ブリントン侯爵令嬢.....一体どういうつもりだ?」
アルフレッド様は普段よりも低い声でそう言ってサーラ様を睨みつけましたわ。
これには流石のサーラ様も
「い、いや......あの.........」
とモゴモゴするだけで何も言い返してきません。
ですが、そんな反応のサーラ様に対して更に追い打ちをかけるように隣に座っているグレン様も
「俺が聞いていた話とは全く違うじゃないか!」
そう言って、サーラ様に掴みかかろうとしていますわ。
流石のブリントン侯爵も
「ぐ、グレン殿、落ち着いて........」
と止めに入りますが、もう修羅場ですわよ。
サーラ様に掴みかかるグレン様、それを止めるブリントン侯爵、あまりの迫力に驚いたのか涙を流すサーラ様。
一方、グレン様達の勢いが凄くて冷静になったのか、アルフレッド様は驚いた顔をしてそれ以上の追及はしませんでしたわ。
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