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豆と炭酸ジュース

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    ベーコンエッグと、ベリージャムを塗ったパン。私はそれだけだけど、他のみんなには山盛りのオークカツがある。
    揚げ物は好きだけど、朝からは無理。見ているだけで胸焼けしそう。
    食器にサッとクリーンをかけて、気合いを入れた。
「行くよ、メタル」

    畑一面豆ばかり。色とりどりの豆が揃っている。
    コーヒーも木ではなく、普通に生っている。
    とりあえず収穫。思い出して道具屋に行ってみたら、ちゃんとそれぞれの豆は買えるようになっていた。とりあえず枝豆と名付けられた豆はたくさん買った。

    コーヒーは除いて茹でてみる。枝豆はさや付きのまま茹でて、塩を振ってサヤを口に当てる。軽く押すとぷちっと音がして、懐かしい味にちょっと感動した。
    とりあえず生!…なんて今の私は子供だから無理だけど。

    それでも久しぶりの枝豆だ。枝豆として売られているのは見た事がない。恐らく大豆にしてしまった方が保存も効くし、利用出来るからだろう。

    茹でるだけではどうにもならない硬い豆や、大きくて皮が邪魔になる豆もある。
    黒豆もあんこに出来るけど、色々挑戦してからでも遅くないかな?
    枝豆をずんだ餡にしようかと思ってたけど、この青豆っていうのも行けそうだ。

    少々皮が口に残りそうだけど、こし餡にするという手もある。青豆のお使いをメタルに頼んで、収穫の終わった畑を魔法で整地して耕す。

    そういえば甘水。ダンジョン産の物は直接出荷した事はなかったけど、それも考えるべきだったかな?元々出荷具合に応じて出来る事が増えていたゲームだったし、素材そのものに価値がないとは思えない。
    トレントの実はないな…全部マジックポーションにしたり、食べてしまったのだろう。
    あとで採りに行かなければ。

    とりあえず白玉粉にした餅米からみたらし団子は勿論、ポンデゲーショも作った。
    チーズの香りもいいポンデゲーショはモチモチ食感で、味もいい。ダンジョンで育つ米の大物は完全にランダムみたいだ。普通の米の時もある。
    餅も食べたいし、餅米はたくさん欲しいけど、農園には今の所種籾は出ていない。

    畑を水田にする必要があるのかもしれない。
    米は陸稲だったからあまり考えなかったけど、本来なら水田だ。
    この世界で米がどんな風に育てられてるか分からないけど、全部陸稲とは思えない。

    学校がある日は無理でも、19階層には出来るだけ通うつもりだ。餅もだけどお赤飯やおこわも食べたい…あ。お赤飯は無理か。

    とにかく、アルミネアが気に入ってくれたら餅米だって育てられるようになるかもしれないし、気合い入れて色々作っていかに有用かプレゼンしよう。

    気合いを入れてる私を、メタルは無表情に見ている。目もないし、口もないから…そもそも金属だから表情筋もないけど、メタルが私を大切に思ってくれているのは分かる。

    それに応える為にも錬金術の腕を上げて魔宝石を作らなければ。それに、賢くて器用なフレイムに追い越されたくはないし。

    今考えているのは、空気飴。アロカシアは泳ぎを覚えたがっているし、ランスは犬かきなら出来る。フレイムは水浴び程度だけど、人化すれば泳げると思う。
    シュガーは…お風呂も、人化してもあんまり入らない位だけど。

    とにかく、作れれば私も使えるし、空気飴は作りたい。発想はメダカの水槽に入っている空気の出るアレだ。
    理論上は作れる。材料も手に入れた。あとは折角の春休みだし、実践あるのみだ。
    
    材料を煮溶かし、風の魔力を照射する。そこから焦げつかないように煮詰める。
    型に流し、冷気をかけて固める。
    よし!出来た!

     素材の相性の関係から、味はリンゴだ。
    試しに一粒口に入れると、飴から少しずつ空気が出てきた。
    盥に水を張って顔を入れる。…窒息はしなさそう。

    アロカシア、喜んでくれるかな?
    あ。炭酸ジュースを作るのを忘れていた。
    鑑定でちゃんと食用可なのは確認済みだ。
    オレンジから分離したクエン酸と混ぜて、完成。
    …っと。これじゃ只の炭酸水だ。
    色々果汁を混ぜて、コップ一杯ずつ出荷する。

    一応只の炭酸水も出荷した。お酒で割って楽しむ方法もあるからね。

    スマホから出て早速、みんなに炭酸ジュースを配る。
「むっ?!何だこれは…」
「美味しいけど口の中が変にゃ…?」
「ねえメイ、これって何なの?」
「これは炭酸ジュース。重曹とクエン酸で作ったんだよ」
「ジューソがこんな風になるのか…不思議な物だ」

    驚いているみんなも面白い。それに、驚いてはいたけど、みんな喜んでくれた。
「口がしゅわしゅわだけど、メイの魔力の味だにゃ!」
「そうだね。ボク気に入ったの」
    えええ…結局それなの?まあ、いいけどね。

    久しぶりの炭酸は美味しい。仕事が終わった後の炭酸は格別だったな。本当はコーラが飲みたいけど、シナモンがない。
「主、今日も稲刈りか?」
「当然、行くよ!」
    ゲーム内での出費も抑えられるし、餅米もゲットしたい。
「あと、トレントの実も欲しいんだ」
「なら、二手に別れるか?火魔法の得意なフレイムと、…そうだな。シュガー?」

「うにゃ…ヤブランは絶対メイと一緒にいたいだけにゃ?」
「当然だ。我は主を守護する者であるからな」
    イナゴごときにやられる私じゃないけどね。
    その後で18階層で訓練してもいいし、私がフレイム達に合流してもいい。

「美味しい和菓子を神様達に届けたいから、春休み中の稲刈りは必須ね?」
「そうか。そのような事情なら仕方ないな」
    …まあ、間違ってはいない。ただ、私が食べたいっていうのもあるけどね。

    紅茶はあるんだから、緑茶や抹茶もあっておかしくはない。旅に出たら探したいな。

    今日の大きな稲穂は餅米だ!大きな稲穂は1日一回しかポップしない。階層移動しても生えないから、そういう制限があるのだろう…ケチくさい。

    その後は、熊さん相手に戦闘訓練。短いリーチは素早さでカバーしたい所だけど、相手もかなり素早い。
    剣先からダークソードを伸ばしてカバーはしてる。
    まだまだ魔法なしでは戦えない相手だ。

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